きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

円安時代② 海外移転で国内が衰退

2022-10-30 07:06:12 | 経済・産業・中小企業対策など
円安時代② 海外移転で国内が衰退
日本経済の構造は過去20年ほどの間に大きく変わりました。国内生産が衰退し、貿易赤字が拡大しました。とりわけ深刻なのが、かつて輸出産業の花形だった電気機器製造業の落ち込みです。

黒字額が急減
電気機器の貿易黒字は2007年、7・6兆円にのぼりました。ところが09年以降、黒字額が急減し、20年には1・5兆円に縮小しています(図1)。その主因は、パソコン、携帯電話(スマートフォン)、テレビ製造業の海外移転と衰退です。




パソコンなどの電算機類は2000年代以降、坂道を転げ落ちるように貿易赤字を拡大しました。低賃金の中国に生産拠点を移した米国メーカーや中国メーカーの激安商品が売り上げを伸ばし、一部の日本メーカーも生産を海外へ移転したためです。
携帯電話などの通信機の転機となったのは米アップル社がアイフォーンを発売した07年です。日本メーカーはスマホ開発に乗り遅れ、中国で組み立てられたアイフォーンに市場を奪われました。
大幅な貿易黒字を誇ったテレビなどの音響映像機器も、10年代に貿易赤字に転落しました。中国・韓国メーカーとの低価格競争に敗れたシャープが経営危機に陥り、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入った16年以降、赤字幅が拡大しています。シャープは国内工場での生産を次々に打ち切り、海外移転を進めました。
日本の中核産業である自動車(輸送用機器)も、国内生産に目を向けると芳しくありません。08年のリーマン・ショックで生産・輸出が急減した後、海外生産はうなぎ登りに増えたのに、国内生産と輸出は以前の水準を回復していません。海外生産の拡大に伴って伸びていた部品輸出も低迷しています。(図2)




新興国の台頭
中央大学の村上研一教授はこうした構造変化の背景に新興国の台頭があるといいます。
「巨大な人口を抱える中国などの新興国は低賃金の生産拠点として急成長するとともに、世界の主要市場として台頭しました。新興国の所得水準は欧米諸国より低く、質が悪くても安い商品でなければ売れませんでした。日本メーカーは10年代、サプライチェーン(供給網)ごと海外展開し、低品質・低価格の部品を現地で調達するようになりました。その後、新興国内の技術が急速に向上し、質のよい部品を安価に調達できるようになっています。『組み立て工程を海外移転しても部品輸出が進むので国内産業は空洞化しない』という議論は成り立たなくなっています」
低賃金・低税率を求めて世界を飛び回る多国籍企業の競争の中で、日本の製造業は空洞化しました。国内の賃金は低迷して内需が冷え込み、内需産業も縮小再生産を余儀なくされました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年10月27日付掲載


パソコンなどの電算機類は2000年代以降、坂道を転げ落ちるように貿易赤字を拡大しました。低賃金の中国に生産拠点を移した米国メーカーや中国メーカーの激安商品が売り上げを伸ばし、一部の日本メーカーも生産を海外へ移転したため。
日本メーカーのパソコンも、中国や東南アジアでつくられたものがほとんどです。
新興国内の技術が急速に向上し、質のよい部品を安価に調達できるように。
効率化で、海外移転していったツケが出てきています。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 円安時代① 自ら「日本売り」... | トップ | 円安時代③ 異次元の自国窮乏... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済・産業・中小企業対策など」カテゴリの最新記事