猫めぐり4 2008年3月6日
【しんぶん赤旗日刊紙 木曜日に掲載】
猫専門の写真家 関 由香
バリ島での出合い
土と緑と花々の甘い匂(にお)いが混ざり合ったような、雨期明けのインドネシア、バリ島へ行った。バリ島はヒンドウー教の信仰が深く、人々の生活にら密着し、道端にはお供えの花があり、いつもどこかの寺院で祭りが開かれ、神々の存在を身近に感じる島である。
猫撮影の旅で欠かせないのは、日本から持参した「猫はいませんか?」という現地の口葉を書いたメモ帳。片言の現地語を使うことで、初対面の緊張感が和らぎ笑顔が広がる。英語が通じる国でもいつも現地の言葉で訊(たず)ねるようにしている。バリ島の猫は一般的に細身で長い手足、小さい顔に短い被毛が特徴であり、とても美しいフォルムだ。レストランや神院ではそんな猫たちの姿を多く見かけた。
猫たちとの出会いに毎日わくわくしたが、バリ島へ来て三目目に突然高熱を出してしまった。猫を探しに行きたいのに行けない自分がもどかしい。熱にうなされながら、少し開いた扉の隙間(すきま)に仔(こ)猫の姿を見た。ついに幻を見てしまったのだろうか。いや、それは宿の仔猫だった。私の切望がバリの神々に届いたのか、猫に会いに行けない私の元へ、猫の方からやってきてくれたのだ。
私はうれしくて仔猫を部屋に招き入れた。おそるおそる入ってくるなり、部屋の隅々まで探検してまわって興味津々の様子。その姿がかわいくて、私も元気が出た。それ以来、仔猫は日に何度も遊びにくるようになった。ようやく熱が引き、仲良くなった仔猫をカメラに収めることが出来た。
(おわり)
【しんぶん赤旗日刊紙 木曜日に掲載】
猫専門の写真家 関 由香
バリ島での出合い
土と緑と花々の甘い匂(にお)いが混ざり合ったような、雨期明けのインドネシア、バリ島へ行った。バリ島はヒンドウー教の信仰が深く、人々の生活にら密着し、道端にはお供えの花があり、いつもどこかの寺院で祭りが開かれ、神々の存在を身近に感じる島である。
猫撮影の旅で欠かせないのは、日本から持参した「猫はいませんか?」という現地の口葉を書いたメモ帳。片言の現地語を使うことで、初対面の緊張感が和らぎ笑顔が広がる。英語が通じる国でもいつも現地の言葉で訊(たず)ねるようにしている。バリ島の猫は一般的に細身で長い手足、小さい顔に短い被毛が特徴であり、とても美しいフォルムだ。レストランや神院ではそんな猫たちの姿を多く見かけた。
猫たちとの出会いに毎日わくわくしたが、バリ島へ来て三目目に突然高熱を出してしまった。猫を探しに行きたいのに行けない自分がもどかしい。熱にうなされながら、少し開いた扉の隙間(すきま)に仔(こ)猫の姿を見た。ついに幻を見てしまったのだろうか。いや、それは宿の仔猫だった。私の切望がバリの神々に届いたのか、猫に会いに行けない私の元へ、猫の方からやってきてくれたのだ。
私はうれしくて仔猫を部屋に招き入れた。おそるおそる入ってくるなり、部屋の隅々まで探検してまわって興味津々の様子。その姿がかわいくて、私も元気が出た。それ以来、仔猫は日に何度も遊びにくるようになった。ようやく熱が引き、仲良くなった仔猫をカメラに収めることが出来た。
(おわり)