AI自動差別② 広がる信用スコア 就職・結婚も左右?
インターネット利用者の指先の操作で発信される個人情報は情報通信(IT)企業にとって宝の山です。今、業界の中では個人の信頼度を人工知能(AI)で採点する「信用スコア」が広がり始めています。
同意なく作成
みずほ銀行とソフトバンクの合弁会社は、年収や趣味など利用者の回答をもとに信用力を採点する「Jスコア」を2017年9月に開始。交流サイト(SNS)のLINE(ライン)はオンライン家計簿や決済サービスのデータをもとに採点する「LINE Score(ラインスコア)」を19年6月に始めました。NTTドコモはドコモ回線の利用期間などをもとに採点する「ドコモスコアリング」を発表しています。
ヤフージャパンは、7月から「ヤフースコア」を本格始動させました。スコアの作成を希望しない場合、算出を拒否できる仕組みはあります。しかし基本的にヤフーの会員登録をしているすべての利用者を対象に本人の同意を取らずに900点を満点としたスコアを作成しています。会員登録をしている利用者は自動的にスコアが作成される仕組みです。スコアを他社に提供するときだけ、本人の同意を得ています。
ヤフースコアについて説明するヤフージャパンのホームページ
詳細は非開示
スコアの作成に使う情報は氏名や住所などの登録率、ヤフオク(ネットオークション)での取引実績やヤフーニュースの閲覧回数、知恵袋(利用者同士が問答できるサービス)での活躍度などです。スコアが高い利用者に対し、レストランやコンサートの先行予約などの特典を提供します。ヤフーは「お客様の不利益につながることには利用しません」と説明しています。しかし、事態はそれほど単純ではありません。
ヤフーは、単発の仕事を引き受ける「フリーランス」に仕事を仲介するランサーズ社やクラウドワークス社とも提携。クラウドワークス社はヤフースコアの活用例として「仕事を積極的に受注してくれそうな優良ユーザーを抽出して優先的に仕事をオファー(提供)」することを挙げています。条件のよい仕事を得るためにはヤフースコアで高得点を得なければならないという、不公正な差別システムが生まれかねません。
本紙の問い合わせに対しヤフーは、AIが自動的にスコアを算出することを認めたものの、算出方法も利用データの詳細も非開示として説明しませんでした。まさにブラックボックスです。
人生に影響力
根拠の不確かな信用スコアが社会に広がっていくとどうなるでしょう。中国では、ネット通販大手アリババ系の信用調査サービス「芝麻信用」の信用スコアによって、人生が左右される状況が生まれています。
芝麻信用はアリペイ(アリババの決済サービス)などの使用状況や過去の返済記録、学歴や職業、さらにはSNS上の交友関係などの個人情報をもとにスコアをつけます。
スコアが高ければ、ホテルやレンタカーのデポジット(預かり金)が不要になったり、海外旅行の際のビザの取得に必要な書類が簡素化されたりします。他方、スコアが低い人はホテルの予約を断られるなど不利益を被ります。
スコアは就職や結婚情報サイトのサービスにも活用され、スコアの高低が人生に決定的な影響力をもつまでになっています。
インターネット利用者の雑多なデータから算出したスコアを他社にも提供するヤフースコアの仕組みは芝麻信用に似ています。アリババの29%(19年3月時点)の株式を所有し筆頭株主でもあるソフトバンクが、子会社であるヤフーにヤフースコアを進めさせているという構図です。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年8月23日付掲載
ヤフースコアはYahoo IDに紐づけられカウントされるといいます。
ヤフーオークションでどんな商品を出品したり落札しているか。ヤフーニュースのどの記事を見ているとか。
TポイントカードもYahoo IDに紐づけられているので、どんな商品を買っているとか…。
それって空恐ろしい事ですね。
インターネット利用者の指先の操作で発信される個人情報は情報通信(IT)企業にとって宝の山です。今、業界の中では個人の信頼度を人工知能(AI)で採点する「信用スコア」が広がり始めています。
同意なく作成
みずほ銀行とソフトバンクの合弁会社は、年収や趣味など利用者の回答をもとに信用力を採点する「Jスコア」を2017年9月に開始。交流サイト(SNS)のLINE(ライン)はオンライン家計簿や決済サービスのデータをもとに採点する「LINE Score(ラインスコア)」を19年6月に始めました。NTTドコモはドコモ回線の利用期間などをもとに採点する「ドコモスコアリング」を発表しています。
ヤフージャパンは、7月から「ヤフースコア」を本格始動させました。スコアの作成を希望しない場合、算出を拒否できる仕組みはあります。しかし基本的にヤフーの会員登録をしているすべての利用者を対象に本人の同意を取らずに900点を満点としたスコアを作成しています。会員登録をしている利用者は自動的にスコアが作成される仕組みです。スコアを他社に提供するときだけ、本人の同意を得ています。
ヤフースコアについて説明するヤフージャパンのホームページ
詳細は非開示
スコアの作成に使う情報は氏名や住所などの登録率、ヤフオク(ネットオークション)での取引実績やヤフーニュースの閲覧回数、知恵袋(利用者同士が問答できるサービス)での活躍度などです。スコアが高い利用者に対し、レストランやコンサートの先行予約などの特典を提供します。ヤフーは「お客様の不利益につながることには利用しません」と説明しています。しかし、事態はそれほど単純ではありません。
ヤフーは、単発の仕事を引き受ける「フリーランス」に仕事を仲介するランサーズ社やクラウドワークス社とも提携。クラウドワークス社はヤフースコアの活用例として「仕事を積極的に受注してくれそうな優良ユーザーを抽出して優先的に仕事をオファー(提供)」することを挙げています。条件のよい仕事を得るためにはヤフースコアで高得点を得なければならないという、不公正な差別システムが生まれかねません。
本紙の問い合わせに対しヤフーは、AIが自動的にスコアを算出することを認めたものの、算出方法も利用データの詳細も非開示として説明しませんでした。まさにブラックボックスです。
人生に影響力
根拠の不確かな信用スコアが社会に広がっていくとどうなるでしょう。中国では、ネット通販大手アリババ系の信用調査サービス「芝麻信用」の信用スコアによって、人生が左右される状況が生まれています。
芝麻信用はアリペイ(アリババの決済サービス)などの使用状況や過去の返済記録、学歴や職業、さらにはSNS上の交友関係などの個人情報をもとにスコアをつけます。
スコアが高ければ、ホテルやレンタカーのデポジット(預かり金)が不要になったり、海外旅行の際のビザの取得に必要な書類が簡素化されたりします。他方、スコアが低い人はホテルの予約を断られるなど不利益を被ります。
スコアは就職や結婚情報サイトのサービスにも活用され、スコアの高低が人生に決定的な影響力をもつまでになっています。
インターネット利用者の雑多なデータから算出したスコアを他社にも提供するヤフースコアの仕組みは芝麻信用に似ています。アリババの29%(19年3月時点)の株式を所有し筆頭株主でもあるソフトバンクが、子会社であるヤフーにヤフースコアを進めさせているという構図です。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年8月23日付掲載
ヤフースコアはYahoo IDに紐づけられカウントされるといいます。
ヤフーオークションでどんな商品を出品したり落札しているか。ヤフーニュースのどの記事を見ているとか。
TポイントカードもYahoo IDに紐づけられているので、どんな商品を買っているとか…。
それって空恐ろしい事ですね。