経済四季報2021 Ⅰ ① 世界経済 回復の足取りに差異
【ポイント】
①米国はコロナ対策で巨額財政出動。通商政策で同盟国と連携し「対中包囲網」
②欧州は7年ぶりマイナス成長。変異株感染拡大がなお景気の下振れリスク要因
③中国は感染抑制に成功し、主要国で唯一プラス成長。21年は6%成長を目指す
新型コロナウイルス禍からの回復過程は各国一様でなく、米国は巨額の財政出動を実施し、欧州も金融緩和策を強化します。他方、早期の感染抑制に成功した中国は、6%の経済成長を目指します。
判断引き上げ
米連邦準備制度理事会(FRB)が3月3日公表した地区連銀景況報告は、1月~2月中旬の景気が「大半で緩やかに拡大した」とし、前回報告から判断を引き上げました。
バイデン米大統領は3月11日、コロナ禍に対処する1兆9000億ドル(約200兆円)規模の追加経済対策法案に署名し、同法が成立しました。追加対策の柱は1人最大1400ドル(約15万円)の現金給付。コロナワクチンの普及支援も盛り込みました。
今後、巨額財政出動の第2弾が注目されます。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は3月22日、インフラ整備投資を軸としたバイデン政権の成長戦略に基づく財政出動規模が最大3兆ドル(約326兆円)に上る可能性があると報じました。
米通商代表部(USTR)は3月1日、2021年にバイデン政権が進める通商政策の報告書を議会に提出しました。中国の不公正慣行に対し、同盟国と連携する「包括的な戦略」を目指すと明記。キャサリン・タイ米通商代表は3月22日、欧州連合(EU)や英国、カナダの貿易担当閣僚と個別にオンラインで会談。中国の不公正な貿易慣行の是正に向けて連携を強化する方針を確認しました。主要7力国(G7)を軸とした「対中包囲網」の構築を推進します。
経済対策法案に署名するバイデン米大統領=3月11日、ワシントン(ロイター)
下げ幅最大に
EU統計局が2月2日発表した20年のユーロ圏実質GDP(域内総生産)速報値は、季節調整済みで前年比6・8%減でした。新型コロナウイルス流行に対し各国が導入したロックダウン(都市封鎖)などの制限措置が響き、7年ぶりのマイナス成長。下げ幅は、欧州では第2次大戦後で最大規模となりました。
欧州中央銀行(ECB)は3月11日、新型コロナウイルス対策として導入した大規模金融緩和策で、国債などの資産購入ペースを4~6月期に大幅に加速する方針を決定しました。上昇基調にある域内の長期金利を抑える狙いです。政策金利は据え置きました。
EUでは、ワクチン接種が昨年末から始まったものの、変異ウイルスの感染拡大が懸念されており、景気の下振れリスク要因となっています。
世界経済の主な出来事(1~3月)
主要国で唯一
中国国家統計局が1月18日発表した20年の実質GDP(国内総生産)は、前年比2・3%増加しました。新型コロナウイルスの感染拡大で、20年1~3月期は前年同期比6・8%減に失速。しかし、早期の感染抑制に成功し、通年では主要国で唯一のプラス成長を維持しました。
中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が3月5~11日開かれ、第14次5カ年計画(21~25年)や35年までの長期目標を採択しました。21年の経済成長目標を6%以上と設定。5力年計画は「経済の持続的で健全な発展を保つ」としましたが、期間を通じた目標の設定は見送りました。35年までの目標は、1人当たりGDPを「中等先進国」の水準に引き上げるとされました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年3月31日付掲載
コロナ禍からの経済回復は、都市封鎖(ロックダウン)の状況や経済力によります。
アメリカの場合も大胆な財政出動で、現金支給やワクチン普及支援など。
【ポイント】
①米国はコロナ対策で巨額財政出動。通商政策で同盟国と連携し「対中包囲網」
②欧州は7年ぶりマイナス成長。変異株感染拡大がなお景気の下振れリスク要因
③中国は感染抑制に成功し、主要国で唯一プラス成長。21年は6%成長を目指す
新型コロナウイルス禍からの回復過程は各国一様でなく、米国は巨額の財政出動を実施し、欧州も金融緩和策を強化します。他方、早期の感染抑制に成功した中国は、6%の経済成長を目指します。
