碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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ドラマ「リバウンド」と、“「レガッタ」の呪い”

2011年06月29日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載中の番組時評「テレビとはナンだ!」。

今回は、日本テレビの連ドラ「リバウンド」について書きました。


視聴率はパッとしないが
超丸ポチャ女を演じる相武紗季はいい


連続ドラマ「リバウンド」(日本テレビ)の主演は相武紗季だ。

相手役は速水もこみち。

この組み合わせはすでに3度目である。

最初は06年の「レガッタ~君といた永遠~」(テレビ朝日)だ。

ボート部マネージャーと有力選手だったが、平均5%台という低視聴率で沈没。途中で打ち切りとなった。

当時の速水に「陰のあるスポーツ選手」という役柄は難しかったのだ。

2度目は08年の「絶対彼氏~完全無欠の恋人ロボット~」(フジテレビ)で、派遣OLとその恋人だった。

この時は速水をロボットにするという奇策が功を奏し、平均視聴率13%台と善戦した。

そして今回はケーキ依存症の女の子とパティシエだ。

二人の恋愛模様をダイエットとリバウンドの揺れ動きにからめて描いている。

相武が体重78キロのおデブさんに変身する特殊メイクが話題となっているが、それだけじゃない。

結婚と仕事、友情と恋、家族と自分など、20代の女性たちが直面する課題をさりげなく織り込んでいるのだ。

いわば成長物語である。

これまでの平均視聴率は11%台で、パッとするものではない。

しかし、超丸ポチャのリバウンド女さえ愛すべき存在に見せてしまう相武のコメディエンヌぶりが数字を補っている。

速水も相武に引っ張られる形で好演。

忌まわしき“「レガッタ」の呪い”からの脱出を果たせるかもしれない。

(日刊ゲンダイ 2011.06.27)