きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

変貌する経済 ODA大綱見直し④ 土地と生活奪う開発

2014-12-24 15:37:04 | 経済・産業・中小企業対策など
変貌する経済 ODA大綱見直し④ 土地と生活奪う開発

安倍晋三首相は1月、アフリカのモザンビークを訪問し、同国のナカラ回廊と呼ばれる地域の開発に2013年から5年間で700億円の政府開発援助(ODA)を供与することを約束しました。道路、港湾、エネルギーのインフラ整備などを実施します。
安倍首相は日本・モザンビーク投資フォーラムの席で「モザンビークが日本企業とのビジネスを通じて、技術を手にする。自らの手で産業を振興し、成長の恩恵を多くの国民が享受する。このために、日本政府はODAをはじめとする資金を活用し、民間企業と一体となって貢献を果たす」と話しました。
果たして首相がいうように「成長の恩恵を多くの国民が享受」できるのでしょうか。





モザンビークの農業開発事業「プロサバンナ」に関する現地調査報告会=10月29日、衆院第2議員会館

ナカラ回廊計画
モザンビーク北部に位置するナカラ回廊は、ナカラ港からナンプラ州、ニアサ州を経て隣国マラウイに至る主要な回廊です。モザンビーク内陸部の鉱物資源や農産物などを海外に輸出するために、鉄道・道路をナカラ港に結ぶ経済開発計画が進行中です。
ナカラ回廊地域への支援として、日本政府はこれまでも、円借款案件などを実施してきました。国際協力機構(JICA)は、「同地域を日本の将来的な天然資源や農産物の供給基地と位置づけ、民間ベースの投資活動や資源探査等も活発化し、同回廊がこれらの供給ルートとなることが期待されています」としています。
同地域での農業開発計画は「プロサバンナ計画」と呼ばれ日本、ブラジル、モザンビークの3政府共同事業です。日本の耕作面積の3倍を超える約1400万ヘクタールが対象です。この地域には400万人以上の小規模農民とその家族が居住し、自給自足に近い農業が行われています。民間企業による農業投資の促進により、多くの農民が土地と生活を奪われています。

現地農民を強制
10月29日、アフリカ日本協議会やオックスファム・ジャパンなどのNGO主催で「日本のODAによるモザンビークの農業開発事業『プロサバンナ』に関する現地調査報告」が開かれました。
当地を調査したNGOによると、現地の農民たちから「われわれの懸念は大きい。政府が来て言ったことは、『小農らよ、お前たちの身の回りに気をつけよ。プロサバンナに反対している人を見つけたら、獄に入れるぞ』だった。本当は『強制的開発』ではないか」などの声があがっています。
現在、ナカラ回廊開発の一環として、日本の支援でナカラ港の改修が行われています。一方、ブラジルの民間企業により、鉄道の延長・整備が進められています。これまで鉄道は、地域農民の生活の足であり、小農が農産物を都市まで運ぶ手段として重要な役割を担ってきました。しかし、貨物輸送の効率化や収益化のために、途中駅の廃止や旅客輸送列車の削減が進んでいます。
旅客車が大幅に削減されたために、切符を買っても満員で乗れない事態になっている、ともいいます。
「成長の恩恵を多くの国民が享受する」と安倍首相が強調することとは、逆のことが起きていました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年12月20日付掲載


「成長の恩恵を多くの国民が享受」というのはマヤカシ。農地も交通機関も企業のために効率化されて、「農民が追い出し」されているのですね。