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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2022年度予算案の焦点④ 雇用 低賃金の課題なおざり

2022-01-24 07:07:04 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2022年度予算案の焦点④ 雇用 低賃金の課題なおざり
厚生労働省は2022年度予算案で、雇用維持策を段階的に縮小しつつ労働移動へ軸足を移します。新型コロナウイルス禍で顕在化した低賃金・使い捨て労働の課題はなおざりです。

労使の負担増す
感染症の先行きが不透明な中、企業が支払う休業手当を国が補てんする雇用調整助成金(雇調金)などへ一般会計と特別会計から5843億円を計上しました。21年度当初予算比430億円の減額です。21年度補正予算で1兆854億円を確保したものの、当初予算と補正予算を合計した全体の額は削減されています。
助成率や日額上限を引き上げる雇調金の特例措置は3月末まで延長します。ただ、1人当たり1万3500円の日額上限額は、1月、2月に1万1千円へ、3月に9千円へ段階的に縮小する方針です。
雇調金の支出増に伴う雇用保険財源の悪化を理由に、政府は参院選後の10月から失業等給付の保険料率を現行の0・2%から0・6%へ引き上げます。その結果、全体の雇用保険料は、月収30万円の労働者で月900円から1500円へ、雇用する企業で労働者1人当たり月1800円から2550円へ増額されます。
コロナ禍の先行きが見通せない中での引き上げに労働者や労働組合から懸念が噴出。労使の負担増ではなく、失業手当への国庫負担率を現在の2・5%から本来の25%へ戻すよう求めています。厚労省は通常国会に雇用保険法改定案を提出し、10月から新料率を適用する狙いです。国庫負担は現行水準を維持するとしています。



中小企業支援とセットで1500円以上の最賃引上げをアピールする参加者=2021年7月19日、京都市中京区



メスを入れずに
岸田文雄政権は分配戦略の名のもと「人への投資」を強化するなどとして、3年間で4千億円規模の施策パッケージを新設します。
デジタルなど成長分野を支える人材育成の強化(504億円)や、デジタル・グリーン分野などへの労働移動の円滑化支援(150億円)、非正規雇用労働者のキャリアアップ(268億円)など、全体で1019億円を新規計上しました。21年度補正予算と合わせると、2千億円規模に上ります。
さらに、コロナ禍に起因する離職者の再就職支援(278億円)や新規学卒者等への就職支援(新規4・6億円)など、打撃の大きい層への支援に全体として382億円を盛り込みました。
コロナ禍で表面化したのが「就労後」に待ち受ける低賃金、使い捨て労働の問題です。そこヘメスを入れることなく、非正規雇用の労働移動や、高齢者、就職氷河期世代の就労促進に予算を集中配分しています。
岸田政権が掲げる賃上げ政策の効果も不透明です。最低賃金を引き上げて設備投資をした中小企業を支援する「業務改善助成金」へ21年度当初予算と同額の12億円を計上。21年度補正予算からも135億円を充てています。
しかし、赤字経営の多い中小企業にとって、税や設備投資への助成だけでは効果的な賃上げ支援になりません。中小ほど負担の大きい社会保険料の事業主負担の軽減こそ急務です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年1月22日付掲載


雇調金の支出増に伴う雇用保険財源の悪化を理由に、政府は参院選後の10月から失業等給付の保険料率を現行の0・2%から0・6%へ引き上げます。その結果、全体の雇用保険料は、月収30万円の労働者で月900円から1500円へ、雇用する企業で労働者1人当たり月1800円から2550円へ増額。
財源悪化を言うなら、国庫負担率を現在の2・5%から本来の25%へ戻すべき。



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