碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

今週の「読んで書いた本」 2011.03.18

2011年03月18日 | 書評した本たち

福島の原発。

必死の放水作業。

これまで原発のシステムについて、あまりに知らないままだったことを反省しつつ、自衛隊や警察による取り組みをテレビで見る。

ネット上には、かなりの悲観論もあったりするが、今は見守るしかない。

同時に、可能な節電なんかもやっております。

計画停電で、ストンと電気というものが消えた家は、やけに静かだ。

あまりに当たり前な感想とはいえ、「電気のある生活」に慣れきっていることを、あらためて実感します。


えーと、今週、「読んで(書評を)書いた」のは、以下の本です。


藤田宜永 
『夢で逢いましょう』(小学館)

森 毅 
『一刀斉、最後の戯言』(平凡社)

白井晟一 
『白井晟一、建築を語る―対談と座談』(中央公論新社)



・・・・藤田さんの『夢逢い』を楽しく読んだ。

物語展開もそうだが、それ以上に昭和30年代への“紙上タイムトリップ”を堪能したのだ。


それから、今週号の新書コーナーは、
下川裕治・仲村清司
『新書 沖縄読本』(講談社現代新書)。

下川君は松本深志高校の同期で、『文藝春秋』の「同級生交歓」にも一緒に出てもらったノンフィクション作家だ。
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/e56943db7c2476b4aa738859c94a0cff

残念ながら、この新書の書評は私ではないが(笑)、“沖縄の現状”を遠慮会釈なく、徹底的に(もちろん本土のことも)えぐり出したところに感心した。

ご一読をおススメします。


* 上記3冊の書評は、発売中の『週刊新潮』最新号(3月24日号)に
  掲載されています。


『産経新聞』で、震災報道に関してコメント

2011年03月17日 | メディアでのコメント・論評

『産経新聞』の震災報道に関する特集記事で、コメントが掲載された。

記事全体は、阪神大震災の時とは違うメディア状況にフォーカスした内容だ。


震災とメディア テレビとツイッター相乗効果

11日午後2時46分に発生した東日本大震災により、テレビはほぼ震災一色の報道が続いている。一方、インターネットではミニブログのツイッターなどで被災者を含む「個人の声」があふれている。

16年前の阪神大震災当時にはなかった、マスメディアと個人のつぶやきを伝えるメディアとの共存。“相乗効果”は生まれているのか。発生後数日の目立った動きをまとめた。

 ◆利点生かす

「停電でテレビがご覧になれない方も多くいらっしゃいます」「ustでNHKが見られることをツイートしたらどうなの?」「情報感謝!」

地震発生から約2時間半後、ツイッターではこんなやりとりが交わされた。最後の「情報感謝!」はNHK広報局の公式ツイッター。

津波警報を伝えるNHKの画面を動画サイト「ユーストリーム(ust)」に無断で流す人物が現れ、NHKの担当者はそのアドレスを自分の発言を読んでいる約15万人に広めた。担当者は「私の独断なので、あとで責任は取ります」とも書き込んだ。

この後、NHKを含む各局はユーストリームや「ニコニコ動画」で同時配信を公式に認めた。ネットがテレビの災害報道を補い、増幅した格好だ。

ユーストリームを利用したテレビ朝日は「情報が少しでも届く手段になればとの思いだった」と説明した。

 ◆映像圧倒

「1号機が骨組みだけになっていませんか」

12日午後4時半過ぎ、NHKアナウンサーが福島第1原発1号機の映像を見ながらこう指摘。すぐに午前中に撮影した1号機の映像が並べて映され、外壁が吹き飛んだ惨状が誰の目にも明らかになった。

