農家直撃 資材の高騰 全額補てんでこそ食料生産守れる
肥料や飼料、燃油の価格が高騰し続けています。「40年農業をやってきて、これほど厳しい事態は初めてだ」「やめるか続けるか決断しなければならないような状況だ」―。農家からはこんな悲鳴があがっています。
高騰の原因はコロナ禍、原油価格の上昇に加えて、ウクライナ危機、異常な円安です。
農家はメーカーの指定価格で生産資材を購入し、販売する農畜産物の価格は市場や大手スーパーまかせです。そのため、肥料や飼料などの値上げが相次ぐ一方、米や畜産物など農家の手取り価格は大幅に下がるか横ばいを続けています。(図)
とくにいま、肥料価格の高騰が農家に衝撃を与えています。全農(全国農業協同組合連合会)は今年6月から、肥料価格を最大で94%、最も使用されている高度化成肥料を55%引き上げると発表しました。自給率ほぼゼロの肥料原料の価格高騰と円安が原因です。世界的な「肥料危機」の中、今後の安定的確保が危ぶまれています。
飼料価格も、世界的な穀物高の中で急騰しています。飼料については、農家・メーカー・国が基金を積み立てて高騰分の一部を補てんする制度があります。岸田政権は6月21日、同制度を使って「飼料コストを1割抑制」すると打ち出しました。
ところがその直後、全農は、7月から飼料価格を引き上げ、トン当たり約10万円にすると発表。「1割抑制」どころか、2007年(約5万円)の2倍です。
私たち農民連は、▽肥料・燃油の高騰分を補てんする緊急対策の実施と肥料価格安定制度の創設▽飼料については高騰分の一部ではなく、全額を補てんする制度に改める―ことを繰り返し要求してきました。
政府もやっと重い腰を上げ始めたようにも見えます。しかし、いま必要なのは「やったふり」ではなく、ただちに実効ある緊急対策を実施することです。
いま求められているのは、輸入価格を30%程度引き上げている異常な円安の是正と、消費税率の5%への引き下げです。物価・資材の高騰対策として一石二鳥ですが、岸田文雄首相は両方ともかたくなに拒否しています。
食料自給率37%、飼料自給率12%という現状が、日本の食料基盤をもろくしています。それにもかかわらず、岸田政権がやっているのは、飼料や小麦への転作の支えになってきた水田活用交付金のカットであり、自給率をさらに引き下げる政治です。
農家は「世界的な食料危機の中、日本農業をつぶすわけにはいかない。いまが踏ん張り時」と努力しています。
水田活用交付金の削減中止、肥料・飼料の高騰への差額補てん、価格保障・所得補償によって、安心して農業が続けられる政治、食料自給率を引き上げる政治に切り替えることが求められています。
真嶋良孝(ましま・よしたか 農民運動全国連合会常任委員)
「しんぶん赤旗」日曜版 2022年7月24日付掲載
自給率ほぼゼロの肥料原料の価格高騰。飼料価格も、世界的な穀物高の中で急騰。一方で、農家の手取りは減少しています。
農民連は、▽肥料・燃油の高騰分を補てんする緊急対策の実施と肥料価格安定制度の創設▽飼料については高騰分の一部ではなく、全額を補てんする制度に改める―ことを繰り返し要求。
農家は「世界的な食料危機の中、日本農業をつぶすわけにはいかない。いまが踏ん張り時」と努力。
いま必要なのは「やったふり」ではなく、ただちに実効ある緊急対策を実施すること。
肥料や飼料、燃油の価格が高騰し続けています。「40年農業をやってきて、これほど厳しい事態は初めてだ」「やめるか続けるか決断しなければならないような状況だ」―。農家からはこんな悲鳴があがっています。
高騰の原因はコロナ禍、原油価格の上昇に加えて、ウクライナ危機、異常な円安です。
農家はメーカーの指定価格で生産資材を購入し、販売する農畜産物の価格は市場や大手スーパーまかせです。そのため、肥料や飼料などの値上げが相次ぐ一方、米や畜産物など農家の手取り価格は大幅に下がるか横ばいを続けています。(図)
とくにいま、肥料価格の高騰が農家に衝撃を与えています。全農(全国農業協同組合連合会)は今年6月から、肥料価格を最大で94%、最も使用されている高度化成肥料を55%引き上げると発表しました。自給率ほぼゼロの肥料原料の価格高騰と円安が原因です。世界的な「肥料危機」の中、今後の安定的確保が危ぶまれています。
飼料価格も、世界的な穀物高の中で急騰しています。飼料については、農家・メーカー・国が基金を積み立てて高騰分の一部を補てんする制度があります。岸田政権は6月21日、同制度を使って「飼料コストを1割抑制」すると打ち出しました。
ところがその直後、全農は、7月から飼料価格を引き上げ、トン当たり約10万円にすると発表。「1割抑制」どころか、2007年(約5万円)の2倍です。
私たち農民連は、▽肥料・燃油の高騰分を補てんする緊急対策の実施と肥料価格安定制度の創設▽飼料については高騰分の一部ではなく、全額を補てんする制度に改める―ことを繰り返し要求してきました。
政府もやっと重い腰を上げ始めたようにも見えます。しかし、いま必要なのは「やったふり」ではなく、ただちに実効ある緊急対策を実施することです。
いま求められているのは、輸入価格を30%程度引き上げている異常な円安の是正と、消費税率の5%への引き下げです。物価・資材の高騰対策として一石二鳥ですが、岸田文雄首相は両方ともかたくなに拒否しています。
食料自給率37%、飼料自給率12%という現状が、日本の食料基盤をもろくしています。それにもかかわらず、岸田政権がやっているのは、飼料や小麦への転作の支えになってきた水田活用交付金のカットであり、自給率をさらに引き下げる政治です。
農家は「世界的な食料危機の中、日本農業をつぶすわけにはいかない。いまが踏ん張り時」と努力しています。
水田活用交付金の削減中止、肥料・飼料の高騰への差額補てん、価格保障・所得補償によって、安心して農業が続けられる政治、食料自給率を引き上げる政治に切り替えることが求められています。
真嶋良孝(ましま・よしたか 農民運動全国連合会常任委員)
「しんぶん赤旗」日曜版 2022年7月24日付掲載
自給率ほぼゼロの肥料原料の価格高騰。飼料価格も、世界的な穀物高の中で急騰。一方で、農家の手取りは減少しています。
農民連は、▽肥料・燃油の高騰分を補てんする緊急対策の実施と肥料価格安定制度の創設▽飼料については高騰分の一部ではなく、全額を補てんする制度に改める―ことを繰り返し要求。
農家は「世界的な食料危機の中、日本農業をつぶすわけにはいかない。いまが踏ん張り時」と努力。
いま必要なのは「やったふり」ではなく、ただちに実効ある緊急対策を実施すること。
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