けいざい四季報 2022 Ⅳ ② 国内景気 物価上昇、負担増年13万円
【ポイント】
①1ドル=152円に迫る円安が進み、政府・日銀は6兆3499億円の介入を実施
②消費者物価が前年比3・6%上昇し、2人以上の世帯で年13・1万円の負担増に
③輸入増加で貿易収支が16カ月連続赤字となり、外国依存経済の危うさがあらわに
大幅な利上げを進める米国と、超低金利政策を続ける日本との金利差が開き、異常円安が急進しました。
異常円安が進む
10月21日の海外市場では、1ドル=152円に迫る急速な円安が進行。政府・日銀は推計5兆円規模の円買い・ドル売り介入に追い込まれました。9月22日に約24年ぶりに実施した2兆8382億円の介入を超え、1日の円買い介入額として過去最大とみられます。
10月にはこの日のほかにも円安が急進する場面があり、政府・日銀が実施した為替介入は総額6兆3499億円にのぼりました。月間の円買い介入額として過去最大です。
11月に入ると、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの見方が浮上し、ドル売り円買いの流れが強まりました。FRBは12月14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0・5%の利上げを決定。利上げペースを過去4回連続の0・75%から減速させました。
それでも米国の政策金利は4・25~4・50%と07年以来の高さとなります。他方、日銀は20日の金融政策決定会合で金融緩和策を一部修正し、事実上の利上げを行うことを決定しました。
日本銀行本店=東京都中央区
値上げラッシュ
異常円安は輸入物価を高騰させ、国内物価を押し上げています。
10月の全国消費者物価指数(2020年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が103・4となり、前年同月比3・6%上昇。食料品など生活必需品の値上げラッシュやエネルギー価格の高騰が響き、第2次石油危機後の1982年2月以来、40年8カ月ぶりの高い上昇率を記録しました。
物価上昇による家計の負担増を本紙が試算したところ、2人以上の平均的世帯で年間13・1万円にのぼりました。日本共産党の田村智子政策委員長は11月18日に国会内で記者会見し、「経験したことがないような急激な物価上昇となっている」「いよいよ賃上げと消費税減税の経済対策が求められる」と強調しました。
国内経済の主な出来事(10~12月)
外国依存の危険
日米金利差だけでなく、貿易赤字も円安の要因となっています。
11月の貿易統計速報(通関ベース)で、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆274億円の赤字となりました。赤字は16カ月連続で、11月としては比較可能な1979年以降最大です。資源価格高騰と円安によって輸入額が膨らんだことが響きました。
輸入額を品目別に見ると、原油は前年同月比69・7%増。液化天然ガス(LNG)は51・9%増・石炭は106・8%増でした。ロシアのウクライナ侵略で加速したエネルギー価格上昇が輸入額を膨張させる構図が続きました。食料自給率38%、エネルギー自給率10%という外国依存経済の危うさがあらわになっています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月21日付掲載
米国の政策金利は4・25~4・50%と07年以来の高さ。他方、日銀は20日の金融政策決定会合で金融緩和策を一部修正し、事実上の利上げを行うことを決定。
物価上昇による家計の負担増を本紙が試算したところ、2人以上の平均的世帯で年間13・1万円にのぼりました。日本共産党の田村智子政策委員長は11月18日に国会内で記者会見し、「経験したことがないような急激な物価上昇となっている」「いよいよ賃上げと消費税減税の経済対策が求められる」と強調。
【ポイント】
①1ドル=152円に迫る円安が進み、政府・日銀は6兆3499億円の介入を実施
②消費者物価が前年比3・6%上昇し、2人以上の世帯で年13・1万円の負担増に
③輸入増加で貿易収支が16カ月連続赤字となり、外国依存経済の危うさがあらわに
大幅な利上げを進める米国と、超低金利政策を続ける日本との金利差が開き、異常円安が急進しました。
異常円安が進む
10月21日の海外市場では、1ドル=152円に迫る急速な円安が進行。政府・日銀は推計5兆円規模の円買い・ドル売り介入に追い込まれました。9月22日に約24年ぶりに実施した2兆8382億円の介入を超え、1日の円買い介入額として過去最大とみられます。
10月にはこの日のほかにも円安が急進する場面があり、政府・日銀が実施した為替介入は総額6兆3499億円にのぼりました。月間の円買い介入額として過去最大です。
11月に入ると、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの見方が浮上し、ドル売り円買いの流れが強まりました。FRBは12月14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0・5%の利上げを決定。利上げペースを過去4回連続の0・75%から減速させました。
それでも米国の政策金利は4・25~4・50%と07年以来の高さとなります。他方、日銀は20日の金融政策決定会合で金融緩和策を一部修正し、事実上の利上げを行うことを決定しました。
日本銀行本店=東京都中央区
値上げラッシュ
異常円安は輸入物価を高騰させ、国内物価を押し上げています。
10月の全国消費者物価指数(2020年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が103・4となり、前年同月比3・6%上昇。食料品など生活必需品の値上げラッシュやエネルギー価格の高騰が響き、第2次石油危機後の1982年2月以来、40年8カ月ぶりの高い上昇率を記録しました。
物価上昇による家計の負担増を本紙が試算したところ、2人以上の平均的世帯で年間13・1万円にのぼりました。日本共産党の田村智子政策委員長は11月18日に国会内で記者会見し、「経験したことがないような急激な物価上昇となっている」「いよいよ賃上げと消費税減税の経済対策が求められる」と強調しました。
国内経済の主な出来事(10~12月)
10/3 | 2022年度上半期の新車販売台数は11年ぶりの200万台割れ |
10/7 | 相場操縦のSMBC日興証券に3カ月間の一部業務停止命令 |
10/13 | 日銀の生活意識調査で91.8%の人が物価高騰を実感と回答 |
11/11 | 10月の国内企業物価指数が過去最高の117.5となる |
11/28 | 沖縄電力が電気の一般家庭向け規制料金39.3%の値上げ申請 |
11/28 | 日銀の保有国債が価格下落で8749億円の含み損に転落 |
12/1 | 大企業の内部留保が揃年同期比6.5%増の505.4兆円に |
12/6 | 10月の実質賃金は前年同月比2.6%減で7カ月連続マイナス |
12/8 | サービスや投資収益を含む10月の経常収支は641億円の赤字 |
12/8 | 11月の物価高倒産は46件で、過去最多を5カ月連続で更新 |
外国依存の危険
日米金利差だけでなく、貿易赤字も円安の要因となっています。
11月の貿易統計速報(通関ベース)で、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆274億円の赤字となりました。赤字は16カ月連続で、11月としては比較可能な1979年以降最大です。資源価格高騰と円安によって輸入額が膨らんだことが響きました。
輸入額を品目別に見ると、原油は前年同月比69・7%増。液化天然ガス(LNG)は51・9%増・石炭は106・8%増でした。ロシアのウクライナ侵略で加速したエネルギー価格上昇が輸入額を膨張させる構図が続きました。食料自給率38%、エネルギー自給率10%という外国依存経済の危うさがあらわになっています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月21日付掲載
米国の政策金利は4・25~4・50%と07年以来の高さ。他方、日銀は20日の金融政策決定会合で金融緩和策を一部修正し、事実上の利上げを行うことを決定。
物価上昇による家計の負担増を本紙が試算したところ、2人以上の平均的世帯で年間13・1万円にのぼりました。日本共産党の田村智子政策委員長は11月18日に国会内で記者会見し、「経験したことがないような急激な物価上昇となっている」「いよいよ賃上げと消費税減税の経済対策が求められる」と強調。
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