碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

企画力が光る、テレビ東京「家族になろう(よ)」

2012年05月23日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

東京新聞に連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。

今週は、テレビ東京「家族になろう(よ)」を取り上げました。


テレビ的な仕掛けが少なく
好感の持てる家族バラエティー

テレビ東京の「ちょこっとイイコト」がリニューアルされ、今年4月にスタートした「家族になろう(よ)」。司会は引き続き岡村隆史とほんこんだ。

メーンコーナーは「一泊家族宿」。独身芸能人が一般家庭にお邪魔して、いわば“疑似家族”体験をする。それによって結婚への意識を高めようというのが狙いだ。

先週は岡村隆史自身が、69歳の夫と40歳の妻、さらに5男1女の子供たちが暮らす家庭に一泊した。

いわゆる“大家族物”は各局で作られているが、あまりに子供が多い家庭を見ていると、微笑ましい半面、親が十分にその責任を果たせるのか心配になることがある。

しかし、今回登場した子供たちは皆きちんと挨拶が出来るし、父親の養蜂業も手伝う。中でも13歳の長男が祖父と間違われそうな父親のことを、「土日も働くのは偉い。友達もカッコイイと言っている」と素直に語るのを聞いてうれしくなった。

また岡村も無理に笑わせたりはせず、親戚のおじさんのような自然体。変にテレビ的な仕掛けがないのも好感がもてる。

一緒に食卓を囲み、布団を並べて眠り、時には拳骨が飛ぶケンカもする子供たち。厳しくて優しい両親。

そんな「家族のありがたみ」を独身の岡村を介して伝えた企画力が光る。家族の大切さが再認識される時代ならではのバラエティーだ。

(日刊ゲンダイ 2012.05.22)

上智大学で、「震災後の写真展」開催中

2012年05月23日 | 大学

上智大学ボランティア・ビューローが、復興支援ボランティア活動を行った本学の学生、課外活動団体と共にシンポジウムと写真展を開催中です。

2か所に分かれた会場の写真展を、それぞれ見てきましたが、チカラのある写真が並んでいました。

その中には、ボランティアとして現地に行った高校生で、我が家の息子の同級生でもある塚田耀太君が撮った写真も含まれています。

ぜひ、ご覧ください。


写真展「震災後の写真展」

5月21日(月)~ 25日(金) 
中央図書館1階(8:00~21:00) 
2号館5階学生食堂入口(9:00~19:00)

5月28日(月) ~ 6月29日(金) 
中央図書館1階(8:00~21:00)

協力 上智大学生ボランティア & みちのくcaravan









    

~写真展に込められた想い~

2011年3月11日、午後2時46分。

千年に一度といわれる大地震、大津波によって、
街が、思い出が、そしてたくさんの命が失われた。
 
そんな中、
メディアに流れる凄惨な映像を前に
感じた無力さ、もどかしさ。

力になりたい。
ただその思いを胸に東北へ飛び出していった。
 
ボランティアとして力になれたのは
ほんの僅かかもしれない。

でもその中で芽生えた確かな気持ち。
「学生の自分たちにこれから何ができるのか。」
 
仲間たちと悩みながらたどり着いた答え。 
震災から半年以上が経った今だからこそ伝えたい。
 
“写真家”として。
“ボランティア”として。
 
人々が一歩一歩着実に歩んできた、東北の軌跡を。

未曽有の大震災にも負けず、
着実に復興へと歩んでいる奇跡を。
  
                  
「みちのく caravan」運営メンバー 一同








「第49回ギャラクシー賞」記者会見

2012年05月22日 | テレビ・ラジオ・メディア

NHKの中にあるラジオ・テレビ記者会で、報道活動部門の選奨委員長を務めている「ギャラクシー賞」の記者会見が行われました。

テレビ、ラジオ、CMなど各部門の委員長と共に出席。

放送担当記者の皆さんに対して、選考を終えての全体の感想や、入賞作品の説明などをさせていただきました。

大賞、優秀賞などが発表される贈賞式は、6月4日です。


第49回ギャラクシー賞贈賞式


■日時 

2012年6月4日(月曜日)贈賞式16:30~18:30

取材受付開始15:15、取材開場15:30、開演16:30
  
■会場 

ウェスティンホテル東京<ギャラクシールーム>

■出席予定

テレビ、ラジオ、CM、報道活動部門入賞作品関係者の皆さん
各部門とも、入賞作品の中から大賞、優秀賞、選奨が選ばれ、贈賞式で発表します

小泉今日子さん(テレビ部門個人賞)
木曜劇場「最後から二番目の恋」(フジテレビ)、
連続ドラマW「贖罪」(WOWOW)の演技

吉田尚記さん(ラジオ部門DJパーソナリティ賞)
ニッポン放送「ミュ~コミ+プラス」パーソナリティとして

サプライズゲストが登場する場合もあります



・・・・取材の申し込み等は、放送批評懇談会まで、お問い合わせください。









今週の「読んで(書評を)書いた本」2012.05.21

2012年05月21日 | 書評した本たち

今日21日(月)の朝、どれだけの人が、空を見上げることか。

金環食。

ちょっとしたブームと言っていい。

テレビも各局が特番風の態勢で、この自然現象を迎え撃つようだ(笑)。

私を含め、ある世代以上だと思うが、金環食と聞いて、石川達三のベストセラー小説「金環蝕」を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。

