『東京新聞』に隔週で連載しているコラム「言いたい放談」。
今回は、エコカーに代表される、「エコ」について考えてみました。
いとしのエコ
最近のCMにはエコや省エネをうたう商品があふれている。特にクルマはハイブリッドだ、EV(電気自動車)だとにぎやかで、いずれも優れモノのようだ。
我が家のクルマは十五年目になる。元気に走っているし、飽きてもいない。今どきのクルマに比べたら燃費はよくないが、年間走行距離を考えるとあまり気にならない。それに長年つき合っていると、このクルマと共に子供たちが大きくなったことも含め、家族の一員のような気がする。エコと燃費を理由に別れることはまだ出来ない。
小学生の頃、初めて自転車を買ってもらった。うれしくて、当時大好きだったアニメ「スーパージェッター」の未来カーにあやかり「流星号」と名付けた。町内を走りながら、少年の私は「さあ、右へ曲がるんだ」「この坂は手ごわいぞ」などと流星号に声をかけていた。単なる自転車ではなく、友だちであり相棒だったのだ。その後、流星号は大きくなった私の背丈と合わなくなるまで活躍してくれた。
クルマに限らず、たとえ古くなっても、気に入ったものを大切に使い続けるのもまたエコではないかと思う。ふと見れば愛用の万年筆は二十年前に入手したものだし、腕時計も修理を重ねた三十年選手だ。さらに家内だって高校一年で出会ってから四十年になる。いや、家内についてはエコかどうか、よくわからないが。
(東京新聞 2012.02.22)