行政が市民を教育していた?

2006-10-28 08:07:09 | Weblog

 2006年度予算審議、教育費(社会教育)の部分を抜粋しました。来年4月から公民館利用団体の社会教育活動が有料とされ、会場費が掛かると活動の頻度が少なくなるなどの声が上がっています。しかし、公民館を通じて、市民の社会教育を支援すべき教育委員会、所管はこうした声に耳を貸さず、有料化を推し進めようとしています。有料化反対の署名が2000筆も集まったのにです。この問題で、今年度予算審議の際の私の質疑を掲載します。 お金が無いなら、削るべきところはひとつです。西口再開発こそ、節約の対象です。        

○福田委員
 社会教育費を総括してお尋ねいたしますが、当市の社会教育についての考え方が、私はここのところに来て大きく変わってきたと思っているんです。その理念を明らかにしていただきたいと思います。

△小林社会教育課長
 東村山市の社会教育は、古くは青年団活動等を通じ実施し、中央公民館開館後は公民館を拠点とし、各種講座の展開、その後の自主グループの育成を通じ推進し、体育協会、体力つくり推進委員会等とも連携した社会体育活動を含めた教育活動を展開してまいりました。
 近年これらの教育活動に加え、市民の価値観の多様化と社会の成熟化に伴う学習需要の増大を主とした生涯学習社会への対応を含め、事業展開を行っております。その目指すものは、いつでも、どこでも、だれでも生涯学び続けられるために、生涯学習施設の利便性を図ること、地域の社会的課題を市長部局や市民等とともに解決するための場の提供と調整など、学習活動の拠点としての役割を担うことと考えております

○福田委員 
 その理念のもとに、社会教育法第3条、それから、第11条では教育に対して行政がいろいろと手助けをしなければならないと書いてありますね。通告では3条と書きましたけれども、11条もそうですよね。そういう意味で、それに基づいて社会教育団体に対して、場の提供を無料で行ってきた。それがこれまでの我が市の社会教育関係、とりわけ《公民館》の活動だったと思っているんですが、それをこの間、無料としてきたものを有料にしてしまうという事態が起こっているわけですよね。 私は、これは理念の変化ではなくて、お金がないからだということで多分おっしゃっておられるんだと思うんですけれども、やはりこの法律をきちんと正確に遵守しようと思えば、ここはぐっと我慢のところではないかなと思っているんですけれども、そういう意味で、改めてお聞きをしたいと思います。なぜ有料化になったか。

△中島公民館長
 当市の公民館使用料は、原則有料となっております。社会教育団体の活動支援・育成するために、長い間使用料を無料としてまいりました。しかし、今では長年の積み重ねにより、地域社会に定着した自主的・啓発的な活動が十分可能になってまいりました。また、活動内容・運営面でも、十分自立しており、有料により活動の停滞・後退を招くことはない(*1)と考えております。今回の使用料に当たりまして、受益者負担及び負担の公平性の考えに立って、有料とさせていただきました。

○福田委員
 原則有料。それは各自治体によって原則無料、原則有料とさまざまですが、自立した活動が十分可能というのは、人的にはそうだと思うんですよね。だけれども、みんなそれこそ安い会費で運営をするために、多くの方々が努力をされてこられて、たくさん活動団体ができて、その中で市内でさまざまな取り組みがされて、先般教育長がお答えになりましたけれども、文化協会もできてとかですね、そういうのの基礎になっている小さな団体が、やはり手弁当で頑張ってこられて今日まで来ていると思うんですよね。  そういう意味で、決して金銭的に言うと、ここで有料化して、みんなが「いいよ、いいよ」と言って、それでも私たちは活動できるよとなっていないと思うんですよ。だって、多くの公民館使用団体の声を聞くと、ロビーはただだから、では、ロビーで会議するかという声が結構あるんですよね、聞いていらっしゃるかどうかわかりませんが。そういう意味で、その自立とは何ぞやということをお尋ねしたいと思いますが。

△中島公民館長
 先ほども触れておりますように、あくまでも使うものと使わないものとの公平性を保つために、今回このような観点から有料にしたということです。

○福田委員 
 自立とは何ぞやと聞きましたので、それをお答えいただきたい。
 今の受益者負担の公平、使うものと使わないものとの公平という点で言えば、好きで使うのであって、好きで使わないのであってということももう一つあると思うんですよね。だから、別にどうしても使いたいけれども、使えないから使わないというわけではないんですよ。もしそうならば、もっと公民館活動が活発になるように、大勢の市民がもっと公民館を利用して、活動ができるようにすることこそ、社会教育をつかさどる教育委員会としてやらなければならないことだと思いますので、受益者負担の公平で使うものと使わないものということよりかは、場の提供と、それをできるだけ市民が使いやすいようにしなさいと定めたその法律をどうやって守っていくのか、そして、住民の学習権をどうやって守っていくのかというところで、心を砕くべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。自立の問題でも答えてください。