時代は高度成長期,総裁選をめぐり巨額の買収が与党内で起こった。その穴埋めの政治献金を得るため,ダム建設の入札が、あるからくりとともに推し進められた・・・。政界・財界・官界を舞台にした一大疑獄と、野望と欲に取り憑かれた人々を活写し、政治腐敗,国費の濫費に対する国民の怒りを喚起した問題の長編小説。



・・・・手持ちの、昭和41年に新潮社から出た初版本を開いてみる。

巻頭にいわく。


「金環蝕 
  まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、
  中の方は真黒に腐っている」



「金環食」の日に、「金環蝕」を読む。

これも悪くないような気がします(笑)。


さて、今週の「読んで(書評を)書いた本」は、以下の通りです。
 
坪内祐三 
『父(おとこ)系図~近代日本の異色の父子像』 廣済堂出版

中島義道 
『真理のための闘争』 河出書房新社

堀江敏幸 
『時計まわりで迂回すること』 中央公論新社


* 上記の本の書評は、
  発売中の『週刊新潮』(5月24日号)
  に掲載されています。


「NHK経営委員長」が「東電社外取締役」になるなんて・・・・

2012年05月20日 | テレビ・ラジオ・メディア

これだから、「東京新聞」はヤメられない(笑)。

「NHK経営委員長が東電社外取締役に内定」という、誰がどう見ても真っ当ではない事態に対して、きっちりと「異」を唱えている。

これでこそ、ジャーナリズムだと思う。


NHKと東電 蜜月
数土NHK経営委員長が
東電社外取締役内定の愚


NHKと東京電力。報道する側とされる側。相反する立場にあるはずの組織だ。NHK経営トップの数土(すど)文夫氏(71)が、東電の社外取締役に就くという。中立性、公正性が疑われるのは当然。これでNHKを信用してくれというのは、無理な相談だ。(上田千秋・小倉貞俊記者)

■会長任命など権限絶大 過去、放送内容に介入?

「国の一大事だと思い、是非に、と頼まれたので引き受けた」「放送内容には立ち入らないし、私もこれまで立ち入ったことはない」。NHK経営委員長と東電社外取締役の兼職を疑問視する声が相次いでいることについて、数土氏はこう反論した。

数土氏は、北海道大卒業後、川崎製鉄(当時)に入社。二〇〇三年に同社と日本鋼管が統合して発足したJFEスチールやJFEホールディングスの社長などを歴任した。

経営委員会とは、一般にはなじみが薄いが、NHKの最高意思決定機関で権限は絶大。放送法などによると、十二人いる委員は衆参両院の同意を得て首相が任命。任期は三年で、委員長は委員の互選で決まる。

NHK会長の任命権や予算を議決する権限などを持ち、年間の報酬額は常勤二千二百五十六万円、非常勤でも五百七万円。委員長はそれぞれ20~30%程度上乗せされる。

非常勤の場合は兼業が可能だが、放送の中立性を守るため、国家公務員や政党役員、テレビメーカーの役員などが委員になることは禁じられている。

経営委員は個別の放送内容に口を挟むことはできないようになっている。ところが過去には、経営委員長が放送内容に踏み込む発言をして物議を醸したことがある。

富士フイルムホールディングス社長の古森重隆氏が委員長だった〇八年三月、海外向けの国際放送の内容に関して「日本国民の立場に立って国益を主張すべきだ」と発言。後には、自民党衆院議員の会合に出席していたことも判明し、市民団体が罷免を求めて署名を提出する事態に発展した。古森氏は任期満了まで委員長を務めたが、波紋を広げた。

数土氏も一月の経営委員会で「もっと番組の編集方針について執行部側と経営側との意見交換があってもいい」と、放送内容への介入と受け取られかねないような発言をしている。

社外取締役の人事は、東電の次期会長に就任する原子力損害賠償支援機構の下河辺和彦運営委員長が進めたとされている。しかし、実際には民主党の仙石由人政調会長代行が主導し、民主党に近い経済同友会(同友会)に協力を求めたとの見方が専らだ。

