きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

米国従属経済 金融④ 公共投資、浪費の構造

2012-09-24 22:29:25 | 経済・産業・中小企業対策など
米国従属経済 金融④ 公共投資、浪費の構造

米国の要求によってプラザ合意でもう一つ日本が約束させられたのが内需拡大でした。内需拡大といっても賃上げなど国民の生活を向上させることではありません。大型公共事業です。これが今日の財政破綻の原因をつくりました。

「総額」ありき
プラザ合意後も米国の対日貿易赤字が減らなかったため、1980年代末になると、米国は自動車など個別産業の貿易赤字問題より、日本の経済構造そのものを米国の意向に沿ってつくり変えることを要求するようになりました。
89年7月、宇野宗佑首相とブッシュ大統領の首脳会談は日米構造協議の開始を決めました。この協議で米国が押し付けたのが、91年度から10年間で430兆円の公共投資を行う公共投資基本計画です。
国民総生産(GNP)の10%程度の公共投資をすれば、日本の投資資金が内需に振り向けられ、対米輸出を減らすことにつながるというのが米国の言い分でした。日本の大規模公共事業に米企業を参入させる狙いもありました。日本政府は屈服し、さらに上積みして630兆円の公共投資計画を立てました。
国民が必要かどうかにまったく関係なく、米国の要求で総額だけを先に決める方式は、日本全国で無駄な公共事業を広げ、浪費の構造をつくり上げました。
大蔵省(当時)の財務官としてプラザ合意をまとめた大場智満氏は著書『二つの空洞化を超えて』で根源に米国があることを次のように指摘しています。
「べーカー(米財務)長官は二年間にわたって日本の景気刺激策に大きな期待をかけ、思いどおりの成果があがらないことから、ついには日本に対して景気刺激を強く要請するようになった。その原因がプラザ合意にあったことは間違いないと思う」



過大な需要を見込んで建設された東京湾横断道路(アクアライン)

“応分負担を”
大場氏は英語の頭文字から日米関係を「二つのS(貯蓄と安全保障)、二つのD(赤字と防衛)、一つのー(相互依存)」であらわし、次のように述べます。
「日米間にSDIの関係が続くかぎり、こうしたアメリカの“双子の赤字”を日本の黒字でまかなうという構図も変わらない。“核の傘”に見合う応分の負担として、アメリカは日本に内需拡大を要求してくる」
日米通貨交渉にあたった当事者が、米国との経済関係の裏に日米安保や“核の傘”があることをあからさまに語っています。
もう一つ、大場氏が述べているのは米国と日本の財界との二人三脚です。
「内需拡大を期待しているのはアメリカだけではない。何よりも日本の財界からの強い要請がある」といい、巨額の公共事業計画は日本の財界の要求でもあったことを明らかにしています。
「日本の役割分担がいつもワン・パターン化してしまうのは、アメリカの要請と財界の要請が一致していることにも原因がある」
日本経済のゆがみの裏にはいつも米国と財界があります。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年9月21日付掲載



当時(1990年代)の公共投資は、今から考えると異常なものでした。それでも住宅バブルから立ち直った日本経済は1997年に消費税が3%から5%に増税されるまでは漸進的でしたが景気が上向きでした。
異常な公共投資のリスク(国債の増加)も許容できるものを持っていましたが・・・

消費税増税(1997年4月に3%から5%にアップ)と社会保障の負担増(健康保険の窓口負担が1997年9月に10%から20%にアップ)後は、転がり落ちる日本経済。強きを助け、弱きを痛めつける。誤った経済政策が拍車をかけました。
健康保険の窓口負担は2003年にさらに30%にアップしています。