アベノ「あしぶみ景気」終了② 消費税減税、実施こそ
景気の山と認定された2018年10月の世界と日本の経済はどのような状況だったのでしょうか。
トランプ米大統領が中国への貿易戦争を宣言した18年3月から半年が経過。9月24日には制裁の第3弾として、米国は中国からの2000億ドル規模の輸入製品に対して10%の制裁関税を発動しました。
中国も報復措置として、米国からの液化天然ガス(LNG)・木材など600億ドルに5~10%の関税を実行しています。
日本経済は、好調が続いた世界経済、とりわけ中国と米国や新興国の成長に依存し、かろうじて底割れを防いできました。その米中両国が制裁と報復を続け、世界を巻き込んだ貿易戦争が激しさを増した時期がまさに18年10月でした。同時に中国経済の失速が明らかになり、米国経済の減速も始まっていました。
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商店が閉まり人影のない神戸市中央区の南京町。十二支の石像がマスクをしています=5月2日
政府誤判断
18年10月が景気の山であったとすると、政府はその後1年半にわたって「景気は回復している」という誤った判断を続けたことになります。そして景気後退は、今日まで約21カ月に及ぶことになります。
19年秋の消費税率の引き上げや大型台風による大規模な被害が重なったうえに、今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた格好です。世界経済も新型コロナの感染拡大により、大恐慌以来の大幅な景気後退局面を迎えています。
6月に発表された国際通貨基金(IMF)の最新の経済見通しによると、20年の世界の実質GDP(国内総生産)はマイナス4・9%になり、米国がマイナス8・0%、ユーロ圏がマイナスー0・2%となる見通しです。4月の予想から、さらに1・9ポイント下方修正され、経済損失は2年間で12・5兆ドル(約1300兆円)と試算しています。
経済が危機的状況に陥っているにもかかわらず、日本政府の姿勢は異常です。
西村康稔経済再生担当相は、今回の景気の山の認定と、今年2月まで「回復」を維持してきた政府の月例経済報告との間に食い違いが生じた問題について、「大変残念」と述べたうえで、月例経済報告はGDP、住宅、公共工事、雇用などを総合判断しており、「間違っていない」と強調しました。その一方で、研究会の判断基準には問題点があるとして、「見直しを検討する」と言い出す始末です(7月30日の会見)。
西村氏は、景気動向指数について「外食、旅行取扱高、住宅着工なども含まれておらず、10項目で機械的に判断している」と指摘。経済のサービス産業化を十分反映していないとの認識を示しました。
そのうえで、景気回復・後退期間を判断する手法の見直しを検討するとの意向を強調しました。
内需温めて
自分の思い通りの結果が出ないなら、指数の取り方まで変えてしまうという西村氏の対応をみても、安倍政権には日本経済の問題点を正確にとらえようとする姿勢がみじんもありません。
いま、求められているのは、コロナ感染拡大防止のための検査・医療体制の強化、暮らしを支える緊急対策とともに、日本経済をけん引する力であり、社会の主役でもある中小企業を守り育て、内需の中心である家計を温めることです。
そのためにも、各国で実施に踏み切っている消費税の減税こそが必要です。(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年8月5日付掲載
2018年10月が景気の山だったにもかかわらず、その後1年半もごまかし続けてきたことは許されません。
医療や介護の現場への財政的・人的支援が求められています。
GDPの主流である個人消費を伸ばすためにも、消費税減税を。
景気の山と認定された2018年10月の世界と日本の経済はどのような状況だったのでしょうか。
トランプ米大統領が中国への貿易戦争を宣言した18年3月から半年が経過。9月24日には制裁の第3弾として、米国は中国からの2000億ドル規模の輸入製品に対して10%の制裁関税を発動しました。
中国も報復措置として、米国からの液化天然ガス(LNG)・木材など600億ドルに5~10%の関税を実行しています。
日本経済は、好調が続いた世界経済、とりわけ中国と米国や新興国の成長に依存し、かろうじて底割れを防いできました。その米中両国が制裁と報復を続け、世界を巻き込んだ貿易戦争が激しさを増した時期がまさに18年10月でした。同時に中国経済の失速が明らかになり、米国経済の減速も始まっていました。
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商店が閉まり人影のない神戸市中央区の南京町。十二支の石像がマスクをしています=5月2日
政府誤判断
18年10月が景気の山であったとすると、政府はその後1年半にわたって「景気は回復している」という誤った判断を続けたことになります。そして景気後退は、今日まで約21カ月に及ぶことになります。
19年秋の消費税率の引き上げや大型台風による大規模な被害が重なったうえに、今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた格好です。世界経済も新型コロナの感染拡大により、大恐慌以来の大幅な景気後退局面を迎えています。
6月に発表された国際通貨基金(IMF)の最新の経済見通しによると、20年の世界の実質GDP(国内総生産)はマイナス4・9%になり、米国がマイナス8・0%、ユーロ圏がマイナスー0・2%となる見通しです。4月の予想から、さらに1・9ポイント下方修正され、経済損失は2年間で12・5兆ドル(約1300兆円)と試算しています。
経済が危機的状況に陥っているにもかかわらず、日本政府の姿勢は異常です。
西村康稔経済再生担当相は、今回の景気の山の認定と、今年2月まで「回復」を維持してきた政府の月例経済報告との間に食い違いが生じた問題について、「大変残念」と述べたうえで、月例経済報告はGDP、住宅、公共工事、雇用などを総合判断しており、「間違っていない」と強調しました。その一方で、研究会の判断基準には問題点があるとして、「見直しを検討する」と言い出す始末です(7月30日の会見)。
西村氏は、景気動向指数について「外食、旅行取扱高、住宅着工なども含まれておらず、10項目で機械的に判断している」と指摘。経済のサービス産業化を十分反映していないとの認識を示しました。
そのうえで、景気回復・後退期間を判断する手法の見直しを検討するとの意向を強調しました。
内需温めて
自分の思い通りの結果が出ないなら、指数の取り方まで変えてしまうという西村氏の対応をみても、安倍政権には日本経済の問題点を正確にとらえようとする姿勢がみじんもありません。
いま、求められているのは、コロナ感染拡大防止のための検査・医療体制の強化、暮らしを支える緊急対策とともに、日本経済をけん引する力であり、社会の主役でもある中小企業を守り育て、内需の中心である家計を温めることです。
そのためにも、各国で実施に踏み切っている消費税の減税こそが必要です。(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年8月5日付掲載
2018年10月が景気の山だったにもかかわらず、その後1年半もごまかし続けてきたことは許されません。
医療や介護の現場への財政的・人的支援が求められています。
GDPの主流である個人消費を伸ばすためにも、消費税減税を。