社外取締役に就任する予定の住生活グループ、藤森義明社長(60)と、三菱ケミカルホールディングスの小林善光社長(65)、それに数土氏の三人は、ともに同友会の副代表幹事を経験している。


「取材する側」と「される側」
中立性 保てるのか
視聴者に不信「報道機関の自殺行為」

仙石氏が人事に関与したためなのか、野田政権は、数土氏の社外取締役就任を容認している。放送業界を所管する川端達夫総務相は十五日、「非常勤の委員の兼職は禁止されておらず、制度上の問題はない」と断言。枝野幸男経済産業相も同様の見解を示した。

■保有社債上位五社は電力系

実はNHKは、以前から電力業界と密接に繋がっている。昨年九月末現在の中間財務諸表によると、NHKは計約九百二十五億円の事業債(社債)を保有。

金額はトップの東電が百三十二億円、関西電力六十五億円、中部電力六十四億円、中国電力五十一億円、東北電力四十二億円と上位五社はすべて電力会社が占めている。東電をはじめとする電力会社の経営状況が悪化すれば、NHKにも影響が及ぶ。

数土氏の社外取締役就任にはNHK内部からも異論が出ている。管理職を除く全職員約七千六百人が加入する日本放送労働組合は十六日、東電が実質国有化される点に触れ、「従来以上に慎重に距離感を意識しなければならないのは当然」とする声明を発表。「公共放送の自主自立を疑わせる要員になりかねない」と訴えている。

識者はどう見ているのか。メディア批評誌「GALAC」の編集長を務める丹羽美之東京大准教授(ジャーナリズム研究)は「東電は原発事故以降の報道において、最も重要な取材対象だ。『NHKは東電の発表を垂れ流しているだけ』とまで言われているのに、ますます視聴者の疑念が膨らみかねない」と苦言を呈する。

原発事故のテレビ報道を検証している伊藤守早稲田大教育・総合科学学術院教授(メディア研究)も「NHKと東電、それぞれの経営陣に居れば利益相反する内部情報を知ることになる。矛盾する立場に就こうという数土氏の見識も甘ければ、それを認める政府の判断もおかしい」と批判する。

社外取締役に就く予定の藤森義明住生活グループ社長は、福島第一原発の原子炉を製造した米ゼネラル・エレクトリック(GE)社の上級副社長を務めていたことのある人物だ。伊藤氏は「受け手の東電にとっても都合のいい人事になっている」とみる。

「今回の件で数土氏は、マスメディアの役割についての認識不足を図らずも露呈した」。市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」の共同代表を務める醍醐聡東京大名誉教授はこう断言する。

醍醐氏らは、「経営委員長と社外取締役はともに職責が重く、両立は不可能。数土氏はNHKか東電かのどちらかを選ぶべきだ」などとする要望書を、数土氏本人や総務相、経産相などに提出した。

醍醐氏は「自身の態度が世間のNHKに対する不信感を広げた責任は深刻なのに、それに気付いていない。経営委員長としての資質がないのは明らかであり、メディアから去った方がいい」とこきおろした。

NHKの元政治部記者、川崎泰資椙山女学園理事は「そもそも、NHKと電力会社とのつながりは昔から深かった」と話す。関西電力の小林庄一郎会長が一九九二年から九八年まで経営委員長を務めた事例もある。

川崎氏は「NHKが脱原発デモをほとんど報じていないことでもわかるように、局内には原発に批判的な番組は作り難い雰囲気がある」と指摘する。自身も以前、原発事故関係の取材をやめるよう圧力を受けたこともあったと明かし、こう強調する。

「このままでは、NHKの信頼は二度と取り戻せなくなる。報道機関の自殺行為だ」


<デスクメモ>
NHKに、本当の権力批判、政府批判はできるのか。原発事故報道に遠慮はなかったか。公共放送であるNHKを見る目は厳しい。報道機関にとって、不信感をもたれること自体が致命的だ。現場には真面目に取材している記者ももちろんいる。それなのに、一人のトップの行動ですべてが失われる。(国デスク)

(東京新聞 2012.05.19)


・・・・普通に考えれば当たり前のことが、なぜ当たり前に行われないのか。

数土氏は、東電の社外取締役に就任するなら、NHKの経営委員長を辞するべきだ。

もしも、それが行われないなら、NHKが数土氏を経営委員会から外すべきなのだ。

「報道機関にとって、不信感をもたれること自体が致命的だ」という国デスクの言葉に尽きる。





運動会日和

2012年05月19日 | 日々雑感

土曜の午前中。

いい天気だ。

風が気持ちいいいので、窓を開けて仕事をしていたら、突然「ミッション・インポッシブル」のテーマ曲が流れ、歓声が聞こえてきた。

近所の小学校で運動会だ。

そういえば、ここしばらく、ずっと練習が行われていたっけ。

よかったね、晴れて。

あ、今度はAKB48の「フライングゲット」だ。

どんな競技が行われているんだろう(笑)。


J-CASTニュースで、「テレビ局のSNS活用」について解説

2012年05月19日 | メディアでのコメント・論評
(大学から四谷駅への道で見かけた夕日)

