碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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歴代テレビドラマ「私のベストテン」

2011年06月23日 | メディアでのコメント・論評

雑誌から、アンケートの依頼があった。

この50年間のテレビドラマの中から、「私のベストテン」を選ぶというものだ。

ドラマ50年分!

こりゃ大変だあ(笑)。

難しいよなあ。

悩むよなあ。

でも、なんて辛くて楽しい作業なんだろう(笑)。

ようやく選んで回答した「MY・べストドラマ」10本は、以下の通りです。


歴代テレビドラマ「私のベストテン」


1位 「北の国から」81年
ドラマの成否は脚本にかかっていることを、あらためて実感する。倉本聰の脚本は、20年にわたって「ドラマの登場人物たちと同時代を生きる」という稀有な体験をさせてくれた。

2位 「岸辺のアルバム」77年
企業人としての父。女としての母。家族は皆、家の中とは違った顔を隠し持っている。それは切なく、また愛すべき顔だ。多摩川を流れていく家々の映像と、ジャニス・イアンが歌う「ウィルユー・ダンス」が忘れられない。

3位 「それぞれの秋」73年
最も身近な存在でありながら、家族の素顔や本心をどれだけ知っているのか。それまでのホームドラマでは見ることのできなかった家族の実像をクールに、そして優しく描ききっていた。

4位 「俺たちの旅」75年
フリーターという言葉もなかったこの時代、組織になじめない若者たちの彷徨を描いて秀逸だった。カースケ、オメダ、グズ六の三人が、今もこの国のどこかで生きているような気がする。

5位 「金曜日の妻たちへ」83年
日常の中にあるエロスを再発見し、日本人の恋愛観を変えた1本。特に女性の不倫に対するハードルを下げた功績(?)は大きい。

6位 「ふぞろいの林檎たち」83年
“フツーの大学生”の実態を、残酷かつユーモラスに見せてくれた。「いとしのエリー」もドラマのテーマ曲ベスト10に入る。

7位 「バラ色の人生」74年
自分は何がしたいのか、何ができるのか。モラトリアムの時間を生きる若者たちの姿が、ジョルジュ・ムスタキ「私の孤独」の歌声と共に記憶に残る。松方弘樹にさらわれる前の仁科明子が可憐だった。

8位 「時間ですよ」70年
“ドラマの黄金時代”ともいうべき70年代の幕開けを告げた1本。「松の湯」の脱衣所にドキドキし、堺正章と悠木千帆(現・樹木希林)の掛け合いに笑った。天地真理が登場したのは翌年の第2シリーズだったが、確かに可愛かった。

9位 「傷だらけの天使」74年
オープング映像のカッコよさにぶっ飛んだ。ショーケン(萩原健一)、水谷豊、岸田今日子、そして怪優・岸田森。市川森一や鎌田敏夫といった脚本家たち。深作欣二や工藤栄一などの監督陣。これで面白くないはずがない。

10位 「七人の孫」64年
少子化社会とは無縁の元祖“大家族ドラマ”。高橋幸治、いしだあゆみ、島かおり、勝呂誉などの孫たちもよかったが、一家の象徴ともいうべき森繁久弥の爺様が最高だった。