きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

カミナリ様の不思議 ⑤「遠くの雷鳴なら安全」は迷信 ⑥地元気象台の天気予報を聞く

2009-07-29 22:39:03 | 日常生活
カミナリ様の不思議 5&6編

大阪大学大学院教授
河崎善一郎


⑤「遠くの雷鳴なら安全」は迷信
落雷時の稲光と雷鳴


 光の速さは、1秒間に地球を7まわり半、つまり、秒速30万キロメートルである。一方、音の速さは秒速340メートル程度である。
 いきなり小中学校の理科の内容から話を始めてしまったけれど、それには理由がある。つまり、今日は落雷に伴う電光(稲光)と雷鳴について考えたいと考え、基礎的な知識から始めた次第である。
 実は電光と雷鳴、落雷のあった瞬間に、ほぼ同時に起こっている。ただ光の速さがとてつもなく速いので、落雷の瞬間に、距離にほとんど関係なく、電光は我々の眼に入る。随分と遠くで、たとえ地平線の向こうの落雷であったとしても、夜なら雲がぱっと明るくなる。
 一方、雷鳴は秒速340メートル、落雷地点があなたの居る場所から3キロメートル程離れていれば、ピカッと光る電光から遅れる事おおよそ9秒、10キロメートルなら30秒程遅れて耳に届く。それに電光から遅れれば遅れるほど、雷鳴が小さくなる。
 ちなみに電光が眼に入ってから、1分間雷鳴が聞えなければ、まず聞こえることはない。
 というのも、雷鳴のとどく範囲は周囲の環境にも依存するが、10~15キロメートル程度だからである。




 話は変わるが、落雷を引き起こす雷雲の大きさは、通常10~15キロメートルの直径と考えてよい。もっと大きな「スーパーセル」と呼ばれる巨大な積乱雲(雷雲)も存在するが、わが国にあってはある意味稀有な現象である。
 それゆえ、めったにない、そんな大きな雷雲を忘れるなら、実は雷鳴の聞こえる範囲と雷雲の直径が同程度なのである。
 この同程度というのは、ある意味自然の妙であると、筆者は考えている。
なにが妙かといえば、雷鳴が聞こえるということは、自分の頭上の雲が電気を持っていることを意味するからである。つまるところ雷鳴が聞こえたら、その音量が大きかれ小さかれ、次の瞬間頭上にある電気が、地面に向かって進んでくる可能性が高いと判断しなくてはならないのである。
 古くから、「ピカッと光ってから雷鳴まで時間があれば安全」といったことが信じられているようだけれど、これは全くの迷信もしくは盲信に近い。それゆえ筆者は、「文学の世界では遠雷が聞こえたと美しい表現は認められるが、実際は雷鳴が聞こえたらこれすべて近雷!」と説明し、雷鳴がたとえかすかに聞こえる程度であったとしても、危険ですよと説明をさせていただいている。
(水曜掲載) 「しんぶん赤旗」日刊紙 2009年7月22日付



⑥地元気象台の天気予報を聞く
落雷を予知する


 落雷を予知する事は、雷放電を研究している筆者らにとって、ある意味究極の目的かもしれない。確かに、象庁や気象台から雷雨注意報が出され、日々の生活に役立っている。さらには各種気象関連会社が、地域ごとの詳細な雷雨予報を出すべくしのぎを削っており、それなりの成果も現れている。
 ただ例えば町の古老でも、「あの山の頂に入道雲の湧くときは、この村に夕立が来て落雷が多い!」といった経験則を持っていたりするため、この程度の予知なら昔から行われていたと、言えそうな気もする。何せ古来より「観天望気」といった、四文字熟語があるくらいなのだから・・・。
 それゆえ、筆者らの目指す究極の予知は、ピンポイントで落雷の発生する時刻と場所を、事前に明らかにすることであり、そのため独自の観測装置を設計・製作して日夜研究に励んでいる。
 とはいえ、それは言葉に出して言うほど簡単ではなく、今しばらくの猶予を頂きたいというのが実際のところである。




 そこでと言ってはなんだけれど、今日は野外活動をするにあたっての、雷の予知の極意を披露したい。極意というよりは、心がけという方が正確かもしれないが。
 まずは、地元気象台の出す天気予報を聞いていただくこと。それが第一歩である。第二歩は、その時雷雨注意報が出ていたら、その日は折に触れ空の様子を眺めていただくことである。雷雨注意報は、県単位、府単位で出されるのが普通で、仮に出ていて晴れていることも珍しくない。だからと言って油断は禁物、とはいえ空を眺めるのは、まあ1時間に1~2度程度でよいだろう。ただし遠くに入道雲が見えだしたら、空を眺める頻度を上げていただきたい。遠くの雲が近づかないようなら、大丈夫。近づいて来るようなら、それはあなたにとって警戒態勢に入ることだと理解して欲しい。
 やがて白かったはずの雲が、頭上付近に来て真っ黒に見えだしたら、第三歩目として、名誉ある撤退をお薦めしたい。万が一雷鳴が聞こえたら、それはもう紛れもなく退避命令で、一刻の猶予もない。自分は運が強い、別だと考えずに、野外活動を止めて、ひたすら退散する事である。
 避難場所は、前々回に申し上げた自動車や家の中である。なお、野外活動時にラジオを携帯しAM放送を聞いていただくのも露予知の助けになる。結構遠くの雷活動でも、ガリガリといった乾いた雑音が入る。仮に今晴天であっても、どこかで雷様が暴れていると判るので、やって来ないかと注意し続ける助けにはなる。
(水曜掲載) 「しんぶん赤旗」日刊紙 2009年7月29日付掲載


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