先日の「産経新聞」に続いて、「J-CASTニュース」から、「テレビ局のSNS活用」についての解説を求められました。

夕方、授業が終わった後の取材だったにも関わらず、19時半には、すでに記事が掲載されているというスピード感がいいですね(笑)。


「SNSで番組情報入手」まだ2割弱 
テレビとの「相性の良さ」は本当か

ツイッターやフェイスブックの利用者増にともない、テレビ局が番組内でSNSを活用するケースが見られるようになってきた。SNSがテレビ広告市場の好況に「一役買っている」と報じるメディアもある。

一方で、テレビ番組に関する情報を得るのは「番宣」や「新聞の番組欄」とする人が今も多数を占め、SNSと答えた人は2割に満たないのも現実だ。

■学生同士はSNSで「あの番組おもしろい」と教え合うが

調査会社MMD研究所が2012年5月15日に発表した「携帯電話、スマートフォン所持者のテレビ視聴に関する実態調査」では、「テレビ番組を視聴する際の情報収集」「新しいテレビ番組を知るきっかけ」についてそれぞれどこを情報源としているか、500人から有効回答が寄せられた。

いずれの設問にも、テレビなどで閲覧する電子番組ガイド、新聞の朝刊のテレビ番組欄や番組紹介記事、番組宣伝のCMや紹介番組、との回答が「トップ3」だ。番組情報の収集では「電子番組ガイド」を頼っている割合が55.6%に上る。「新番組を知るきっかけ」でも「番宣CM」が47%に達していることから、「テレビ番組を知るのはテレビから」というスタイルが今も定着しているのが分かる。

これに対して「ツイッターで知人や友人が発信している情報」を活用していると答えた人は、いずれも10%強だ。フェイスブックやその他のSNSとの回答は6%程度にとどまり、SNS全体でも2割弱。世代別でみると、10代では2割がツイッターによる「知人情報」を活用している半面、20代以降になるとその割合は1割を切る。

これに対して、テレビCM市場では「SNS効果」が出ているとする向きもある。2012年5月17日付の朝日新聞朝刊では、テレビで流れたCMがツイッターで話題になり、動画投稿サイト「ユーチューブ」での再生回数が4日後には20倍以上に急増した事例を紹介。在京民放テレビ局の好決算や、東日本大震災前を上回る勢いのCM市場の活況に、SNSが「力を貸しているとの見方もある」と伝えている。SNSの「口コミ力」を評価する論調だ。

上智大学文学部新聞学科の碓井広義教授(メディア論)に取材すると、「周囲の学生は確かにSNSを使って『あの番組おもしろい』と教え合ったりしています」と話す。しかし、世代を問わずSNSを通じて話題が広がりヒット番組、ヒットCMが生まれるかといえば、懐疑的だ。番組情報をSNSから得る人で、20代以降が数%にとどまったMMD研究所の調査結果からも、「SNSとテレビの『親和性』が言えるのは、若者の世代に限定される」と考える。

■若者の視聴者獲得をねらってSNS活用?

「テレビとSNSは相性が良い」として、番組にSNSを取り込むケースは少なくない。情報番組のみならず最近ではNHKの「NEWS WEB 24」のように、ツイッターで意見を募集したり、視聴者のツイートを画面下に表示したりと「連動性」を図る報道番組もある。

碓井教授はこの番組について「試みは大事」としながらも、ツイッターによる意見募集が、ツールや伝達スピードは違うが、かつてのハガキやファクスによるものと大差がない点を指摘する。報道番組という特性から、「視聴者の意見を軽視するわけではないが、匿名で誰とも分からない人の『つぶやき』を流し続けることが『双方向性』と言えるでしょうか」と首をひねる。

そもそも、本当にテレビはSNSを活用しなければならないかという根本的な疑問もある。実は今、テレビ局が獲得に力を入れるのが20代を中心とする若者の視聴者だと碓井教授。ネットに親しむ若者に向けて「SNSを取り入れた番組」をアピールし、視聴してもらいたいとのねらいもあるのではないかとみる。

ただし現状では「有効な方法論が見つかっておらず、成果は上がっていません」。それでもテレビ局は試行錯誤を重ねながら、本当にSNSをテレビに取り入れる必要性があるのかも含めてしばらくは検証する必要があるだろう、と話す。