日本テレビも爆発の瞬間をとらえていた。政府が「何らかの爆発的事象」が1号機に起きたことを認めたのは、午後6時前だった。

同日午後8時半から行われた菅直人首相と枝野幸男官房長官の会見では、複数のツイッターユーザーが、テレビを見ながら発言の要約を“生中継”。

同時間帯に、原発に反対する市民団体の会見が行われていたこともあり、政府が強調した「安全性」をめぐる議論が活発に交わされた。

 ◆誰のための情報

「助けて」「あたしら死ぬのかな」…。ツイッターには地震発生直後から、被災者とみられるユーザーの生々しい書き込みがあふれた。

テレビは津波や火災など災害の克明な映像をハイビジョンで記録、報道し続けている。ツイッターでは「被災した子供達が笑えるような番組を流して。

ショッキングな映像ばかりではつらい」とテレビに要望する書き込みもあった。

上智大新聞学科の碓井広義教授(メディア論)は、テレビ報道に辛口の評価を与える。

「テレビは街が壊滅していく映像と死者の数の増加を刻々と伝えたが、これは被災地以外の人に向けた情報。

本当に情報が必要な被災者がほしいのは、生命に関わる、生きるための情報だ。テレビの災害報道は一体、誰に向かっているのか、疑問を感じる場面が非常に多かった」

また、安否情報を伝えるNHK教育は評価しつつ、「被災者の多くは避難所でテレビなど見られず、見られても知りたい情報がいつ出てくるのか分からない。

ネットの存在が今回際立ったのは、携帯電話などで欲しい情報がピンポイントで得られるからだ」とも指摘している。


 ■通常放送に戻すところも

東日本大震災で報道特別番組を続けていたテレビ各局は、一部の番組について、通常放送に戻すところも出てきている。ただ、原子力発電所のトラブルなどにより事態はまだ流動的だ。

テレビ東京は12日深夜、発生から24時間以上が経過したとして、各局に先駆けてアニメなど3番組をCM付きで放送した。

「被災者、関係者に配慮して不適切でないと判断した」と広報部。今後は通常番組に戻す方針だが、政府の会見など新たな情報が入った場合、ニュースに切り替える措置は継続する。

週明けの14日からは各局ともドラマなどを引き続き休んだものの、ニュース以外の情報番組については放送枠を拡大させて対応。

TBSは「ひるおび!」、フジテレビは「知りたがり!」で、東京電力による計画停電の影響など、地震関連情報を詳しく伝えた。

一部CMを解禁した局でも、スポンサーの中には「自粛」を伝えてきたり、「状況にかんがみてACジャパン(旧公共広告機構)のCMに差し替えて」と申し出る企業もあるという。

「震災報道以外」を求める声もネットなどでみられる一方、ビデオの大手レンタル店がツイッターで「テレビは地震ばっかりでつまらない、そんなあなた、ご来店をお待ちしています!」と書き込み、「不謹慎だ」と批判が噴出。レンタル店が謝罪するといった一幕もあった。

(産経新聞 2011.03.16)

