これでわかる健康診断①
千葉・二和ふれあいクリニック所長 川村実
なんのためにやる?
「1年に1回受ける」大切さ
◆日本人の三大死因
がんによる死亡が、脳卒中を抜き死亡原因の第1位になったのが1981年、今年で30年になります。さらに欧米化の生活様式の普及で、心疾患、心筋梗塞(こうそく)が増え、現在、日本人の三大死因は、がん、心筋梗塞、脳卒中の順です。この三つで約60%の方々が亡くなっています。
老人保健法でおこなわれていた自治体などの基本健康診査は、2008年に「特定健診、特定保健指導」という、保険者(自治体の国民健康保険、協会けんぽなど)がおこなうものに形を変えました。40歳以上74歳までを対象とする、いわゆるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)健診となりました。
腹囲が男性85センチ、女性90センチ以上の小太りの人をターゲットに、高血圧、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病を減らし、発症すれば必要となる治療にかかる医療費の削減を狙っています。特化したおかげで、それまでおこなわれていた腎機能クレアチニン、尿酸、貧血検査などが抜け落ちてしまいました。(本紙4月16日付3面から20日付14面まで連載、「メタボ健診3年目の現実」参照)
◆初期症状が少なく
こうした状況を踏まえ、何のために健診をやるのか?ですが、しのび寄る病気の早期発見のためにおこなうものです。
三大成人病といわれる高血圧は、別名サイレントキラーと呼ばれ、初期には症状はほとんどありません。脂質代謝異常症(以前は高脂血症と呼ばれた)は動脈硬化がかなり進まないと症状は出ません。糖尿病も、尿糖がかなり出るようになるまで頻尿やのどの渇き、だるさなどの症状は出てきません。
また、がんを完全に予防することは現在できません。各種がん検診で発見されるがんの大きさは、約10ミリ大といわれています(ぼうこうがんなどは、腹部エコーで5ミリくらいあると分かる場合もあります)。それが2倍の大きさになるには約1年かかります。1年に1回のがん検診を受ける意味はそこからきています。
現在推奨されているがん検診は、
○乳がん(40歳以上の女性、2年に1回)
○子宮頸(けい)がん(20歳以上の女性、2年に1回)
○胃がん、大腸がん、肺がんは、40歳以上で1年に1回です。
◆低い受診率
しかし、こういった検診・健診の受診率は、欧米に比べて低く、せいぜい20~30%程度です。特定健診・特定保健指導では、この受診率を引き上げるために、保険者にペナルティーを科しました。
特定健診の受診率や、特定保健指導での改善率などが低い保険者には、75歳以上の後期高齢者医療制度への負担金を増やすというものです。これで受診者が増えればいいのですが、ペナルティー分、保険料だけが上がるのでは健診の意味が本末転倒となります。
次回は「健診結果の見方」です。(金曜掲載)
2010年5月7日付 「しんぶん赤旗」日刊紙に掲載
という僕も、来週の5月19日に健康診断を受けます。しっかり胃カメラを飲みますよ!
もちろん腹部エコーも、血液検査もします。
千葉・二和ふれあいクリニック所長 川村実
なんのためにやる?
「1年に1回受ける」大切さ
◆日本人の三大死因
がんによる死亡が、脳卒中を抜き死亡原因の第1位になったのが1981年、今年で30年になります。さらに欧米化の生活様式の普及で、心疾患、心筋梗塞(こうそく)が増え、現在、日本人の三大死因は、がん、心筋梗塞、脳卒中の順です。この三つで約60%の方々が亡くなっています。
老人保健法でおこなわれていた自治体などの基本健康診査は、2008年に「特定健診、特定保健指導」という、保険者(自治体の国民健康保険、協会けんぽなど)がおこなうものに形を変えました。40歳以上74歳までを対象とする、いわゆるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)健診となりました。
腹囲が男性85センチ、女性90センチ以上の小太りの人をターゲットに、高血圧、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病を減らし、発症すれば必要となる治療にかかる医療費の削減を狙っています。特化したおかげで、それまでおこなわれていた腎機能クレアチニン、尿酸、貧血検査などが抜け落ちてしまいました。(本紙4月16日付3面から20日付14面まで連載、「メタボ健診3年目の現実」参照)
◆初期症状が少なく
こうした状況を踏まえ、何のために健診をやるのか?ですが、しのび寄る病気の早期発見のためにおこなうものです。
三大成人病といわれる高血圧は、別名サイレントキラーと呼ばれ、初期には症状はほとんどありません。脂質代謝異常症(以前は高脂血症と呼ばれた)は動脈硬化がかなり進まないと症状は出ません。糖尿病も、尿糖がかなり出るようになるまで頻尿やのどの渇き、だるさなどの症状は出てきません。
また、がんを完全に予防することは現在できません。各種がん検診で発見されるがんの大きさは、約10ミリ大といわれています(ぼうこうがんなどは、腹部エコーで5ミリくらいあると分かる場合もあります)。それが2倍の大きさになるには約1年かかります。1年に1回のがん検診を受ける意味はそこからきています。
現在推奨されているがん検診は、
○乳がん(40歳以上の女性、2年に1回)
○子宮頸(けい)がん(20歳以上の女性、2年に1回)
○胃がん、大腸がん、肺がんは、40歳以上で1年に1回です。
◆低い受診率
しかし、こういった検診・健診の受診率は、欧米に比べて低く、せいぜい20~30%程度です。特定健診・特定保健指導では、この受診率を引き上げるために、保険者にペナルティーを科しました。
特定健診の受診率や、特定保健指導での改善率などが低い保険者には、75歳以上の後期高齢者医療制度への負担金を増やすというものです。これで受診者が増えればいいのですが、ペナルティー分、保険料だけが上がるのでは健診の意味が本末転倒となります。
次回は「健診結果の見方」です。(金曜掲載)
2010年5月7日付 「しんぶん赤旗」日刊紙に掲載
という僕も、来週の5月19日に健康診断を受けます。しっかり胃カメラを飲みますよ!
もちろん腹部エコーも、血液検査もします。
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