△中島公民館長
 先ほども答弁で触れましたけれども、25年以上前に公民館が開設され、そういう意味では社会教育法の支援・援助にのっとって、いろいろな意味で支援・育成を図ってきたわけでございます。 自立というのは、あくまでも地域社会におけるそれぞれのサークルが自立すべきであって、それに対して私どもは育成をしてきたわけですが、今後行政がそれに対してどうだこうだということではなくて、あくまでもサークルなり、あるいは社会教育団体の問題であると考えております。
 それと、住民の学習権ですが、あくまでも先ほど社会教育課長が答えましたように、大きく世の中が変化しております。そういう変化の中で、今までみたく行政が市民を教育する(*2)んだというような視点ではなく、逆に市民がみずからの学習を勉強していくんだというような形で、生涯学習という形に変わってきております。そういう観点から、私はそういうふうに考えております。
(*1 社会教育団体、サークルの自立について=これらの団体は当然自立して活動を進めてきた。しかし、それを持って公民館を有料とする口実は成り立たない。有料化=自立というなら、これまでの市民の活動をきちんと評価していないことになるのでは?)
(*2 これこそ市民を馬鹿にするもの。市民は、自ら学習を進めるために行政の力を借り他のであって、行政に教育されたわけではない。社会教育法の理念を全く理解していないとしか言いようが無い。公民館には、市民の学習する権利、それをサポートする役割を持った教育委員会の責任を自覚した人物を配置して欲しい物である。有料化を公民館職員が率先して推進しては市民の学ぶ権利を守ることは出来ない) 


○福田委員
 私は今の御答弁は、社会教育法を理解していないと思いますよ。行政が住民を教育するために社会教育があるんではないですよね。住民みずからがあらゆる場面で学習をする権利を社会教育法は認めて、教育基本法で認めていて、それを保障するために社会教育法があるんですよね。そして、そのために《公民館》をつくって25年間支援してきたわけですよね。
 今の御答弁が本当に教育委員会の御答弁であるとすれば、25年間、教育行政が住民を教育してきたんですか。そうではないでしょう。そうではないから、応援してきて、多くの団体ができてきたわけですよ、みずから学ぶために。場をつくって。その場の提供を、もちろん公民館の事業として啓発してきた、もう一つ重要な役割があったというのはもちろんそうです。その中から自主的な活動が生まれてきたというのはもちろんそうです。ですから、行政も一生懸命市民が学ぶためにお手伝いしてきたことはそのとおりなんですよ。
 だけれども、先ほど館長がおっしゃったことを、もしそれを教育委員会の本当に考え方だとするとすれば、それは私は法の精神は理解されていないというふうに思いますので、もう一度御答弁いただきたいんです。やはり《公民館》も場の提供、講座の場の提供をして、それを受けた市民たちがみずから自立してサークルをつくり出していったという、その歴史はそのとおりだと思うんです。でも、それは行政が教育をしたわけではなくて、教育をみずからするためのお手伝いをしたという流れですよね。そうではないですか。

△中島公民館長
 私どもは、あくまでも社会教育法に基づいて、社会教育事業、あるいは公民館事業を展開しているわけでございます。しかし、質問の中で、有料にしたらいかがなものかということですから、私どもは無料にしたいということが、その支援・育成には別に当たらないというだけの考え方を申したにすぎません。

○福田委員
 教育長にお尋ねいたします。  有料の問題云々は置いておいて、それはもう納得できませんけれども、今の『行政が市民を教育する時代は終わった』というのは、やはりこれは撤回するべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

△小町教育長
 我々は、教育行政はいわゆる法に基づいて社会教育法、あるいは体育で言えばスポーツ振興法等々に基づいて条例化し、また、それに基づいて運営をしているところであり、ただ、大事なことは、やはり歴史があるわけであります。毎年同じことを同じようにやっていて、同じ市民だけを対象にするということは勝手がないわけです。我々は長い間(不規則発言多し)

◎渡部委員長 静かに願います。(不規則発言多し)   では、答弁続けてください。
△小町教育長
 その長い歴史の中で、1年1年教育目標を立てて、進んで推進をしております。そうすることによって、前にもお話ししましたけれども、大きな市民との市と協働しながら、あるいは団体が自立していくには、やはり育成していくということが大事なことであります。それは僕は教育の一環であるというふうに考えております。そこをそれぞれの団体が理解して、発展していくことがまさに社会教育の振興であり、体育の振興であると理解をいたしております。 昔は、当時は昭和30年代後半、あるいは40年代当時は、青年団活動が中心でありました。青年団活動は時代の流れによってなくなりまして、その青年たちの意気込みを、若い青年たちをどうしていくかということで、野外活動連盟をつくったり、体育協会に持っていったり、移行したり、そういうふうな活動の変化をして発展してまいってきたわけです。  例えば、さらに言わせてもらえれば、現在の福寿学苑も《公民館》の学級講座から発展し、今日では10団体以上、150名以上の団体になり、現在では20年の歴史をもって高齢者の生きがいとしてやっております。ですから、いわゆる《公民館》がなくなるわけではなくて、従来どおり社会教育法に基づいてやっていきますよと、こういうことでありますので、御理解いただきたいというふうに思います。(不規則発言多し)

 これらの答弁で、明らかになったのは、社会教育活動、市民の自主的な活動、それらを支えてきた東村山市社会教育所管、直接市民とかかわって来た公民館の所管が、自らの存在の拠り所である社会教育法の理念さえ捨て去り、『自治体経営』という名前の元に、単なる貸し館事業を行う部署、金儲けのための部署になってしまったということです。こんな東村山市に一体誰がしたのでしょう。
 怒りの報告でした。
 (参考)教育基本法 第七条(社会教育)
  
 家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方  公共団体によつて奨励されなければならない。
  
 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によつて教育の目的の実現に努めなければならない。



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