ラッパ屋『凄い金魚』の迫力がすごい

2011年03月16日 | 舞台・音楽・アート

新宿から高円寺へ。

まだ新しい小屋「座・高円寺」で、ラッパ屋公演『凄い金魚』を観た。




驚いたのは、開演前に、脚本・演出の鈴木聡さんからの「ご挨拶」があったこと。

20年近く、ずっとラッパ屋を観ているが、初めてのことだ。

鈴木さんいわく・・・・

「震災の影響で、都内のさまざまな芝居や音楽会やイベントが中止となっています。

けれども、こういう時だからこそ、ほんのいっときでも、ラッパ屋の芝居を観ていただき、笑って、少しだけ元気になってもらえたら、と思います。

芝居には、そういう役割、使命もあるのではないか。

余震もあり、交通の便も悪い状況の中、こうして足を運んでくださった皆さんに感謝します」

・・・・といった内容でした。

続いて、制作の山家かおりさんから、

「この観客席は特設のため、皆さんがどっと笑ったりすると揺れます。

ぜひ地震と間違わないでください。

本物の地震の場合は、舞台の上の照明機材が、カチカチと音をたてて揺れます。

そうなった時は、しっかり係員が誘導しますので、皆さん落ち着いて、それに従ってください。

本日は、ありがとうございます」

・・・・てな、お話でした。

客席は7割の入り、といったところ。

でも、お二人のご挨拶のおかげで、一体感ばりばりになりました(笑)。

そして、余震も、交通の便もかえりみず駆けつけたラッパ屋ファンたちの気持ちに応える形となった舞台は、それはもう迫力いっぱいでした。

何度目かの上演だが、観るたびにバージョンアップされている『凄い金魚』。

何度も笑って、やっぱりちょっとほろりとして、大満足の舞台でした。

ちなみに、帰りの地下鉄が地震のため途中で止まったりしましたが、芝居の余熱で苦になりませんでした。

『凄い金魚』は、予定通りであれば、21日(月)までやっています。


ラッパ屋第37回公演『凄い金魚』

会場:座・高円寺1
http://za-koenji.jp/detail/index.php?id=414

<脚本・演出>
鈴木聡

<出演>
福本伸一、おかやまはじめ、木村靖司、弘中麻紀、岩橋道子、俵木藤汰、大草理乙子、宇納佑、熊川隆一、岩本淳、中野順一朗ほか

<口上>
家族や親せきが集まる通夜の晩の、リアルな日常と、急に訪れるへんてこりんなドラマ。1996年に初演した、ラッパ屋の「原点」とも言える本作を、現代の私たちにぴったりくる新演出でお届けします。




余震の中、四谷から新宿へ

2011年03月16日 | 日々雑感

テレビの「震災報道」をめぐって、新聞と雑誌の取材を受ける。

いろいろ思うところあり、です。


23日に予定されていた「卒業式」が中止と決まった。

残念なことだが、これは仕方ないですね。

学科ごとに集まっての学位記の授与は行われる予定。

大学構内も閑散としていた。




地震で散乱したままになっていた研究室の片づけ。

床が全部、書架から落下した本や書類で埋まっている。

本は元に戻せば済むが、被災地では本を戻すべき書棚どころか、学校も住む家も破壊されているのだ。

いや、それどころか学校や家があった町そのものが、親しい人たちと共に押し流され、失われている。どれだけの悲しみだろう。


新宿御苑近くで行われた「全国広報コンクール」の審査会に出席。

全国都道府県を代表する広報映像から、さらに秀作を選ぶ。

大先輩・嶋田親一先生と共に、明るい緊張感のある審査が進む。


終わって、新宿まで歩く。

この街でさえ、全体的に寂しい印象。



いつものジャズ喫茶「DUG」で、ひと休み。

それから「紀伊国屋書店」へ移動して、各階探索。

和田 芳恵さんの『筑摩書房の三十年 1940―1970』と、永江 朗さんの『筑摩書房 それからの四十年 1970―2010』を発見。入手する。

どちらも筑摩選書の新刊だ。

先月末、筑摩書房の創立者・古田晃の記念館に行ってきたばかりの者としては、とても嬉しい2冊。


紀伊国屋画廊で、四谷シモンさんが主宰する人形学校の人形展をやっていることがわかり、行ってみることにする。

エレベーターに、おじさんが一人、乗り込んできた。

私より先に、おじさんが4階のボタンを押す。

エレベーター、4階に到着。



すると、おじさんも降りて、そのまま、私の前を歩いていく。

私が画廊に入ってみると、入口横の椅子にちょこんと腰かけているのは、さっきのおじさんだ。

え、四谷シモンさん?

