シンママたちは選挙に行った① 「政治って優しいんや」
夫の暴力や借金に耐えかねて離婚、貧困のなかで子育てするシングルマザー。「政治なんて一番遠い」と感じていたシンママたちが、参院選挙で投票所に足を運びました。「一般社団法人シンママ大阪応援団」が支援するママたちです。48・8%と史上2番目の低投票率の中でも選挙に行ったママたちの思いは―。(内藤真己子)
きっかけは3月、関西学院大学の冨田宏治教授(政治学)の講演を聞いたことでした。同応援団が学習障害や料理教室など多彩なテーマで開いた「ママの学校」の最終回。冨田さんが「シンママのくらしと政治」と題して話しました。
子どものこと選挙のこと、ワイワイ話しながら手作りの料理を囲む食事会=8月、大阪市内
生活に寄り添い
応援団は寄付による毎月の食料支援を中心に、田植えや食事会などでママと子をサポートしています。「ママたちが話したくないことは絶対に聞きません」と応援団代表の寺内順子さん。寄り添って生活保護の申請に同行するなどしてきました。そんななか「あるママから『政治のことを学びたい』と希望が出て、活動を支援してくださっている冨田先生にお願いしました」と振り返ります。
冨田さんは講演でやさしく切り出しました。「暮らしや心に余裕がないと政治が遠いのは当たり前です。だけど政治の方はズカズカ入り込んでくる。だからちょっと時間を割いて。一人ひとりは微力だけど一票を持っている。無力じゃない」
安倍政権は、「自己責任論」で弱者をバッシングし、社会に分断を持ち込んで社会保障を切り捨てる一方、大企業・大金持ち減税で貧困と格差を拡大させていると冨田さんは指摘しました。
そのうえで「政治の本来の役割は、応能負担で税金を集め社会保障や教育など行政サービスを充実させる『所得の再分配』です。そして憲法25条は生存権を保障しています。だから政治は本来『優しいもの』なんです。ところが政治のあり方が壊れ、みなさんを苦しめている」と話しました。
票の有効活用
「政治って、本当は優しいものなんや」。ママたちの心に響きました。
「いままで政治なんか関係ないことでした。でも、冨田先生のお話を聞いて、生活に困っている人こそ一票を有効に使わなければいけないと思いました。義務教育の子どもにかかる教育費を完全に無料にしてほしい。それって税金の使い方。確かに政治は生活に大きくかかわっている」。4人の子を持つ40代のシンママは言います。
夫の激しい暴力。子を連れて命からがら逃げ暮らしています。住民票は異動しておらず、期日前投票するには夫が暮らす街を訪ねなければなりませんでした。それでも危険を冒して投票に行きました。
「選挙に行っても変わらないと、ずっと思ってました。でも一票が集まれば、小さな魚が集まって大きな魚を追い払う絵本の『スイミー』みたいになるかもしれない」
そして政党に注文も。「批判ばかりじゃ心を動かされないです。政治は多数決だから、変えようと思ったら野党がまとまることが大事では」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年8月30日付掲載
「暮らしや心に余裕がないと政治が遠いのは当たり前です。だけど政治の方はズカズカ入り込んでくる。だからちょっと時間を割いて。一人ひとりは微力だけど一票を持っている。無力じゃない」
「1票の有効活用」って視点、良いですね。
夫の暴力や借金に耐えかねて離婚、貧困のなかで子育てするシングルマザー。「政治なんて一番遠い」と感じていたシンママたちが、参院選挙で投票所に足を運びました。「一般社団法人シンママ大阪応援団」が支援するママたちです。48・8%と史上2番目の低投票率の中でも選挙に行ったママたちの思いは―。(内藤真己子)
きっかけは3月、関西学院大学の冨田宏治教授(政治学)の講演を聞いたことでした。同応援団が学習障害や料理教室など多彩なテーマで開いた「ママの学校」の最終回。冨田さんが「シンママのくらしと政治」と題して話しました。
子どものこと選挙のこと、ワイワイ話しながら手作りの料理を囲む食事会=8月、大阪市内
生活に寄り添い
応援団は寄付による毎月の食料支援を中心に、田植えや食事会などでママと子をサポートしています。「ママたちが話したくないことは絶対に聞きません」と応援団代表の寺内順子さん。寄り添って生活保護の申請に同行するなどしてきました。そんななか「あるママから『政治のことを学びたい』と希望が出て、活動を支援してくださっている冨田先生にお願いしました」と振り返ります。
冨田さんは講演でやさしく切り出しました。「暮らしや心に余裕がないと政治が遠いのは当たり前です。だけど政治の方はズカズカ入り込んでくる。だからちょっと時間を割いて。一人ひとりは微力だけど一票を持っている。無力じゃない」
安倍政権は、「自己責任論」で弱者をバッシングし、社会に分断を持ち込んで社会保障を切り捨てる一方、大企業・大金持ち減税で貧困と格差を拡大させていると冨田さんは指摘しました。
そのうえで「政治の本来の役割は、応能負担で税金を集め社会保障や教育など行政サービスを充実させる『所得の再分配』です。そして憲法25条は生存権を保障しています。だから政治は本来『優しいもの』なんです。ところが政治のあり方が壊れ、みなさんを苦しめている」と話しました。
票の有効活用
「政治って、本当は優しいものなんや」。ママたちの心に響きました。
「いままで政治なんか関係ないことでした。でも、冨田先生のお話を聞いて、生活に困っている人こそ一票を有効に使わなければいけないと思いました。義務教育の子どもにかかる教育費を完全に無料にしてほしい。それって税金の使い方。確かに政治は生活に大きくかかわっている」。4人の子を持つ40代のシンママは言います。
夫の激しい暴力。子を連れて命からがら逃げ暮らしています。住民票は異動しておらず、期日前投票するには夫が暮らす街を訪ねなければなりませんでした。それでも危険を冒して投票に行きました。
「選挙に行っても変わらないと、ずっと思ってました。でも一票が集まれば、小さな魚が集まって大きな魚を追い払う絵本の『スイミー』みたいになるかもしれない」
そして政党に注文も。「批判ばかりじゃ心を動かされないです。政治は多数決だから、変えようと思ったら野党がまとまることが大事では」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年8月30日付掲載
「暮らしや心に余裕がないと政治が遠いのは当たり前です。だけど政治の方はズカズカ入り込んでくる。だからちょっと時間を割いて。一人ひとりは微力だけど一票を持っている。無力じゃない」
「1票の有効活用」って視点、良いですね。