2021年概算要求の焦点⑦ 文教 少人数学級を事項要求
2021年度の文部科学省の概算要求は19年度当初予算比11・4%増(6058億円増)の5兆9118億円です。そのうち文教予算は4兆3011億円です。
新型コロナウイルス対策として、公立小中学校の学級編成標準の引き下げを含めた「少人数指導体制の計画的な整備」を、金額を示さない事項要求で盛り込みました。現在の標準は1学級40人(小1のみ35人)。国立大学付属校や私立校での少人数指導も事項要求です。
教職員は減
事項要求を除いた公立小中学校の教職員定数は、障害のある子どもの通級指導の充実や外国人児童・生徒への日本語指導の充実などのために加配している教員の基礎定数化で397人増。ただし少子化による教職員定数の自然減が995人あり、差し引きでは598人の大幅減となっています。
文科省は、現時点で学級編成標準を30人に引き下げた場合、新たに8万~9万人の教員が必要になると試算。少子化によって今後10年間で5万人の教員が余剰となり、少人数指導のためにすでに追加配置している教員も3万人いるため、時間をかければ大きな追加負担は生じないと説明しています。少人数学級に否定的な財務省を念頭に置いたものですが、遅すぎます。
新型コロナ対応ではほかに、学習指導員3万2千人(2万4千人増)、スクール・サポート・スタッフ2万4500人(1万9900人増)、中学校の部活動指導員1万3200人(3千人増)を要求。消毒液など保健衛生用品の整備やスクールバスの増便など「学校における感染症対策の充実」にも169億円を求めています。
交科省概算要求の小中学校のICT化関係予算
学校のデジタル化・オンライン化の事例(文科省「学校における1人1台端末環境」公式プロモーションから)
「ICT化」
デジタル教科書の普及促進事業に52億円、オンライン学習システムの全国展開に36億円、教育現場のICT(情報通信技術)化の支援員配置に53億円など、新型コロナを口実とした「学校ICT化」に巨額の予算を計上しているのも特徴です。デジタル教科書の扱いは中央教育審議会(文科相の諮問機関)でも方向性が出ておらず、拙速な動きに現場からは懸念の声が上がっています。
国立大学法人運営費交付金は330億円増の1兆1137億円です。増額分は学内への体温検知設備の設置など新型コロナを踏まえた教育研究基盤の強化の予算。新型コロナで家計が急変した学生への授業料減免や大学等修学支援制度は事項要求です。
国立大学の人件費などに充てられる基幹経費の一部を、各大学の外部資金獲得実績や論文数などで評価して増減させる「改革インセンティブ」は、20年度と同額の850億円(変動幅プラス・マイナス15%)です。安定的な大学運営を困難にし、日本の研究基盤を掘り崩すと批判されています。同制度は、予算規模と変動幅を「順次拡大」するとされており、財務省がさらなる拡大を求めるのは必至です。
このほか、各大学の評価指標に基づいて基幹経費を再配分する仕組みにも250億円を計上しています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年10月21日付掲載
コロナ禍のもとで、分散登校が行われ、実際に体験した少人数学級。
20人学級を求める声は大きい。教員の配置を財源でも確保していくことが求められています。
2021年度の文部科学省の概算要求は19年度当初予算比11・4%増(6058億円増)の5兆9118億円です。そのうち文教予算は4兆3011億円です。
新型コロナウイルス対策として、公立小中学校の学級編成標準の引き下げを含めた「少人数指導体制の計画的な整備」を、金額を示さない事項要求で盛り込みました。現在の標準は1学級40人(小1のみ35人)。国立大学付属校や私立校での少人数指導も事項要求です。
教職員は減
事項要求を除いた公立小中学校の教職員定数は、障害のある子どもの通級指導の充実や外国人児童・生徒への日本語指導の充実などのために加配している教員の基礎定数化で397人増。ただし少子化による教職員定数の自然減が995人あり、差し引きでは598人の大幅減となっています。
文科省は、現時点で学級編成標準を30人に引き下げた場合、新たに8万~9万人の教員が必要になると試算。少子化によって今後10年間で5万人の教員が余剰となり、少人数指導のためにすでに追加配置している教員も3万人いるため、時間をかければ大きな追加負担は生じないと説明しています。少人数学級に否定的な財務省を念頭に置いたものですが、遅すぎます。
新型コロナ対応ではほかに、学習指導員3万2千人(2万4千人増)、スクール・サポート・スタッフ2万4500人(1万9900人増)、中学校の部活動指導員1万3200人(3千人増)を要求。消毒液など保健衛生用品の整備やスクールバスの増便など「学校における感染症対策の充実」にも169億円を求めています。
交科省概算要求の小中学校のICT化関係予算
デジタル教科書の普及促進 | 52億円 |
オンライン学習システム(CBT)の全国展開 | 36億円 |
全国学力テストのCBT化に向けた取り組み | 6億円 |
学術情報ネットワーク(SINET)の整備 | 11億円 |
GIGAスクールサポーター配置促進 | 53億円 |
GIGAスクールにおける学びの充実 | 4億円 |
学校のデジタル化・オンライン化の事例(文科省「学校における1人1台端末環境」公式プロモーションから)
「ICT化」
デジタル教科書の普及促進事業に52億円、オンライン学習システムの全国展開に36億円、教育現場のICT(情報通信技術)化の支援員配置に53億円など、新型コロナを口実とした「学校ICT化」に巨額の予算を計上しているのも特徴です。デジタル教科書の扱いは中央教育審議会(文科相の諮問機関)でも方向性が出ておらず、拙速な動きに現場からは懸念の声が上がっています。
国立大学法人運営費交付金は330億円増の1兆1137億円です。増額分は学内への体温検知設備の設置など新型コロナを踏まえた教育研究基盤の強化の予算。新型コロナで家計が急変した学生への授業料減免や大学等修学支援制度は事項要求です。
国立大学の人件費などに充てられる基幹経費の一部を、各大学の外部資金獲得実績や論文数などで評価して増減させる「改革インセンティブ」は、20年度と同額の850億円(変動幅プラス・マイナス15%)です。安定的な大学運営を困難にし、日本の研究基盤を掘り崩すと批判されています。同制度は、予算規模と変動幅を「順次拡大」するとされており、財務省がさらなる拡大を求めるのは必至です。
このほか、各大学の評価指標に基づいて基幹経費を再配分する仕組みにも250億円を計上しています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年10月21日付掲載
コロナ禍のもとで、分散登校が行われ、実際に体験した少人数学級。
20人学級を求める声は大きい。教員の配置を財源でも確保していくことが求められています。
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