そう、初対面のご本人。生シモンさんでした(笑)。

会場内に客は私ひとり。

座ったままのシモンさんを背にして、たくさんの人形たちを見て回る。

その後、誰も入ってこないまま、私は3周もしちゃいました(笑)。



ずらりと並ぶ人形ですが、やはりシモンさんの作品は別格。圧倒的な存在感です。

本当は、唐十郎さんや澁澤龍彦さんのことなど話してみたかったのですが、そこは遠慮して、会場を後にしました。

四谷シモンさんにお会いした(拝見した)ことが嬉しく、久しぶりで街歩きの楽しさを実感。

道路を渡って「新宿中村屋」へ。

これから芝居を観にいく「ラッパ屋」への差し入れを購入。

JRで高円寺へと向かった。

「東北関東大震災」のテレビ報道をめぐって

2011年03月15日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

11日に起きた「東北関東大震災」。

今週に入っても余震は続いている。

行方不明となっている多くの人の安否は定かではないし、被災者の方々の状況もきびしいままだ。

その上、原発の問題もますます深刻化している。

たくさんの報道が行われ、大量の情報が流されているが、何ともいえない距離感、もどかしさを感じるのはなぜだろう。


さて、『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「テレビとはナンだ!」。

今週の掲載分は、「東北関東大震災」の初期報道について書きました。


BS1の「被災者のための情報」は出色だ

「東北関東大震災」の緊急特番は11日午後2時48分のNHKから始まった。

間もなく民放も続々と参入し、最も遅かった日本テレビでも57分には通常番組から切り替えられた。

その後、各局の大報道が続いているが、テレビ5波、ラジオ3波の全てを投入したNHKの総合力が目立つ。

中でもBS1が延々と行った「被災者のための情報」は出色だ。

ここでは岩手県、福島県など被災地にいる人たちに向けて、まさに具体的な「知りたい情報」を流し続けた。

たとえば、どこの町の何世帯が「断水」となっているか。また停電が続くとその範囲は広がる恐れがあること。そして「給水所」は何か所に設置されているか等々だ。

画面には女性アナが一人だけ。冷静な声と表情で正確な情報を伝える様子は、見ている側をも落ち着かせる効果があった。

一方の民放は「被災地以外の所にいる人たち」に向けた内容という印象が強い。

津波で家屋が押し流される衝撃映像の繰り返しと、死者や行方不明者の数など統計情報が中心で、どこか傍観者的・野次馬的・優越的な興味に迎合する報道になってはいないだろうか。

「取材団」と呼ばれる人員を現地に送るのはいい。しかし、時には現地の系列局と“競合”しているように見えるのが気になるのだ。

余震はまだ続いている。報道する側の姿勢も問われ続ける。

(日刊ゲンダイ 2011.03.14)

『サンデー毎日』で、「京大入試投稿事件」に関してコメント

2011年03月14日 | メディアでのコメント・論評

発売中の『サンデー毎日』(3月20日号)。

特集「モンスターペアレントが生む携帯カンニング-京大入試投稿事件」でコメントしています。

記事のリードは、

京大の入試問題不正投稿事件で、仙台市の予備校生(19)が偽計業務妨害容疑で逮捕された。「携帯世代の出来心」では許されない事態。だが、大学側もカンニング摘発に積極的に踏み切れない事情がある。

内容としては、

大学では、様々な場面でモンスターペアレント(モンペ)の影響が大きいこと。

入試も、モンペの影に怯えながら実施しているのが現状だという。

一方、ネット掲示版が不正投稿に使われたことにも注目している。

予備校生が不正行為だと認識していたかどうかを懸念。

卒業論文での “ネット頼み”の横行。

定期試験でのネットの“悪用”。

といった事例の後、私のコメントになっている。

上智大の碓井広義教授(メディア論)は「ネットに依存するあまり、自分で考える力が奪われ、善悪の意識すら薄まっているのではないか」とみる。

「深く考えて思い悩むことは、自我を確立し成長する上で重要な過程です。けれど自ら考える前に、安易にネット検索で済ませてしまう人が増えた。

知恵袋では、検索すら省いた質問者に『人に聞く前に、自分で検索すれば簡単に分かる』など批判の書き込みが珍しくない。

若い世代に判断を常に他人に預ける習慣が定着するのは不安です」

(サンデー毎日 2011.03.20号)



