気候危機打開へ 北欧フィンランド先進都市を訪ねて② 温室ガス90年比で半減
「持続可能な街づくりにはコストがかかる。ただ、早く行動しなければ将来のコストはもっと高くつく」。こう話すのは、トゥルク市の気候・環境政策課のクリクラ・イリス氏(39)です。
昨年11月に市が発表した公民連携で循環型社会をつくる計画「サーキュラー(循環型)トゥルク」の責任者です。この計画は食品、交通、建設、エネルギー、水に関わる企業や研究機関と協力し、気候変動対策と同時に環境、経済、福祉向上を実現する試みです。イリス氏は「トゥルクの試みが成功すれば、世界のモデルケースとなる」と説明します。
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クリクラ・イリス氏
貸し自転車700台
現在、市は自転車の利用促進を計画しています。来年6月から、街中で貸し自転車700台を貸し出します。年間70万ユーロ(約9000万円)を投じ、図書館や主要店舗など人通りが多い場所に、貸し自転車スタンドを70~100カ所に設置します。公共交通機関の定期を所有していれば無料で利用可能です。
フィンランドでは、小学校入学前の1年間から高校までは給食が無料です。ビュッフェ形式で、好きなものを食べることができます。市は、提供する食事の野菜を多くし、肉を減らすことで肉の生産に関わるエネルギー消費を減らしています。イリス氏は「小さい取り組みの積み重ねが、大きな成果を生み出す」と話します。
1990年以降、トゥルク市は再生可能エネルギー導入をはじめとする気候変動対策にいち早く注目し、IT分野や公共交通網整備に投資してきました。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第1次報告書が発表され、国際的に地球温暖化への関心が高まり始めた時期です。イリス氏は「世界的に異常気象の影響が出てきており、地球温暖化への取り組みが必要だという事は、だれの目にも明らかだった」と話します。
70%が再生エネ
2001年のIPCC第3次報告書は、適切な緩和(排出削減)策を取れば温室効果ガスを00年より前の水準に抑制できる可能性があると指摘。これを受け、市は「持続可能な都市開発計画」を発表し、計画を更新しながら取り組みを進めてきました。
欧州連合(EU)統計局によると、市の域内総生産(GDP)は11年以降、18年まで一貫して伸び続けています。一方、温室効果ガス排出量は90年比で50%以上削減。20年時点で、市内の電力供給における再生可能エネルギーの割合は70%に達しました。
イリス氏は「温室効果ガス排出を抑制しながら経済成長も実現するという先例ができた」と話しました。(トゥルク〈フィンランド南西部〉桑野白馬 写真も)
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年1月17日付掲載
「持続可能な街づくりにはコストがかかる。ただ、早く行動しなければ将来のコストはもっと高くつく」
公共交通機関の定期を所有していれば、街中の貸自転車の利用が無料ってのは良いですね。
フィンランドでは、小学校入学前の1年間から高校までは給食が無料。ビュッフェ形式で、好きなものを食べることができます。市は、提供する食事の野菜を多くし、肉を減らすことで肉の生産に関わるエネルギー消費を減らす。
イリス氏は「温室効果ガス排出を抑制しながら経済成長も実現するという先例ができた」と。
「持続可能な街づくりにはコストがかかる。ただ、早く行動しなければ将来のコストはもっと高くつく」。こう話すのは、トゥルク市の気候・環境政策課のクリクラ・イリス氏(39)です。
昨年11月に市が発表した公民連携で循環型社会をつくる計画「サーキュラー(循環型)トゥルク」の責任者です。この計画は食品、交通、建設、エネルギー、水に関わる企業や研究機関と協力し、気候変動対策と同時に環境、経済、福祉向上を実現する試みです。イリス氏は「トゥルクの試みが成功すれば、世界のモデルケースとなる」と説明します。
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クリクラ・イリス氏
貸し自転車700台
現在、市は自転車の利用促進を計画しています。来年6月から、街中で貸し自転車700台を貸し出します。年間70万ユーロ(約9000万円)を投じ、図書館や主要店舗など人通りが多い場所に、貸し自転車スタンドを70~100カ所に設置します。公共交通機関の定期を所有していれば無料で利用可能です。
フィンランドでは、小学校入学前の1年間から高校までは給食が無料です。ビュッフェ形式で、好きなものを食べることができます。市は、提供する食事の野菜を多くし、肉を減らすことで肉の生産に関わるエネルギー消費を減らしています。イリス氏は「小さい取り組みの積み重ねが、大きな成果を生み出す」と話します。
1990年以降、トゥルク市は再生可能エネルギー導入をはじめとする気候変動対策にいち早く注目し、IT分野や公共交通網整備に投資してきました。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第1次報告書が発表され、国際的に地球温暖化への関心が高まり始めた時期です。イリス氏は「世界的に異常気象の影響が出てきており、地球温暖化への取り組みが必要だという事は、だれの目にも明らかだった」と話します。
70%が再生エネ
2001年のIPCC第3次報告書は、適切な緩和(排出削減)策を取れば温室効果ガスを00年より前の水準に抑制できる可能性があると指摘。これを受け、市は「持続可能な都市開発計画」を発表し、計画を更新しながら取り組みを進めてきました。
欧州連合(EU)統計局によると、市の域内総生産(GDP)は11年以降、18年まで一貫して伸び続けています。一方、温室効果ガス排出量は90年比で50%以上削減。20年時点で、市内の電力供給における再生可能エネルギーの割合は70%に達しました。
イリス氏は「温室効果ガス排出を抑制しながら経済成長も実現するという先例ができた」と話しました。(トゥルク〈フィンランド南西部〉桑野白馬 写真も)
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年1月17日付掲載
「持続可能な街づくりにはコストがかかる。ただ、早く行動しなければ将来のコストはもっと高くつく」
公共交通機関の定期を所有していれば、街中の貸自転車の利用が無料ってのは良いですね。
フィンランドでは、小学校入学前の1年間から高校までは給食が無料。ビュッフェ形式で、好きなものを食べることができます。市は、提供する食事の野菜を多くし、肉を減らすことで肉の生産に関わるエネルギー消費を減らす。
イリス氏は「温室効果ガス排出を抑制しながら経済成長も実現するという先例ができた」と。
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