碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

さよなら、鈴木先生

2011年06月30日 | テレビ・ラジオ・メディア

札幌への出張中に、テレビ東京「鈴木先生」が最終回を迎えた。

録画してあったものを見る。



鈴木先生の“出来ちゃった結婚”をめぐって、クラス全体で討議が行われた。

まあ、その意見の応酬と、らせん状に進展していく議論の面白いこと。

こんな“ディスカッション・ドラマ”、そうそうあり得ない。

制作陣、そして長谷川博己をはじめ生徒たちキャストも、よくぞ頑張った、と思う。



もちろん、この内容で反発、反感を買わないはずはないが(笑)、テレビドラマというものが、その気になれば、ここまで表現できることを示したわけで、私はやはり高く評価したい。

拍手です。

そして、おつかれさまでした。






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2011年05月10日
目が離せないぞ、ドラマ「鈴木先生」
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2011年06月02日
「金八先生」の退職と「鈴木先生」の登場
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2011年06月10日
『読売新聞』で、ドラマ「鈴木先生」についてコメント
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テレビドラマの黄金時代

2011年06月30日 | 「東京新聞」に連載したコラム

『東京新聞』に隔週で連載しているコラム「言いたい放談」。

雑誌からの問いに答えたことがきっかけとなった、「70年代~80年代はじめのドラマ」をめぐる考察です。


テレビドラマの黄金時代


雑誌から取材を受け、この半世紀に放送されたドラマの中から「私のベストテン」を選ぶことになった。

さあ、大変。

何しろ五十年分となれば膨大な本数になる。

思い入れのあるドラマ、自分にとっての名作を十本に絞るのは至難の業だ。

それは実につらくて楽しい作業となった。

ようやく選び終えた時、ふと気がついた。

そのほとんどが一九七〇年代から八〇年代はじめの放送だったのだ。

七〇年「時間ですよ」、七三年「それぞれの秋」、七四年「傷だらけの天使」、同「バラ色の人生」、七五年「俺たちの旅」、七七年「岸辺のアルバム」。

そして八一年「北の国から」、八三年「金曜日の妻たちへ」、同「ふぞろいの林檎たち」である。

では、なぜこの時期に集中したのか。

まず<脚本家の時代>だったことがある。

右記のドラマは倉本聰、山田太一、向田邦子、鎌田敏夫、市川森一など錚々たる書き手によるものだ。

しかも当時彼らは壮年期であり、まさに脂がのりきっていた。

ドラマの成否が脚本で決まることをあらためて実感する。

また演出家たちも豪華だった。

TBSの大山勝美、鴨下信一、久世光彦、フジテレビの杉田成道など実力派が競い合っていたのだ。

刺激的な脚本と達意の演出に役者たちも熱くならないはずがない。

かくして“テレビドラマの黄金時代”が現出したのである。

(東京新聞 2011.06.29)