・・・・上記の問題を踏まえた上で、今回の事件では、大学入試だけでなく、現在の大学のあり方も問われている。

これまでの入試、これまでの大学を再検証するきっかけになればいいと思います。


今週の「読んで書いた本」 2011.03.12

2011年03月13日 | 書評した本たち

地震の被害状況が明らかになるにつれ、津波の怖さ、破壊の凄まじさに圧倒される。

テレビの映像を見ていて、一瞬、映画『TSUNSMI~ツナミ』や『ヒアアフター』を思い出した。

しかし、これはフィクションでもSFXでもなく、実際の出来事なのだ。

「壊滅」という文字がこうして具現化されるとは。

現在、気になるのは、宮城県南三陸町だ。

「住民約1万7千人のうち9500人と連絡がとれない」と報じられている。

一人でも多くの人が無事であって欲しい。


さて今週、「読んで(書評を)書いた」のは、以下の本です。

北野 武 
『超思考』(幻冬舎)

百田尚樹 
『錨を上げよ』上・下(講談社)

ローリー・アン・フリーマン 橋場義之:訳 
『記者クラブ~情報カルテル』 (緑風出版)

吉田秀和 
『永遠の故郷 夕映』(集英社)

葛葉康司
『辻打ち』 (学研M文庫)

佐々木信夫 
『都知事~権力と都政』(中公新書)


・・・・都知事選に「出ない」と言っていたが、結局「出る」と言い出した石原都知事。

佐々木さんの本を読むと、なぜそれほどに「都知事」に執着するのか、その辺りも頷ける。

* 書いた書評は、発売中の『週刊新潮』最新号(3月17日号)に
  掲載されています。


地震お見舞い

2011年03月12日 | 日々雑感

大変な地震でしたが、
皆さん
大丈夫ですか?

私の家のある地域は
地震発生から
しばらくして停電となり、
夜になって
ロウソクの灯りで過ごしていました。

そして、
先ほどようやく
電気が復活し、
パソコンを起動できました。

書棚の本が
大量に落ちてきて
足の踏み場もありませんが、
幸い
その程度で済みました。

ちなみに、
高校生の息子だけは
学校から帰宅できず、
教室で一夜を明かしています。


皆さんが
無事であることを
祈っています。


「笑止千万!」と言われちゃったNHK大河『江』

2011年03月11日 | メディアでのコメント・論評

『週刊新潮』最新号の特集記事は、<「NHK大河」を陳腐なお子様ドラマにした「江~姫たちの戦国~」女優も脚本も笑止千万!>。

ここに書かれている項目を並べてみると、

●江姫誕生の産声で戦が停まった!

●「信長」幽霊が姪っ子に逢いに行く!

●三日天下「明智光秀」が9歳少女に言い訳!

●継父「柴田勝家」に平手打ちされ家族の絆!

まあ、タイトルと上記の項目だけでも、記事の内容は十分わかるってものです(笑)。

何人ものコメントが集められていますが、歴史の専門家の方々からは「ドラマとはいえ、それはないんじゃないの」という指摘が。

たとえば、ドラマの中で、江は大人たちの話を、やたらと「盗み聞き」「立ち聞き」する。

それも秀吉や光秀などにとって重要な会議や会話だ。

まるで『家政婦は見た!』である(笑)。

歴史研究家・藤本正行氏の「小娘が自由自在に動けるほど、城の警備は甘くありません。それに、仮にも江は姫様なんですから、“立ち聞き癖”は止めさせたほうがいい」というご意見、ごもっともです。

さて、私のコメントは上野樹里の演技に関してだ。

作家・麻生千晶さんの「上野樹里さんは、まるでコギャルのような喋り方で、(中略)『のだめカンタービレ』のままの演技」という言葉に続いて・・・・

上智大学の碓井広義教授(メディア論)も、「怒る時も悲しむ時も大声で、よく叫んでいた『のだめ~』と同じ」

確かに“上野・江”は、キリシタンから手の甲に挨拶のキスをされると、「ヒエ~ッ!」

戦国時代の姫の台詞とは思えない“ポップ”な反応を示したりする。

(週刊新潮 2011.03.17号)





