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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

半導体産業の行方② 日本の存在感薄く

2021-11-06 07:29:28 | 経済・産業・中小企業対策など
半導体産業の行方② 日本の存在感薄く
桜美林大学教授 藤田実さん

半導体産業の世界市場シェアをみると、日本企業の存在感は薄いというのが現実です。特に先端といわれる分野では、存在感は全くありません。メモリ(記憶)分野でのDRAM(*)では、韓国のサムスンやSKハイニクス、アメリカのマイクロンの3社に集約されています。
*読み書き用の半導体記憶装置の一種。パソコン用の主要なメモリとして一般的に使われています。

●米国企業が買収
1980年代には世界一の地位にあった日本企業は現在、存在していません。
NECと日立のDRAM部門が統合して、99年に発足したエルピーダメモリが2012年に経営破綻し、米マイクロンによって買収されているからです。
ただし、マイクロンの国内生産拠点として、広島工場(旧NEC広島)が残り、先端DRAMの開発・生産のマザー工場(*)として重要な位置を与えられています。この意味では、先端DRAMの開発・生産技術は国内で維持されていると言えます。
*メーカーが国外に工場を設立して事業を拡大する際、生産のシステムや技術面でモデルとなる国内の工場。

メモリ分野のうち、フラッシュメモリ(*)では、キオクシアがサムスンに次ぐ第2位の市場シェアを確保しています。
*電源を切っても記憶されたデータが失われない不揮発性メモリ。東芝が開発。
キオクシアは東芝の半導体事業部門でしたが、2016年の原発事業の失敗や粉飾決算で経営危機に陥り、半導体事業部門を分離、売却して生まれた会社です。キオクシアの業績は、調査会社によれば、19年度は営業利益段階で赤字になっていますが、20年度は売上高が1兆1785億円、営業利益は66億円と黒字に転換しています。ただし20年3月期の自己資本比率は25・7%と低く、70%を超えているサムスンやSKハイニクスと比べると、財務状況はよくないといえます。



米カリフォルニア州アーバインにあるウェスタン・デジタルのビル=2017年1月24日(ロイター)

●先行きは不透明
キオクシアは現在、非上場で、主要株主はベインキャピタルを軸として産業革新機構、日本政策投資銀行などが出資するファンド(49・9%)、ファンドに再出資した東芝(40・2%)、HOYA(9・9%)です。産業革新機構や日本政策投資銀行は、将来的な資本参加を検討するとして、東芝に対してそれぞれ16・7%の指図権を保有しており、政府の意向を反映させることのできる仕組みになっています。
キオクシアをめぐっては、11月にも新規上場するという話もある一方で、アメリカの半導体企業ウエスタン・デジタル(WD)との経営統合の話も出ています。キオクシアとWDが経営統合すれば、市場シェアは30%を超え(20年)、トップのサムスンに匹敵する規模になります。また、この経営統合は、バイデン政権がもくろむ中国封じ込めのための半導体分野の連携の一翼を担うという見方もでています。
このように、キオクシアの行方は、株主構成の複雑さと日米政府の半導体戦略も絡んだことで、不透明になっています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年11月5日付掲載


CPUでもDRAMでも、他国の企業に後れを取っている日本。唯一、フラッシュメモリでその一角に食い込んで言います。
その技術はいまやパソコンでHDDに代わるSSDに応用されているのでしょうね。