(J-CASTニュース 2012.05.18)


<このブログ内での関連記事>

産経新聞で、「SNS連動」報道系番組についてコメント
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/14e90ead00de38d4f1368a58a4554f11

ゼミのゲストに吉田理恵アナウンサー

2012年05月18日 | 大学

ゼミのゲストとして、吉田理恵アナウンサーをお招きした。

吉田さんは、この3月までHTB北海道テレビ(テレ朝系)のアナウンス部に所属していた。

現在は、東京でフリーアナとしての活動を開始している。

吉田さんがHTBに入社したのは2006年春。

当時、私はすでに「イチオシ!」などHTBの番組でコメンテーターをしていたので、社内の「大型新人登場!」という雰囲気をよく知っています。

実際、入社半年で朝の番組のMCに抜擢(!)される新人なんて、滅多にいなかった。

前記の「イチオシ!」をはじめ、「ほんわかどようび」「イチオシ!モーミング」といった番組でご一緒してきましたが、アナウンス力はもちろん、臨機応変の自在な対応力、また明るく親しみやすいキャラクターにも感心するばかり。

HTBでの6年間の大活躍は、本当に見事でした。

そんな吉田さんが故郷である東京に戻って来た。

で、さっそくゼミのゲストをお願いしたわけです。

私からは、「職業としてのアナウンサー」、「放送局という仕事場」「放送ウーマンの現場」、「わたしの就職戦線」といった要素を織り混ぜたお話を、とお願いしてあったのだが、いやあ、面白かった(笑)。

いわゆるマスコミセミナーなどでの“表向き”の話とは、ひと味も、ふた味も違う内容で、時間があっという間に過ぎてしまった。

碓井ゼミは、やはり放送業界志望者、またアナウンサー志望者が多く、しかもゼミ生に女性がたくさんいるので、今回はとても勉強になったはずだし、また刺激になったと思います。

吉田さん、ありがとうございました!
















竜巻の強さ「F」って!?

2012年05月17日 | 「東京新聞」に連載したコラム

『東京新聞』に連載しているコラム「言いたい放談」。

今回は、「竜巻」をめぐる話を書きました。


竜巻と2人の日本人

茨城を襲った竜巻の映像を見ていて、アメリカのオクラホマ大学を訪れた時のことを思い出した。

取材したのは「トルネード・チェイサー」と呼ばれる研究チームだ。観測機材を満載した特別車両で竜巻を追いかけ、発生のメカニズムを探り、動きを予測する研究を行っている。

トルネード・チェイサーの生みの親は名誉教授の佐々木嘉和さん。
五十年以上も竜巻研究を続けてきた先駆者だ。

その教え子で世界的権威でもあるワーマン教授の追跡行を撮影させてもらったが、ドップラー・レーダーからの情報を元に広大なエリアを
走り回る彼らのエネルギーと情熱に驚かされた。

アメリカでは竜巻の発生回数も犠牲者の数も日本とは比べものにならないほど多い。特に竜巻の進路予測は住民の命にかかわるため、研究者も必死なのだ。

もう一人、忘れてはならない日本人がいる。シカゴ大学名誉教授だった藤田哲也さんだ。

ニュースでは茨城の竜巻を「F2レベル」と報じていたが、Fは「藤田スケール」といって竜巻の強さを表わす指標。藤田さんが被害を受けた
建物の調査を重ねて考案した世界基準である。

ワーマン教授たちの活動をモデルにして製作されたのが映画「ツイスター」だ。

二人の日本人が基礎を築いた竜巻研究は、トルネード・チェイサーの
果敢な挑戦を含め、今も進化を続けている。

(東京新聞 2012.05.17)


産経新聞で、「SNS連動」報道系番組についてコメント

2012年05月16日 | メディアでのコメント・論評

『産経新聞』に、SNSと連動した、最近の報道系番組に関する記事が掲載されました。

この中でコメントしています。

視聴者参加へ報道系番組もSNS 
テレビ局の試行錯誤続く

■「採用」目的化、複雑な進行 課題も多く

ツイッター、フェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)と連動したテレビ番組が増えている。春からはSNSを使って生放送中の視聴者の投稿を深く反映させようと試みる報道系の番組が、相次ぎスタートした。制作者は「テレビとネットの融合でニュースを多角的に捉えたい」と意気込むが、「投稿の採用を目指すヘビーユーザー向けの番組になってしまう」といった懸念の声もあり、試行錯誤は続きそうだ。(草下健夫)