・・・・これだけ話題になるのもNHK大河だからこそ。

とはいえ、やはり子供時代は子役を起用して、娘時代からを上野たちが演じるべきだったんじゃないかな。

後は、若い視聴者を取り込もうとしての『のだめ』タッチや、極端に不自然な設定(立ち聞きなど)をごり押しするのは、ほどほどにしたほうがいいかと思います。

30万人の皆さんに感謝です

2011年03月10日 | テレビ・ラジオ・メディア

今日、3月10日で、このブログの訪問者が、トータルで30万人を超えました(300,626IP)。

閲覧の総数も789,408PVと、もうすぐ80万件。

ありがとうございます。

2008年4月のブログ開始からほぼ丸3年。

20万人に達したのは昨年の11月29日のことでしたから、この4カ月で10万という数字が加わったことになります。

何だかすごいですねえ(笑)。

都市は、人口が30万人以上になると、「特例市」から変わって、「中核市」と呼ばれるようになります。

30万人だと、福岡の久留米市や、三重県の四日市市と同じくらい。

「中核市」の次は「政令指定都市」であり、こちらは50万人以上。

まあ、我がブログとしては当分先のことでしょう(笑)。

というわけで、これからも変わらず、自分の目や耳やアタマで、こつこつと「見たり、聴いたり、読んだり、書いたり、話したり、時々考えてみたり」していきますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。


“お仕事女子”応援ラブコメ『恋とニュースのつくり方』

2011年03月10日 | 映画・ビデオ・映像

ダイアン・キートン、ハリソン・フォードが出ているというので、『恋とニュースのつくり方』(原題は「Morning Glory」)を観てきた。

ラブコメというか“お仕事ラブコメ”って感じの1本。

テレビの朝ワイド、朝のワイドショーが舞台です。

日本のテレビ界も視聴率が番組存廃のカギとなるが、アメリカはまた何倍もシビアだ。

ヒロインである女性プロデューサーのベッキー(レイチェル・マクアダムス)は地方局をクビになるけど、ニューヨーク発全国放送の朝番組に抜擢される。

この朝番組が凡庸にして退屈で、視聴率も最低だ。

これを彼女がどうしていくか、が軸。

元ミス・アリゾナのおばさまキャスターのコリーン(ダイアン・キートン)と、今や高齢者となった有名ジャーナリストで大物キャスターのマイク(ハリソン・フォード)がペアを組んでの出演となるが、まあ、この二人を御するのが大変なんだ。

特にプライドいっぱいのマイクは、「報道は聖なる神殿だぞ!」と言い切る人だから、柔らかネタが並ぶ朝ワイドに文句たらたらで、非協力的。

スタッフから「世界で3番目に嫌な奴」なんて言われる。

他の2人は?

確かキム・ジョンイルとアンジェラ・ランズベリーと言ってた。

アンジェラ・ランズベリーって、「ジェシカおばさんの事件簿」の?

