碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

「妄想捜査~桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」は、 もうひと頑張り

2012年02月16日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載中の番組時評「TV見るべきものは!!」。

今週の掲載分では、テレビ朝日の深夜ドラマ「妄想捜査~桑潟幸一
准教授のスタイリッシュな生活」について書きました。


バカバカしいドラマほど
本気で作るのが鉄則なのに・・・

今期のドラマも警察物やサスペンスが目立つが、少し変わったテイストなのが「妄想捜査~桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」(テレビ朝日)だ。

まず千葉県の片田舎にある「たらちね国際女子大学」に赴任してきた准教授(佐藤隆太)というくだらない設定が笑える。

しかも桑潟には妄想癖はあっても推理力などない。妄想から生まれるトンデモ行動が結果的に事件を解決するというコミカルタッチな探偵ドラマなのだ。

先日の桑潟は、“たらちね”の語源にもなっている地元名士の「垂乳根家」の家督問題に巻き込まれ、妄想が原因で崖からジャンプして危うく死にかけた。

また商店街ではいきなり通行人と一緒に踊りだしたり。必然性がほとんどないのに、歌って踊るシーンがほぼ必ず出てくるインド映画みたいなのである。

こういうバカバカしいシーンほど本気で作るのが鉄則。でないと視聴者はついてきてくれない。

その意味では佐藤も制作陣もよくやっているが、肝心の妄想がイマイチ。見ている側の意表を突くようなインパクトがなく、失笑に終わってしまうのが残念。

さらに惜しいのは主人公をサポートするミステリー研究会の女子学生たち(桜庭ななみ・倉科カナ)が魅力的に見えないこと。

おバカな女子大生がバカみたいに騒いでいるようにしか見えず、深夜ドラマなのに色っぽさがさっぱり感じられない。原作にあるファッションや恋愛話が出てこないのも消化不良の印象がする。もっと見せ場を作ったらいいのにと思う。

(日刊ゲンダイ 2012.02.15)