時事・報道系の番組ではこれまでにもテレビ朝日の討論番組「朝まで生テレビ!」やTBS「報道特集」、「NHKスペシャル」などがツイッターを利用し、「番組で紹介する場合があります」として視聴者の意見や感想を求めている。4月2日にスタートしたNHK総合の「NEWS WEB 24」(祝日除く月~金、深夜0・0)は、それを一歩進めた。

自局のニュースサイトのアクセス数を参考にニュースを選び、ツイッターでニュースに関する質問や意見を募集する。放送中はほぼ常時、画面下端に視聴者のツイート(投稿)が表示され、ゲストの識者への質問としてアナウンサーらがツイートを取り上げることもある。

 ◆若者には“参加感”

沖田喜之チーフ・プロデューサーは「(動画投稿サイトの)ニコニコ動画などは書き込みができ、若い人の間では“参加感”が受けている。作り手の価値観のお仕着せは、ネット時代には合わないと考えた」と企画意図を説明する。

一方、情報番組「BSフジLIVE ソーシャルTV ザ・コンパス」(土曜後9・0)は、識者と視聴者双方の参加を掲げて4月28日にスタート。フジテレビのサイトに識者ら102人が登録。そこにニュースや社会問題をめぐって寄せられた意見を基に番組を進め、放送中にツイッターやフェイスブックで視聴者が寄せる意見を紹介し、議論を深めていく。

宗像孝プロデューサー(フジテレビ)は「情報番組は、あるできごとについて評価し得る見方が一つ示されると、その一方向に突き進みがち。ニュースを多角的に捉える必要がある」とSNS利用の狙いをアピール。「他局でもSNSを使う番組は出ており、意見を集めるだけでは差別化できない」とも話す。

 ◆「ゲーム化」の恐れ

SNSを活用した番組づくりについて、碓井広義・上智大教授(メディア論)は「若い世代にテレビがアピールする試み」と評価しながらも、「視聴者参加をうたっているが、それは現状では投稿が採用されること。視聴者側は番組で紹介される喜びを得ようとして投稿を繰り返す“ゲーム感覚”に陥ってしまう。果たしてそれが本来の視聴者参加になるのか」と疑問を呈す。

NHKの沖田氏も「本当は番組批判も歓迎なのだが、減っている。番組や出演者を“ヨイショ”するなど、採用を狙って書かれたものがあり、それが『ヨイショしないと紹介してもらえない』との思い込みを呼ぶ悪循環にならなければよいが」と、早くも課題を感じているという。

また、メディアの活用を重ねるほど、番組進行は複雑になる。フジの宗像氏は「もっとシンプルに、一つ一つの意見をじっくり解釈し、ゆったりした雰囲気を出したい。課題は山積している」と話す。

「NEWS WEB 24」には当初、「表示されるツイートを読んでしまい、肝心のニュースが頭に入らない」との指摘も寄せられた。NHKの松本正之会長は「高齢者にはつらい。どんな形が適正か、工夫しながら番組を育てていくことになると思う」と話している。

(産経新聞 2012.05.16)

谷村美月が演じ分ける「たぶらかし~代行女優業・マキ」

2012年05月16日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。

今週は、ドラマ「たぶらかし~代行女優業・マキ」(テレビ朝日)を取り上げました。


毎回異なる役柄を演じ分ける
テクニシャンぶりに拍手

21歳にしてキャリア10年の女優、谷村美月が勝負に出た。民放連ドラ初主演となる「たぶらかし~代行女優業・マキ」(日本テレビ)。舞台や映画ではなく、現実の世界で〝誰か〟になりすます「代行女優」という珍しい役柄である。

所属劇団が解散し、借金の返済に追われるマキ(谷村)は、「女優求む、時給3万円」のビラにつられてこの稼業に飛び込む。様々な事情を抱える人たちからの依頼で、ある時は自殺した女流画家の〝死体〟を演じ、またある時は女性実業家に化けたりする。

先週はイギリスから帰国した女性ピアニストの〝代行〟を務めていた。さすがにピアノの実演こそなかったが、毎回異なる女性像を演じ分けるのは難易度が高い。谷村はよくやっている。

またこれまでにない大胆な衣装や、きわどいシーンにも挑戦。敢えて難を言うなら、30分1話完結の形式のため、消化不良を起こすことがある。視聴者が谷村の〝たぶらかし〟に十分馴染まないうちにドラマが終わってしまうのだ。

とはいえ、ついこの間まで女子中高生にしか見えなかった谷村が、堂々と大人の女性を演じていることに拍手だ。脇を固める段田安則や山本耕史も、〝座長〟の谷村をしっかりと支えている。

深夜ということもあり平均視聴率は3%台だが、大量の刑事物に飽きた人には絶好の避難所だ。

(日刊ゲンダイ 2012.05.16)