それにしてもダイアン・キートンも、ハリソン・フォードも、よくこの仕事受けたなあ(笑)。

レイチェル・マクアダムスは、大御所二人を相手に大健闘だ。

やがてベッキーは、上司から「6週間で視聴率を上げなければ番組を打ち切る」と宣告される。

ここからですね、面白くなるのは(笑)。

なりふり構わず、これと思った企画を敢行するベッキー。

そんな中で、コリーンはもちろん、マイクも徐々に変っていく。

そして番組は・・・という展開だ。

まあ、ベッキーが恋愛も後回しにして、とにかくよく働きます。

本当は、「視聴率至上主義のテレビ」を批判する社会派的内容にするほうが簡単かもしれない。

でも、こういう風に、「とはいえ、私は仕事が好きだし、やるだけやるんだ」と頑張っている“お仕事女子”を応援する方向もいいじゃん、と思えた。

ただし、視聴率の上げ方のあれこれは、「ありゃまあ」というものだけどね(笑)。

「地デジ難民のゼロ化」運動について

2011年03月09日 | テレビ・ラジオ・メディア

札幌出張中の新聞をチェックしていたら、4日に「地デジ完全移行」に関する記者会見があった、という記事を発見。

そうだ、放送批評懇談会のギャラクシー賞報道活動部門の前委員長・坂本衛さん(ジャーナリスト)が、この日に意見表明を行うとおっしゃっていたっけ。

私も、坂本さんたちの「地上アナログ放送の終了延期=地デジ難民のゼロ化」運動に賛同を表明している一人。

総務省に提出する「ゼロ化を求める要求書」には賛同人の名簿も添付されるはずだ。


「地デジ難民あふれる」識者ら、アナログ終了延期訴え

テレビの地上デジタル放送への完全移行をめぐり、砂川浩慶・立教大准教授やジャーナリストの坂本衛さんらが4日、東京都内で記者会見し、「このままでは地デジ難民が多数出る」として、7月24日に予定されているアナログ放送の終了を延期するよう訴えた。

近く総務省に要求書を提出する。

要求書では「地上アナログ放送の終了を地域ごとに段階的に行うこと」「地デジ難民がゼロになるよう万全を期すこと」などを総務省とテレビ各局に求めている。

昨年9月の総務省の調査によると、地デジ受信機の普及率は90.3%。だが、要求書では「地デジに未対応で調査に非協力的な世帯が多数漏れており、実態を反映していない」と批判。「経済的弱者への支援も遅れている」と主張している。

(朝日新聞 2011.03.04)



・・・・いまや高齢者を中心に多くの「地デジ難民」が発生するのは明らかだ。

地デジ化は “国策”だが、アナログ停波が「全国一斉」である必要はない。

元々、地上波は「県域」免許であり、各地域の実情に合わせての五月雨式移行は可能なはず。

もちろん地方局にとっての負担は軽くない。

しかし、今後ますます“地域の放送”という役割が増すことを思えば、むしろアナログ停波のタイミングの判断は各局に任せるべきだと考えるわけです。


TBS「さしこのくせに」の土田晃之がいい

2011年03月08日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載中の番組時評「テレビとはナンだ!」。

今週は、TBS「さしこのくせに」を取り上げました。

本文にも書いた通り、まずこのタイトルがお見事(笑)。

「“さしこ”のくせに冠番組なの?」という内外のやっかみを封じながら、主役の名前をしっかり入れ込むあたり、さすが秋元さんです。


この番組を教えてくれたのは、“さしこ”こと指原莉乃がごひいきだという我が家の高校生の息子。

第1回目の録画を見て大いに笑った。

それ以来、毎週、親子で見ております(笑)。


指原莉乃と土田晃之の組み合わせが面白い「さしこのくせに」

何とも秀逸なタイトルなのが「さしこのくせに」(TBS)。

“さしこ”とはAKB48の指原莉乃(さしはら・りの)のニックネームだ。

指原は人気投票に当たる「総選挙」では19位。

前田敦子や大島優子といったトップ組ではない。

特別美形とか歌が上手いわけでもなく、むしろ“へたれキャラ”。

「さしこのくせに」はそんな指原の冠番組だ。

いや、AKB48メンバー初の単独冠番組である。

コンセプトは「指原の育成」。

毎回さまざまな課題が与えられ、それをクリアしないと番組は打ち切り(ということになっている)だ。

戦場カメラマン・渡部陽一を対談で混乱させようとしたり、ダチョウ倶楽部の面々からリアクション芸を習ったりする。

見ていると、指原には天然の愛嬌がある。

また自分をよく見せようとしない潔さがある。

ごくフツーの女の子がフツーに頑張る姿が共感を呼ぶのだ。

しかし、この番組で見るべきは指原だけではない。

共演する土田晃之の“番組回し技”だ。

視聴者に「テレビの作られ方」をさりげなくバラしつつ、指原のへたれぶりをショーアップし、ゲストの持ち味を引き出す。

番組も指原も「AKB商法」と呼ばれる巨大ビジネスの一部であることを十分認識しながら、「テレビで遊ぶ」を体現しているのだ。

土田晃之、芸歴20年。

もはや単なる“ひな壇芸人”などではない。

(日刊ゲンダイ 2011.03.07)



