きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

キーワードで見る資本論⑨ 「第13章 機械と大工業」 自然と物質代謝の撹乱(かくらん)

2020-06-10 07:58:52 | 働く権利・賃金・雇用問題について
キーワードで見る資本論⑨ 「第13章 機械と大工業」 自然と物質代謝の撹乱(かくらん)
マルクスが生きた時代は、18世紀にイギリスで始まった「産業革命」から間もない時期であり、現在のような地球的規模での環境破壊はまだ問題になっていませんでした。しかし、マルクスは『資本論』で利潤第一主義の資本主義的生産が環境を破壊することを指摘しています。
「資本主義的生産は、…人間と土地とのあいだの物質代謝を、すなわち、人間により食料および衣料の形態で消費された土地成分の土地への回帰を、したがって持続的な土地豊度の永久的自然条件を撹乱する」(新版③880~881ページ)「物質代謝」とは生物学の用語で、生物が生きるうえで必要な物質を体内に取りいれ、不要になった物質を体外に排出することです。「土地豊度の永久的自然条件を撹乱する」とは、利潤第一の無秩序な農業生産で土地の栄養分が減って荒地になり、持続性がなくなることをさします。当時、環境破壊は農地の荒廃という形で問題になっていました。




資本主義の時代に入って、地球全体で急速に森林が破壊され、減少したうえ、「生産のための生産」によってエネルギー消費量が急激に膨張し、温室効果ガスの大気中への大量排出で地球的規模での「気候危機」が引き起こされています。
さらに、人間による無秩序な生態系への侵入、環境破壊によって動物と人間の距離が縮まり、動物の持っていたウイルスが人間に新たな感染症を次々と引き起こすことが指摘されています。
利潤第一主義による自然環境の破壊という人類的課題を打開しようと、各国でいま運動が起きています。もし資本主義社会がもうけ最優先に走り、この問題を解決できないなら、21世紀に生き残る資格が間われます。
生産者が、自然との物質代謝を合理的に規制し、自分たちの共同管理のもとにおくという未来社会の姿は、『資本論』第3部にも登場します。
(猛)(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年6月8日付掲載


生産者が主人公となる社会主義・共産主義社会になったからといって、物理的な問題として、人類の自然へ負荷や感染症のリスクは減らないよって疑問。
問題は、生産力が向上していく中で、環境負荷、感染リスクなどをどのように制御できるかってことが問われます。
生産手段を社会的に管理するのは労働者たち。その能力が問われるのです。