企画会議、白熱

2012年05月15日 | 大学

小雨の一日だった。

地下のスタジオで、実習科目「テレビ制作Ⅱ」。

今日は、これから制作する映像作品の企画会議だった。

原作をベースに脚本を練り、ショートフィルムというか、短篇ドラマを作るのだ。

すでに各個人の企画は全体にプレゼンテーションされた。

現在、グループ内で討議を行い、原作を1本に絞り込んでいるところ。

さて、何が出てきますか(笑)。














映画「宇宙兄弟」、堂々の牽引力

2012年05月15日 | 映画・ビデオ・映像

映画「宇宙兄弟」を観た。

原作漫画(面白いそうです)は読んでいないので、いきなり映画で、兄弟と対面。

いいねえ、この兄弟(笑)。

特に子ども時代のやりとりは、時代を超えた懐かしさがあって、よかった。

大きくなってからは、弟役の岡田将生が、とてもいい。

兄貴よりも器が大きい感じで。

そして、キャストもさることながら、ロケットの打ち上げなどの“国産VFX”(偉いぞ、オムニバス・ジャパン)、月面シーンの美術(偉いぞ、都筑雄二美術監督)も頑張っていた。

何より、ロケットも月面も、ちゃちくさくないのが、観ていて有難かったなあ(笑)。

冒頭での宇宙開発ヒストリーの紹介も、後できっちり、その意味が明らかになる(偉いぞ、脚本の大森美香)。

エンドロールが流れる中、1969年7月、月面からの「人類の偉大な一歩」のテレビ中継を、夢中で見つめていた中学3年生の自分を思い出していました。


というわけで、小手先・小技に逃げず、堂々と全体を牽引した森義隆監督には、「楽しませてもらいました、ありがとう」を。

「日本映画、元気じゃん」と思わせてくれる1本でした。



      (スーパームーンの際のワンショット)

「マイベストTV賞」年間グランプリの投票、本日締め切り

2012年05月14日 | テレビ・ラジオ・メディア

ギャラクシー賞「マイベストTV賞」年間グランプリの投票が、本日(14日)、17時に締め切りとなります。

この「マイベストTV賞」は、一般の方たちもWEB会員(無料)となって投票に参加できるのが特徴。

●発表は、5月21日(月)に放送批評懇談会のホームページで。
●投票を行ったWeb会員のうち、2人1組を、6月4日(月)に開催される「第49回ギャラクシー賞贈賞式」にご招待。
●年間グランプリは「月間ノミネート番組」(上位3作品)に選出された以下の作品から投票してください。※「ミュージックステーション」は特別投票の音楽番組と長寿番組の両部門で選出されましたので、今回は音楽番組での候補作となっています。 

マイベストTV賞 年間グランプリの投票は、次のサイトから。
http://www.houkon.jp/members/index3.html


1人1回の投票に限ります。

そして、候補作は下記の通り。

壮観ですねえ(笑)。


<2011年>
4月度 NHK 若冲ミラクルワールド

4月度 TBS 開局60周年記念 日曜劇場「JIN~仁」

4月度 テレビ朝日 出張!徹子の部屋 お宝映像も大放出SPパート2

5月度 フジテレビ マルモのおきて

5月度 NHK 歌でつなごう

5月度 NHK 連続テレビ小説「おひさま」

6月度 日本テレビ 高校生レストラン

6月度 フジテレビ BOSS

6月度 テレビ東京 鈴木先生

7月度 フジテレビ それでも、生きてゆく

7月度 日本テレビ ドン★キホーテ

7月度 日本テレビ ザ!鉄腕!DASH!!

8月度 フジテレビ 終戦記念特別番組「最後の絆~沖縄 引き裂かれた兄弟」

8月度 日本テレビ ブルドクター

8月度 フジテレビ チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸

9月度 NHK 櫻井翔の“いま そこにいる人々”<命の現場>

9月度 日本テレビ THE!鉄腕!DASH!!「DASH村へ」

9月度 テレビ東京 勇者ヨシヒコと魔王の城

10月度 TBS 日曜劇場「南極大陸」

10月度 NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 SMAPスペシャル

10月度 日本テレビ 怪物くん完全新作スペシャル

11月度 日本テレビ 妖怪人間ベム

11月度 日本テレビ 家政婦のミタ

11月度 TBS ゴロウ・デラックス

12月度 NHK 第62回紅白歌合戦

12月度 TBS CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ2011⇒2012

12月度 テレビ朝日 ミュージックステーションスーパーライブ2011

<2012年>
1月度 フジテレビ さんタク

1月度 フジテレビ もう誘拐なんてしない

1月度 フジテレビ ストロベリーナイト

2月度 TBS 木曜ドラマ9「最高の人生の終り方~エンディングプランナー」

2月度 フジテレビ ラッキーセブン

2月度 フジテレビ 木曜劇場「最後から二番目の恋」

3月度 NHK 連続テレビ小説「カーネーション」

3月度 日本テレビ YAMASHITA TOMOHISA ROUTE66 たった一人のアメリカ

3月度 フジテレビ ハングリー!


