碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

「放送批評懇談会シンポジウム2012」に参加

2012年02月29日 | テレビ・ラジオ・メディア

昨日(28日)、都市センターホテルで行われた、「放送批評懇談会シンポジウム2012」に参加した。

テーマは「“2011”を超えて~放送リ・スタート」。

私のお目当ては、ディスカッション「ポスト3.11の放送ジャーナリズム」で、約2時間しっかり聴かせていただいた。


パネリストは・・・

阿部正樹(岩手放送 会長)

倉澤治雄(日本テレビ報道局 解説主幹)

龍崎 孝(TBSテレビ報道局政治部担当部長・JNN三陸臨時支局長)

藤代裕之(ジャーナリスト)

モデレータ/山田健太
(専修大学文学部人文・ジャーナリズム学科准教授)

の各氏だ。


被災地の放送局としての体験をベースにした阿部さん。

原発報道をめぐって多角的な論点を提示した倉沢さん。

現在も三陸支局を拠点に報道を続ける龍崎さん。

ソーシャルメディアとマスメディアの関係を探る藤代さん。


それぞれが語る知見、そしてクロストークは刺激的でした。

特に、これからのキー局と地方局の関係について、考えるべきことが多かったように思います。

そうそう、藤代さんが「放送業界の皆さんにとってのネットはインターネットのことじゃなくて、系列局のネットワークのことなんですね」と驚き(呆れ)ながら語っていたのが、とても可笑しかったです。











医学・医療情報番組が抱える危うさ

2012年02月29日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

珍しい「2月29日」だ。

1日儲けたような、違うような(笑)。


『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。

今週は、NHK「夜なのにあさイチ~漢方スペシャル」について書きました。


NHKの〝漢方薬礼賛番組〟に疑問

先週土曜の夜、NHKで放送された「夜なのにあさイチ~漢方スペシャル」。勢いに乗っての特番はいいとして、なぜ今「漢方」なのか。

番組はひたすら漢方を礼賛。医師の86%が漢方薬を使用しているとか、丁寧な問診により体質改善するとか。また、ある女性は頭痛が軽減され、ある男性は手のかゆみが抑えられたそうな。

さらに、認知症患者の漢方薬使用前・使用後の映像を並べて効果を見せ、有働由美子アナの体験レポートまであった。

健康に不安を抱える視聴者のほとんどが、この番組を見て漢方医や漢方薬局に走ったのではないか。とにかく良いことづくめの話ばかりだった。 

普通、テレビ制作者が医学・医療情報を扱う場合は細心の注意をはらう。視聴者の健康(オーバーに言えば命)に関わるからだ。その効果・効能は確かなのか。何を根拠としているのか。どこまで断定していいのか。

特に漢方は西洋医学のように効果を数値で測れないことも多く、慎重にならざるを得ないのだ。漢方で注意すべき点やネガティブな要素を伝えないのは極めて危うい。

番組は漢方薬工場の内部も紹介していた。社名こそ出さなかったものの、画面を見ればツムラだとわかる。

このツムラが協賛に名を連ねているホームページで「漢方の魅力」を語っている〝美人漢方医〟がスタジオにいて、伝道師のごとく効能を説いていたのが実に印象的だった。

(日刊ゲンダイ 2012.02.28)