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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

AIと産業② 勝者総取りの情報財市場

2024-04-19 07:11:42 | 経済・産業・中小企業対策など
AIと産業② 勝者総取りの情報財市場

桜美林大学教授 藤田実さん

チャットGPTなどの生成AI(人工知能)は、さまざまな用途に活用できる汎用(はんよう)的な技術であることから、IT市場における競争の主戦場になっています。

利便性が高まり
IT企業が生産する財やサービスは「情報財」といわれ、「物財」とは異なる特徴があります。利便性の高い情報財に多くの消費者がつくことでさまざまな情報共有が進み、さらに利便性が高まり、ますます多くの消費者が購入する「ネットワーク効果」と呼ばれる特徴です。
また、いったん消費者が特定の情報財を利用すると、今まで蓄積してきたデータの再利用や他の情報財への乗り換えに手間や費用がかかるため、同じ情報財を利用し続ける「ロックイン効果」が生じます。情報財を提供するIT企業にとっては、情報財市場での競争は先手必勝、勝者総取りの傾向になるため、新しい情報財やそのサービス展開にしのぎを削ることになります。




実際にIT市場での情報やサービス関連の市場では、GAFAM(ガーファム=グーグル、アマゾン、フェイスブック〈現・メタ〉、アップル、マイクロソフト)と呼ばれる米国巨大IT企業が、それぞれの主たるビジネスで独占状態にあります。
そこにチャットGPTが登場し、自然言語でさまざまな文章や画像、動画などの生成、データ分析などが可能になりました。生成AIの開発や生成AIを組み込んだサービス展開が、IT市場での競争で勝敗を決する情報財になりつつあります。
マイクロソフトは、チヤットGPTを開発したオープンAIに出資し、今後も数十億~数百億ドルを追加出資するといいます。
オープンAIは、特異な3層の組織構造を持っています。まず非営利組織として寄付を資金源とする①「オープンAIInc.」があり、同組織が保有する②「オープンAI GP LLC」が、営利会社で子会社の③「オープンAIグローバルLLC」を管理しています。公式ホームページによれば、①の「Inc.」は高度なAIの悪用を防ぎ、「全人類に利益をもたらすAGI(汎用人工知能)の開発」を目的とする非営利の研究組織です。
マイクロソフトは③の「グローバルLCC」の株式の49%を保有しており、オープンAIを支配しているわけではありませんが、その成果を自社のサービスに利用しています。世界第2位の市場シェアを握っているマイクロソフトのクラウドサービスや業務用製品でチャットGPTが利用できるようになっています。

企業向けに重点
マイクロソフト以外のIT企業も独自の生成AIやそれを組み込んだサービス展開を開始しています。マイクロソフトのサービスが一般消費者向けであるのに対し、アマゾンやメタ、「アルファベット」(グーグルの親会社)は企業向けに重点を置いています。
生成AIの開発とそのサービス展開の競争は始まったばかり。企業向けサービスは、事務・管理業務の省力化や生産性向上に寄与する可能性が大きいうえ、企業支出の増大が予想されるだけに、雇用への影響も含めて注視する必要があります。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月17日付掲載


IT企業が生産する財やサービスは「情報財」といわれ、「物財」とは異なる特徴があります。利便性の高い情報財に多くの消費者がつくことでさまざまな情報共有が進み、さらに利便性が高まり、ますます多くの消費者が購入する「ネットワーク効果」と呼ばれる特徴。
マイクロソフトは「グローバルLCC」の株式の49%を保有しており、オープンAIを支配しているわけではありませんが、その成果を自社のサービスに利用しています。世界第2位の市場シェアを握っているマイクロソフトのクラウドサービスや業務用製品でチャットGPTが利用できるように。
マイクロソフトのサービスが一般消費者向けであるのに対し、アマゾンやメタ、「アルファベット」(グーグルの親会社)は企業向けに重点を。

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