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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

けいざい・そもそも  税の「応能負担原則」って?

2012-05-01 22:30:11 | 予算・税金・消費税・社会保障など
けいざい・そもそも  税の「応能負担原則」って?

野田佳彦内閣は3月に消費税増税法案を国会に提出しました。消費税は所得の低い人ほど負担が重い税金です。でも税金は、負担能力に応じて払うのが本来ではないでしょうか。この「応能負担原則」とはどういうものなのか、調べました。(清水渡)

「垂直的公平」とは
税金にかかわる問題なので、まずは財務省に問い合わせました。
財務省いわく、「基本的なことはすべてホームページに書いてあります」とまったくそっけない返事でした。でも財務省のホームページには「応能負担原則」という言葉はありません。そこにあるのは、税の「基本的な視点」として「公平・透明・納得」という文言だけでした。
「公平」原則の説明として「経済力が同等の人に等しい負担を求める『水平的公平』と、経済力のある人により大きな負担を求める『垂直的公平』があります」
と書かれています。どうやら「垂直的公平」が「応能負担原則」に対応するようです。



「消費税増税ストップ!4・12集会」参加者=東京都千代田区

人権宣言にも明記
税制専門家の合田寛さんは「能力に応じて税を負担するという応能負担は近代税制の原則の一つです。ヨーロッパの市民革命で掲げられたものです」といいます。17~18世紀の市民革命では、国王による一方的な課税ではなく、市民の同意に基づくべきであることや、応能負担原則などが求められました。たとえばフランス革命によって1789年に採択された人権宣言では、「(租税は)その能力に応じて平等に配分されなければならない」と明記されています。
この応能負担原則は日本の税制にも引き継がれています。戦後税制の出発点となったシャウプ勧告に基づく税制は、所得税を柱に累進制を適用したものでした。
合田さんは「日本国憲法には租税の応能負担原則は直接書かれてはいません。しかし14条『法の下の平等』などから応能負担原則は明らかです」と話します。
応能負担原則にもとついて課税することで、所得や富の偏在を是正し、格差の拡大を緩和することができます。低所得者に対する手厚い社会保障とあわせて財政は所得を再分配する機能を果たすことができるのです。しかし近年、所得再分配機能が低下しています。これは政府も「税・社会保障一体改革」大綱で認めていることです。




累進制の強化必要
所得再分配機能が低下したのは高額所得者の税負担が軽くなったからです。その要因の一つが所得課税の累進性の弱まりです。
所得課税には超過累進制が使われています。これは、課税所得が一定額を超えると、一定額を超えた部分のみに高い税率をかけるやり方です。図のように税率の刻みごとに対応する額を計算し、それらを合計することで所得税額がわかります。現行水準の場合、8000万円までの6区分の額を合計して所得税額を出します。
所得税では83年まで税率の刻みは10%から75%の19段階あり、最高税率は課税所得8000万円超に適用されていました。しかし、数回にわたる税制「改正」によって最高税率の引き下げと刻みの縮減がおこなわれ、現在では5%から40%の6段階で最高税率は課税所得1800万円超が対象です。年間所得2000万円の人にも10億円の人にも同じ税率が適用されることになり、応能負担原則が後退しています。
政府は今回の「一体改革」で最高税率を45%に引き上げるとしています。しかし課税所得が8000万円の場合、前々回の税制「改正」である98年の水準に比べ、現行水準は所得税だけで477万円も減税されています。今回の措置で増税額は150万円にすぎません。
合田さんは「これくらいの引き上げではお茶を濁すようなものです。しかも高所得者の所得の大きな分を占める金融所得は累進課税の適用を免れています。また、『一体改革』全体は消費税の大増税が中心であり、応能負担原則をさらに後退させます」と批判します。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年4月26日付掲載



この間、20~30年来の税率の改定によって、最高税率が引き下げられ、税率の区分が少なくなってきました。
所得の低い人には低い税率で、ほどほどに稼ぐ人にはほどほどの税率で、ちょっとの小金もちには少し高めの税率を、大金を稼ぐ人にはがばっとした税率で・・・

その区分が少なくなって、税金のフラット化が進んでいるって事です。本来なら、税金は「所得の再分配」と言って、富める人からお金を吸い上げて、貧しい人に社会保障などの形で還元する要素があるのですが・・・

税率だけでなくって、他の諸控除制度についてみても、その要素がだんだん弱くなってきていると、年末調整や確定申告の時などに感じます。
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