経済四季報2021 Ⅰ ② 法人課税 国際協調で増税の動き
【ポイント】
①米国のイエレン財務長官が法人税率を現行の21%から28%に上げる意向を示す
②米上院のサンダース予算委員会委員長ら.が「過大CEO報酬課税法案」を提出する
③英政府が利益の多い企業を対象に法人税率を19%から25%に上げる方針を示す
税制をめぐる世界の情勢が大きな変化を見せています。法人税率引き下げの国際競争に歯止めをかけ、国際協調で税率を引き上げていこうという動きが強まっています。
米国のイエレン財務長官は3月23日、米下院の公聴会で「公正な方法で税収を増やしていく必要がある」と発言。トランプ前政権が35%から21%に引き下げた連邦法人税率を28%に戻すというバイデン大統領の公約について、「彼ははっきりと提案してきた」と述べ、実現の意志を示しました。
米国ワシントンのホワイトハウスの大統領執務室でバイデン大統領と会談するイエレン財務長官(右)=1月29日(ロイター)
積極参加表明
多国籍企業の税逃れを防ぐ新たな国際課税ルールの創設や、世界共通の最低法人税率の導入をめざす、経済協力開発機構(OECD)を中心とした際交渉にも言及。
「われわれはOECDでの交渉に積極的に参加する。それにより、米国企業の競争上の地位に否定的な影響を及ぼすことなく、法人税率を上げられるようになる」と強調しました。さらに「法人課税をめぐる『底辺への国際競争』が続いてきた。われわれはそれを転換したい」とも述べました。資本呼び込みのための減税競争に世界的な協調で歯止めをかける考えを表明したものです。
イエレン財務長官はまた、OECDが提案する新たな国際課税ルールについて「骨抜き条項」の導入を主張していたトランプ前政権の方針を転換すると、2月26日に表明しました。トランプ政権が求めていたのは、新ルールの適用を受けるかどうかを企業の判断に委ねてルールを無効化する「セーフハーバー(安全港)」条項でした。米国が撤回の意向を示したことで、新ルールについて「7月のG20(20力国・地域)会合で合意できる」(イタリアのフランコ経済財務相)との期待が広がっています。
「過大CEO報酬課税法案」
「強欲」許さぬ
米国では「強欲」な企業の法人税率をさらに引き上げようという動きも表面化しています。米上院のサンダース予算委員会委員長やウォーレン議員らは3月17日、従業員平均の50倍以上の報酬を最高経営責任者(CEO)に支払う企業を対象にして、法人税率を段階的に引き上げる「過大CEO報酬課税法案」を提出しました。(表)
サンダース氏は「米国の人々が求めているのは、利益の多い巨大企業が公平に税金を支払うこと、尊厳と尊重の念をもって従業員を扱うことだ。この法律でそれが始まる」と述べています。
英国政府も約50年ぶりに法人税率を引き上げる方針を3月3日に示しました。年間の利益が25万ポンド以上の企業を対象に2023年4月以降、法人税率を現行の19%から25%に引き上げると発表しています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年4月1日付掲載
コロナ禍で税収が必要になる中、これまで引き下げ競争をしてきた法人税を元の税率に戻す動きが世界的に始まっています。
税金は負担能力に応じて徴収するって原則からして当然の流れです。
その中で、従業員平均の50倍以上の報酬を最高経営責任者(CEO)に支払う企業を対象にして、法人税率を段階的に引き上げる「過大CEO報酬課税法案」。
これって妙案ですね。
【ポイント】
①米国のイエレン財務長官が法人税率を現行の21%から28%に上げる意向を示す
②米上院のサンダース予算委員会委員長ら.が「過大CEO報酬課税法案」を提出する
③英政府が利益の多い企業を対象に法人税率を19%から25%に上げる方針を示す
税制をめぐる世界の情勢が大きな変化を見せています。法人税率引き下げの国際競争に歯止めをかけ、国際協調で税率を引き上げていこうという動きが強まっています。
米国のイエレン財務長官は3月23日、米下院の公聴会で「公正な方法で税収を増やしていく必要がある」と発言。トランプ前政権が35%から21%に引き下げた連邦法人税率を28%に戻すというバイデン大統領の公約について、「彼ははっきりと提案してきた」と述べ、実現の意志を示しました。
米国ワシントンのホワイトハウスの大統領執務室でバイデン大統領と会談するイエレン財務長官(右)=1月29日(ロイター)
積極参加表明
多国籍企業の税逃れを防ぐ新たな国際課税ルールの創設や、世界共通の最低法人税率の導入をめざす、経済協力開発機構(OECD)を中心とした際交渉にも言及。
「われわれはOECDでの交渉に積極的に参加する。それにより、米国企業の競争上の地位に否定的な影響を及ぼすことなく、法人税率を上げられるようになる」と強調しました。さらに「法人課税をめぐる『底辺への国際競争』が続いてきた。われわれはそれを転換したい」とも述べました。資本呼び込みのための減税競争に世界的な協調で歯止めをかける考えを表明したものです。
イエレン財務長官はまた、OECDが提案する新たな国際課税ルールについて「骨抜き条項」の導入を主張していたトランプ前政権の方針を転換すると、2月26日に表明しました。トランプ政権が求めていたのは、新ルールの適用を受けるかどうかを企業の判断に委ねてルールを無効化する「セーフハーバー(安全港)」条項でした。米国が撤回の意向を示したことで、新ルールについて「7月のG20(20力国・地域)会合で合意できる」(イタリアのフランコ経済財務相)との期待が広がっています。
「過大CEO報酬課税法案」
従業員平均に対するCEO報酬の倍率 | 上乗せされる法人税率 |
50~100倍 | 0.5ポイント |
100~200倍 | 1ポイント |
200~300倍 | 2ポイント |
300~400倍 | 3ポイント |
400~500倍 | 4ポイント |
500倍以上 | 5ポイント |
「強欲」許さぬ
米国では「強欲」な企業の法人税率をさらに引き上げようという動きも表面化しています。米上院のサンダース予算委員会委員長やウォーレン議員らは3月17日、従業員平均の50倍以上の報酬を最高経営責任者(CEO)に支払う企業を対象にして、法人税率を段階的に引き上げる「過大CEO報酬課税法案」を提出しました。(表)
サンダース氏は「米国の人々が求めているのは、利益の多い巨大企業が公平に税金を支払うこと、尊厳と尊重の念をもって従業員を扱うことだ。この法律でそれが始まる」と述べています。
英国政府も約50年ぶりに法人税率を引き上げる方針を3月3日に示しました。年間の利益が25万ポンド以上の企業を対象に2023年4月以降、法人税率を現行の19%から25%に引き上げると発表しています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年4月1日付掲載
コロナ禍で税収が必要になる中、これまで引き下げ競争をしてきた法人税を元の税率に戻す動きが世界的に始まっています。
税金は負担能力に応じて徴収するって原則からして当然の流れです。
その中で、従業員平均の50倍以上の報酬を最高経営責任者(CEO)に支払う企業を対象にして、法人税率を段階的に引き上げる「過大CEO報酬課税法案」。
これって妙案ですね。
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