日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
今週は、先日最終回を迎えたフジテレビ「最高の離婚」について書きました。
「最高の離婚」
「本音」のセリフが銃弾となって飛び交っていた
「本音」のセリフが銃弾となって飛び交っていた
今期連ドラで最も視聴率を稼いだのはTBSの「とんび」だ。しかし、NHKの二番煎じをぬけぬけと出す臆面のなさと、ベタな家族愛の大売り出しに、やや辟易(へきえき)。初期段階で離脱した。
逆に「どうするんだ」「どうなるんだ」とつい最終回まで見続けてしまったのがフジテレビ「最高の離婚」だ。互いに不満や不安を抱えていた2組の夫婦、瑛太&尾野真千子、綾野剛&真木よう子の物語。大事件が起きるわけではない。しかも最終的には「雨降って地固まる」的な着地だったにも関わらず、見る側は大いに楽しんだ。
何より彼らのセリフの応酬が素晴らしい。瑛太が「結婚は、3Dです。3D。打算、妥協、惰性。そんなもんです」とボヤけば、尾野も「(男が子供だから)妻って結局、鬼嫁になるか、泣く嫁になるのかの二択しかないのよ」と憤る。
他にもこのドラマでは、夫や妻が互いに「言いたくても言えない」「言いたくても言わない」「できれば言わずに済ませたい」本音が、セリフの銃弾となって飛び交っていた。脚本は「それでも、生きてゆく」(フジ)の坂元裕二である。
どちらも、結婚せず恋人のままでいたほうがいいタイプのカップルだが、最後は「結婚も悪くないじゃん」と思わせるあたりは、旬の役者4人の相乗効果だ。続編があってもおかしくない。
(日刊ゲンダイ 2013.03.26)