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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

物価高騰 日本経済の構造的弱点③ 輸入に依存するもろさ

2022-04-29 07:08:02 | 経済・産業・中小企業対策など
物価高騰 日本経済の構造的弱点③ 輸入に依存するもろさ
ロシアのウクライナ侵略は、進行中の円安による輸入物価の上昇と相まって、食料、飼料、肥料、燃料などを輸入に依存する日本の脆弱(ぜいじゃく)性を浮かび上がらせました。

食料自給率は37%まで下落
日本の食料自給率は史上最低の37・17%まで下落しています。ロシアのウクライナ侵略の影響で、食料の安定供給が懸念される事態も想定されます。
穀物価格の国際的指標とされるシカゴ商品取引所(CBOT)で3月8日、小麦の先物価格が14年ぶりに史上最高値を更新しました。世界の小麦需要が高まっているなかで、主要輸出国のカナダや米国などで天候不順のために収量が減少し、値上がりが続いていたところへ、ロシアのウクライナ侵略で供給不安が増幅したためです。両国だけで世界の小麦輸出量の約3割を占めているのです。
政府は1日、輸入小麦の売り渡し価格を17・3%引き上げました。ウクライナ危機以前の国際価格の上昇を反映させたにすぎません。それでも、パン、麺類など食料品の値上げが相次いでいます。しかし、食料品の値上がりはこれにとどまる保証はありません。



農業生産資材高騰への対策を農林水産省に求める農民連の長谷川敏郎会長(右から2人目)ら=3月24日、参院議員会館

国連食糧農業機関(FAO)が8日発表した世界の食料価格指数は3月、過去最高を更新しました。FAOの試算によると、ロシアとウクライナからの穀物の輸出の減少は、他の諸国の輸出余力では補いきれず、食料の国際価格が8~22%上昇する恐れがあるといいます。
日本はロシアとウクライナから穀物をほとんど輸入していません。しかし、両国からの輸出が滞れば、輸入国の代替需要が日本の主な輸入相手国である米国やカナダ、オーストラリアなどへ向けられ、争奪戦も起きかねません。日本が買い負ける可能性も十分にあるのです。
日本は、飼料穀物の多くを米国、ブラジル、オーストラリアなどからの輸入に頼っています。飼料自給率はわずか25%なのです。飼料穀物の国際価格も上昇しています。
使用割合の高いトウモロコシは、輸入の68%までを米国、19%をブラジルに依存しています。大麦も64%までをオーストラリアに依存しています。トウモロコシの国際価格は、中国における需要増加や南米産の作況悪化懸念などで上昇。その後、やや下がったものの、ウクライナ危機を受けてさらに高騰しています。トウモロコシの輸出ではウクライナが世界4位(14・5%)です。ちなみに、大麦の輸出ではウクライナが1位(13%)、ロシアが2位(13%)です。
日本が輸入する化学肥料の原料も値上がりが続いています。世界的に人口増加による食料需要の増加に伴い、食料増産のために化学肥料の需要が高まり、原料価格が上昇を続けていたところへ、ウクライナ危機の影響が加わりました。
尿素の輸入は47%をマレーシア、37%を中国に依存しています。リン酸アンモニウムの輸入は90%までを中国1国に頼っています。塩化カリウムは16%をロシアから、10%をベラルーシから輸入しており、経済制裁に伴い調達先の変更を迫られています。






石油価格上昇影響広範囲に
石油製品価格の上昇と高止まりで、農業や漁業をはじめ、国民の営業と暮らしに深刻な影響が広範囲に出ています。
新型コロナウイルス禍からの景気回復に伴う需要増で世界の原油価格が上昇に転じていたところへ、世界3位の産油国ロシアのウクライナ侵略と対ロ経済制裁で供給不安が高まりました。それに加えて、日本にとっては円安によって輸入価格が膨らみました。まさに「三重苦」です。政府は、石油元売り会社へ補助金を出して、卸値を抑制し、小売価格の上昇を抑えようとしています。それでも、国際的にも国内的にも、石油の高止まりが続いています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年4月28日付掲載


日本の食料自給率は史上最低の37・17%まで下落しています。ロシアのウクライナ侵略の影響で、食料の安定供給が懸念される事態も想定。
日本はロシアとウクライナから穀物をほとんど輸入していません。しかし、両国からの輸出が滞れば、輸入国の代替需要が日本の主な輸入相手国である米国やカナダ、オーストラリアなどへ向けられ、争奪戦も起きかねません。日本が買い負ける可能性も十分にある。
食料やエネルギーの自給率を高める努力が政府に求められています。

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