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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

デジタル法案 監視国家と治安体制① 便利さに隠れた危険

2021-04-24 07:17:00 | 経済・産業・中小企業対策など
デジタル法案 監視国家と治安体制① 便利さに隠れた危険
経済研究者 友寄英隆さんに聞く

デジタル法案の危険性について、経済研究者の友寄英隆さんに寄稿をお願いしました。

菅義偉内閣のデジタル関連法案は、これまでの国会での質疑を通じて、その危険な性格がしだいに明らかになってきました。菅内閣のデジタル改革は、安倍晋三前内閣のときから強化されてきた治安体制を情報基盤の面から支えるものでもあり、その危険性を決して軽視してはなりません。菅内閣のデジタル改革の危険性は、デジタル技術が原理的に持っている特徴(情報処理の集積・流通・検索の容易さ、不可視性など)を背景としています。それは、デジタル技術の利便性を前提としているために、その危険性が隠されでしまうのです。
例えば、今では多くの人がスマホを使って、移動中も日常的に連絡を取り合っています。また、スマホにはデジタルカメラも搭載されているので、フィルムを入れて、暗室で現像しなくても、いとも簡単に写真や動画を撮って保存できるようになりました。
スマートフォン、インターネット、コンピューター、メール、デジタルカメラ、デジタルテレビなどなど、すべてデジタル化の最先端の技術の応用によるものです。こうしたデジタル技術の発展は、人間社会のさまざまな分野での利便性を高めることになりました。



デジタル関連法案を通すなと抗議行動する人たち=4月6日、衆院第2議員会館前

情報処理が容易
しかし、情報のデジタル化は、アナログ時代にはなかった新たな危険性を拡大しています。
デジタル化の情報処理は、コンピューターを利用して、きわめて簡単に膨大な情報の集中・集積、流通、検索を行うことができます。スマホの個人情報は、ネットを通じてIT(情報技術)大企業に吸い上げられてビッグデータとして集積しています。地方自治体の個人データを政府に集中したり、何千何百万の個人情報を小さなUSBメモリーにコピーしてかばんに入れて持ち運んだり、パソコンでワンクリックして必要なデータを瞬時に検索して引き出すことができます。
デジタル化による利便性は、同時に、その情報処理の管理の方法を少しでも誤ると、きわめて危険なものになります。国家が住民データをもとに個人の活動を監視したり、数百万人の個人情報が簡単に大企業に流出したりします。



「ベース・レジストリ」のイメージ(「データ戦略タスクフォース」の説明資料から)

不可視の「空間」
コンピューターでは、徹底的にデジタル化された情報が電子的に高速処理されるために、その過程は、人間にはまったく不可視的な(目に見えない)ものとなります。
サイバー空間(デジタル情報の世界)は、コンピューターが日常的な情報処理の結果として生成・収集・累積するビッグデータがネットワークを通じてグローバルに拡大した仮想的な空間です。つまり、サイバー空間は、情報処理の「不可視性」をグローバルに拡大・した世界であり、そのなかで個人情報がどのように処理されるのかも、まったく「不可視」になります。
菅内閣の「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」(2020年12月)では、「基本原則」として、「ベース・レジストリ」による「データ共通基盤の構築」を強調しています。「ベース・レジストリ」とは、「人、法人、土地、建物、資格等の社会の基本データ」、「社会の基盤となるデータベース」のことです。菅内閣が決定した「デジタル・ガバメント実行計画」(20年12月)では、「デジタル社会においては行政機関が最大のデータ保有者であり行政自身が国全体の最大のプラットフォーム」になる、と強調しています。
(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年4月23日付掲載


菅内閣が決定した「デジタル・ガバメント実行計画」(20年12月)では、「デジタル社会においては行政機関が最大のデータ保有者であり行政自身が国全体の最大のプラットフォーム」に。
そのデータが匿名化をしないまま、大企業に流出する危険性も。

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