判断引き上げ
米連邦準備制度理事会(FRB)が3月3日公表した地区連銀景況報告は、1月~2月中旬の景気が「大半で緩やかに拡大した」とし、前回報告から判断を引き上げました。
バイデン米大統領は3月11日、コロナ禍に対処する1兆9000億ドル(約200兆円)規模の追加経済対策法案に署名し、同法が成立しました。追加対策の柱は1人最大1400ドル(約15万円)の現金給付。コロナワクチンの普及支援も盛り込みました。
今後、巨額財政出動の第2弾が注目されます。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は3月22日、インフラ整備投資を軸としたバイデン政権の成長戦略に基づく財政出動規模が最大3兆ドル(約326兆円)に上る可能性があると報じました。
米通商代表部(USTR)は3月1日、2021年にバイデン政権が進める通商政策の報告書を議会に提出しました。中国の不公正慣行に対し、同盟国と連携する「包括的な戦略」を目指すと明記。キャサリン・タイ米通商代表は3月22日、欧州連合(EU)や英国、カナダの貿易担当閣僚と個別にオンラインで会談。中国の不公正な貿易慣行の是正に向けて連携を強化する方針を確認しました。主要7力国(G7)を軸とした「対中包囲網」の構築を推進します。
経済対策法案に署名するバイデン米大統領=3月11日、ワシントン(ロイター)
下げ幅最大に
EU統計局が2月2日発表した20年のユーロ圏実質GDP(域内総生産)速報値は、季節調整済みで前年比6・8%減でした。新型コロナウイルス流行に対し各国が導入したロックダウン(都市封鎖)などの制限措置が響き、7年ぶりのマイナス成長。下げ幅は、欧州では第2次大戦後で最大規模となりました。
欧州中央銀行(ECB)は3月11日、新型コロナウイルス対策として導入した大規模金融緩和策で、国債などの資産購入ペースを4~6月期に大幅に加速する方針を決定しました。上昇基調にある域内の長期金利を抑える狙いです。政策金利は据え置きました。
EUでは、ワクチン接種が昨年末から始まったものの、変異ウイルスの感染拡大が懸念されており、景気の下振れリスク要因となっています。
世界経済の主な出来事(1~3月)
1/18 | 20年中国GDP発表。実質で前年比2.3%増 |
1/28 | 20年米GDP発表。実質で前年比3.5%減 |
2/2 | 20年ユー口圏GDP発表。実質で前年比6.8%減 |
3/1 | 米USTRが21年の通商政策報告書を議会に提出 |
3/5~11 | 中国全国人民代表大会(全人代)開催 |
3/11 | 欧州中銀が金融緩和策の資産購入のペースを加速すると決定 |
3/11 | 米大統領が1.9兆ドル規模の追加経済対策法案に署名 |
3/15 | IMFが報告書。コロナ禍で大企業の市場支配が強まると警告 |
3/17 | 米FRBがゼロ金利を23年末まで続くとの見通しを据え置き |
3/22 | 米国のコロナ対策財政出動第2弾は最大3兆ドル規模と米紙報道 |
主要国で唯一
中国国家統計局が1月18日発表した20年の実質GDP(国内総生産)は、前年比2・3%増加しました。新型コロナウイルスの感染拡大で、20年1~3月期は前年同期比6・8%減に失速。しかし、早期の感染抑制に成功し、通年では主要国で唯一のプラス成長を維持しました。
中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が3月5~11日開かれ、第14次5カ年計画(21~25年)や35年までの長期目標を採択しました。21年の経済成長目標を6%以上と設定。5力年計画は「経済の持続的で健全な発展を保つ」としましたが、期間を通じた目標の設定は見送りました。35年までの目標は、1人当たりGDPを「中等先進国」の水準に引き上げるとされました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年3月31日付掲載
コロナ禍からの経済回復は、都市封鎖(ロックダウン)の状況や経済力によります。
アメリカの場合も大胆な財政出動で、現金支給やワクチン普及支援など。
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