・・・・というわけで、“さしこ”というか、“さっしー”ファンの息子が今、
楽しみにしているのが4月の幕張メッセ。

AKB48の「大握手会」が行われるそうだ。

いや、普通の握手会(?)ではない。

「特定の相手」(息子の場合はさっしー)と握手ができるというのだ。

そのために、彼は「桜の木になろう」の劇場版CDを購入した。

しかも、同じCDを3枚!(笑)。

これでさっしーと3回握手ができるらしい。

ほんと「アホか!」でありますが、まさに「AKB商法」大当たり。

少年たちのお小遣いは、こうして吸い上げられていくんですね(笑)。



メディア「合併の時代」が始まる!?

2011年03月07日 | テレビ・ラジオ・メディア

地方局が「辛い」「危ない」というのは、もう何年もいわれてきたことだ。

また同時に、こうもいわれてきた。

単独で存続していくのが大変ならば、合併でも何でもすればいいじゃないか、と。

確かに「合併」は方策のひとつではある。

しかし、総務省令で「マスメディア集中排除原則」が定めらている。

これは「放送をすることができる機会をできるだけ多くの者に対し確保することにより、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によつて享有されるようにするため」のもの。

実質的に、民放局の株式持ち合いなどを制限してきた。

しかし、どうやらここにきて、大きく動きそうな気配が。

規制緩和のための見直し案が出てきたのだ。

これって、かなりすごいことで、ラジオ局の合併が認められるとしたら、当然、その先にはテレビ局がある。

メディア「合併の時代」の始まり、ということになるかもしれません。


ラジオ局合併へ規制緩和 地方など経営改善促す

総務省は四日、ラジオ局の兼営や局同士の合併を認め、複数チャンネルを運用できるように規制ルール見直しを行う、と発表した。

地方局を中心に業績悪化が進んでいることから、他局による救済を認め経営改善を促す。電波監理審議会での審議を経て関係省令を改正し、六月末の施行を目指す。

放送局をめぐる規制ルールを定めた「マスメディア集中排除原則」では、放送局や放送局に10%超の出資をする企業は、他局への出資制限がある。特定企業による多メディア支配を防止するためだ。

見直し案では、放送局や企業は、ラジオ局に限りAM、FMを問わず最大四局まで上限なしに出資できるようにする。

個別局の100%子会社化や吸収合併も可能で、複数チャンネル放送ができるようになる。設備の共有化で効率化が進む可能性もある。

ラジオ業界は、インターネットに押されて広告収入が減少、苦戦が続いている。規制ルールの見直しは、日本民間放送連盟が総務省に要望していた。

(東京新聞 2011.03.05)

今週の「読んで書いた本」 2011.03.06

2011年03月06日 | 書評した本たち

札幌滞在が続いている。

とはいえ、夜、部屋で本を読むことに変わりはない。

原稿の締め切りにも変化なし(笑)。


今週、「読んで(書評を)書いた」のは以下の5冊です。

梁 石日
『Y氏の妄想録』(幻冬舎)

西澤保彦
『幻視時代』(中央公論新社)

石川輝彦
『ニーチェはこう考えた』(ちくまプリマー新書)

飯柴智亮
『日米同盟崩壊』(集英社)

文化放送&ニッポン放送&田家秀樹:編
『セイ!ヤング&オールナイトニッポン 70年代深夜放送伝説』
(扶桑社)


・・・・私も完全に深夜放送世代ですが、主に聴いていたのは「オールナイトニッポン」と「パック・イン・ミュージック」(TBS)。

そういえば、ナチチャコ「金曜パック」の野沢那智さんも亡くなったんだよな。

チャコこと白石冬美さんは、お元気だろうか。


* 書いた書評は、発売中の『週刊新潮』最新号(3月10日号)に
  掲載されています。