着付けを忘れてしまう
「自分できものを着れるようになりたいから、教えてほしい」…大半がそう言って入学して来られます。
「幾つかの着付け教室に行って勉強したけど忘れてしまった。」…そんな事もよく耳にする話です。
では、なぜ覚えたつもりでも身に付かない人が多いのでしょう。
着付けの経験のない方でも、「来年の娘の成人式に着せてあげたい」と「振袖の着せ付け」を学びに来られるお母さんは、数ヶ月で間違いなく技術を身に付けていかれます。そんなお母さんを何人も見てきました。
なぜ覚えるのか…成人式まで身に付ける必要があるから、学ぶ側も必死。
やはり、情熱が違うのかもしれませんね。
「教える技術」・「教えない技術」
私たちの「舞踊の着付け」は、学院長が歌舞伎座・松竹衣裳の岸田先生に長く師事し得られたものです。
一方で私は、舞台裏に舞踊の着付けを見に行きます。最初は嫌な顔もされたし、関係者から「あの人は何者!出て行って。」などと追い出されたこともありました。
それはそうですよね…プロの技術を見せてしまうなんてとんでもないことですから
そのうち、京都の衣裳方の皆さんが、一般には見せない現場を見せてくれるようになりました。
幸せなことです。
もちろん教えてはもらえません。見て盗むだけです。
メモもしませんし、ただ立って見るだけです。しかしそこはまるで「技術を盗める玉手箱」。
「着付けは、教えてくれないとわからない…」。当然ですが…教えない世界もあるわけです。そこは技術を盗む世界。
教室で、講師が話すもの以外に、言葉にしない帯のヒダの取り方や、巻き方、手先の決め方など、思わぬところで技術を盗めるところが多いかもしれませんよ。貴女は今日の教室で、いくつ盗むものがありましたか。…そういう目で見ていくと教室が楽しいものに早変わり。
もちろん、盗もうと思わなければ見えてきませんが…
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