特別投票(音楽番組) テレビ朝日 ミュージックステーション

特別投票(音楽番組) 日本テレビ Music Lovers

特別投票(音楽番組) フジテレビ 新・堂本兄弟

特別投票(料理番組) テレビ東京 太一×ケンタロウ男子ごはん

特別投票(料理番組) 日本テレビ MOCO'Sキッチン(「ZIP!」内)

特別投票(料理番組) TBS チューボーですよ!

特別投票(長寿番組) NHK NHK紅白歌合戦(1953年~)

特別投票(長寿番組) フジテレビ 森田一義アワー 笑っていいとも!(1982年~)


「大学にハローワーク出先機関を設置」は、悪い冗談か

2012年05月14日 | 日々雑感

まるで悪い冗談のような話だ。

政府が、「ハローワークの出先機関を大学内に設けるなど行政と学校の連携強化を打ち出した」というのだ。


大学にハローワーク 
就職難 中小企業も支援


政府がまとめる「若者雇用戦略」の骨子案が十二日、判明した。景気低迷に伴い就職難が続く大学生らを支援するため、全国的情報網を持つハローワークの出先機関を大学内に設けるなど行政と学校の連携強化を打ち出した。雇用機会均等の観点から就学支援や職業教育充実を挙げ、中小企業の人材確保支援、フリーター大幅削減の確実な達成も盛り込んだ。

野田佳彦首相と関係閣僚、学識経験者、労使代表らでつくる「雇用戦略対話」の下に設置したワーキンググループで骨子案を基に議論して戦略を策定する。六月にも対話会合で正式決定する。

骨子案は(1)機会均等・キャリア教育の充実(2)雇用のミスマッチ解消(3)キャリアアップ支援-が柱。社会全体で若者を支援し「対症療法から中長期戦略」に転換して質の高い雇用を創出すると強調した。

(東京新聞 2012.05.13)



・・・・大学にハローワークの出先機関を置き、行政と学校の連携強化で就職支援、ってことらしい。

この大学が国立大学を指すのか、すべての大学を対象としているのか、それは記事だけではわからない。

わからないが、これって、どうなんだろう、と思う。

本学うんぬんではなく、一般論として言うが、近年、国は文部科学省を通じて、これまでにないほど大学に対して大きな影響力を発揮している。

それは、「大学院に関して、ああしろ、こうしろ」だったり、「外国人留学生を増やせ」だったりするが、本当にさまざまな直接・間接の要求が、大学に対して為されてきた。

それは大抵、国からの研究助成とセットになっており、つまりアメとムチの形で、細かいことにまで介入、いや”指導”を行っているのだ。

国による大学の管理統制強化と言ってもいい。

そして今度は、「雇用機会均等」という大義名分を掲げて、大学内部に国の“出先機関”を置こうとしているわけだ。

一層、教育現場に手を突っ込む形になる。

まず、「キャリア教育」なる言葉を前面に押し出して、大学を「労働力養成機関」「労働力供給機関」として捉えているかのような雰囲気が気になる。

しかも、そこでは、あくまでも「国が望ましいと認める人材」の養成や供給が求められているように感じるのだ。


ここで話は飛躍します(笑)。

1945年の敗戦まで、全国の学校には、軍事教練専門の陸軍将校が来ていた。

派遣将校の指導の下、軍事教練が学校内部で行われていた。

「兵隊」という、まさに「国が望ましいと認める人材」の養成と供給が目的だったのだ。

バカバカしいと笑われそうだが、今回の「大学にハローワーク出先機関を設置」というプランを聞いて、真っ先に思い浮かんだのが、この「派遣将校と軍事教練」だった。

いまや、一つの企業の名称ではなく、一般的な言葉として浸透したのが「Recruit リクルート」。

「求人」「人材募集」という意味で使われている。

しかし、元々は「(新兵を)募集する、徴募する」「(新兵を募集して軍隊を)強化する、補充する」といった意味を持つ動詞だ。

また、名詞として使う場合は、まんま「新兵募集」「新兵」を指す。

国家によるリクルート戦略。

「大学に国の出先機関を設置」と聞いて、ちょっとむずむずするのは、
そういうわけでした。

そもそも大学は「就職予備校」でも、「就職斡旋所」でもない。