『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。
今週は、NHK「地球イチバン」を取り上げました。
こんな“円高還元番組”なら歓迎
円高の影響もあり、「世界!弾丸トラベラー」「アナザースカイ」(ともに日本テレビ)など海外旅行をテーマにした番組が目立つ。
これらの番組、確かに「少し得した気分」になれるが、中高年にはテーマや出演者が若すぎるケースもある。そんな向きにオススメはNHKの「地球イチバン」だ。
先週、旅人・大高洋夫が訪ねたのはノルウェー領のロングイヤービエン。「地球で一番北の町」だ。北極点に近く、一年の半分は太陽が沈まない白夜で、半分は真っ暗なままの極夜。
冬は連日マイナス30度という厳しい環境だが、なんと44ヶ国から人が移り住んできている。理由は、この町が国籍に関係なく仕事と住居さえ確保すれば誰でも自由に住める「フリーゾーン」という場所だからだ。
大高が出会ったのは炭鉱労働者のミラン。クロアチアから逃れてきたセルビア人で、親兄弟を戦争で失った彼は妻と幼い子供を連れて移住したのだ。
そして今、高校生になった息子が自分なりの道を歩もうとするのを、少し寂しく感じながらも応援している。「家族」をめぐる大高との対話には人種を超えた父親の思いがあった。
スタジオには司会の渡辺満里奈と大高、そしてゲストの鳥越俊太郎などがいる。ミラン一家の話題をきっかけにクロアチア紛争の背景に触れるなど、単なる「いい話」で終わせらない演出にも好感がもてた。
こんな“円高還元番組”なら歓迎だ。
(日刊ゲンダイ 2012.02.07)
・・・・・先々週の「地球でイチバンきゅーくつな島」も面白かったなあ。
野球のグラウンドくらいの広さに、1200人が暮らしている島は、まさに共同体。
いや、小さな地球だと思った(笑)。