最近、WOWOWのオリジナルドラマが絶好調だ。
放送中の「ソドムの林檎~ロトを殺した娘たち」が、これまた凄い。
主演は寺島しのぶ。
その怒涛の寄りというか、重戦車のような迫力は、余人をもって代え難しだ。
「寺島しのぶ」だから凄みが出る
不細工な「結婚詐欺」
不細工な「結婚詐欺」
ドラマ改編期の間隙を突くように満を持して登場したのは、かの寺島しのぶ(40)だ。
昨年9月の出産以来初の主演ドラマで、有料放送WOWOWプライムの「ソドムの林檎~ロトを殺した娘たち」(土曜夜10時、全4回)。
3月23日放送の初回は無料で、以降は有料会員のみ視聴可能。初回の放送直後に会員加入を促すCMもあったが、「反響は上々」(WOWOW広報)とか。
それもそのはず、監督と脚本は寺島の出世映画「ヴァイブレータ」(03年)を手がけた廣木隆一と荒井晴彦コンビ。かつ内容は、4年前の連続不審死事件に着想を得た。
あの“誰も美人結婚詐欺師と書けなかった”強烈な外見にして、男性を次々手玉に取っていたことで世に衝撃を与えた、木嶋佳苗被告(38)の事件である。
ドラマでは、少女時代にその美しさで苦悩し、敢えて醜く整形した結婚詐欺女・宮村恵と、その心の闇を追う整形美女の編集者(木村文乃)らを描く。
この不細工な詐欺女役を<引き受ける女優はそうはいない><私は自分をブスだと思っているから><監督は私の不細工な顔を一杯知っている>と臨んだのが、寺島だ。
「特殊メイクなどなく素顔のまま“醜い女性”を演じ切るその女優魂は怖いほど。観る者を惹き付ける吸引力は予想以上でした」とは、上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)。
「男を騙そうと可愛い女の演技をする恵を演技する、という二重の演技や、婚活サイトで騙す相手を探す素の恵が、無表情でも頭では狡猾に計算しているということを、PCを見つめる目で表現する。完全に詐欺女が憑依していた」
ハマると、タダじゃ済まないんです。
(週刊新潮 2013.04.04号)