デジタル化 菅「改革」の危険② お粗末なコロナアプリ
厚生労働省は2020年6月から新型コロナウイルス対策として接触確認アプリ「COCOA」を提供しています。スマートフォンの機能を利用して、1メートル以内での15分以上の対人接触を記録。PCR検査で陽性となった人がその情報をアプリに登録すると、発症日や検査日の2日前までの期間で接触があった人に通知される仕組みです。
しかし、ダウンロード数は2444万件(1月29日現在)にとどまり、効果を発揮するとされる国民の6割という目安には到底及びません。
総務省が作成したマイナポイントの新聞広告
相次ぐ不具合
COCOAが国民に受けいれられない理由のひとつが、相次ぐ不具合です。厚労省は2月3日、感染者との接触があっても通知されない状態が昨年9月から4カ月にわたって続いていたと発表しました。アプリが突然、初期化して、利用日数が0日に戻ってしまう現象も一部で起きています。
厚労省は「早期に改善を図る」としていますが、第3波で感染が大幅に増加していた中でアプリが機能していなかったことにあまりにも無反省です。国会で追及された菅首相も「お粗末なことだった」と認めました。これが菅政権の「デジタル改革」の実態です。
マイナンバーカードの普及をはかるため、菅政権が注力しているのが5000円分のポイントがつくマイナポイントです。タレントにマスコットの着ぐるみを着せたCMを流し、大キャンペーンを展開。マイナポイントの利用者枠を1000万人増やして5000万人に拡大すると宣伝し、菅首相自ら半年間の期間延長(9月末まで)を発表しました。しかし1月21日時点の申込者は1190万人にとどまり、すっかり世間から忘れ去られてしまいました。
昨年、集客サイトの「クレジットカード比較ガイド」が実施した「マイナポイント申し込み状況に関するアンケート」によると、「マイナポイントを信用していないので今後も申し込まない」と回答した人が25・5%と最多でした。「政府なんて一番信用できない。文書破棄、捏造(ねつぞう)、隠蔽(いんぺい)、なんでもやる」など、マイナンバー制度を推しすすめる政府への不安の声が多く見られました。
全国のマイナンバーカードの取得枚数は3153万枚で24・8%の普及にとどまっています(1月21日現在)。マイナンバーカードの取得が遅々として進まないのも、政府が個人の情報を掌握・管理することについて、国民が強い不信を抱いているからです。
自治体は混乱
マイナンバーカードが市民や地方自治体の足をひっぱる事態も招いています。
ひとり10万円の特別定額給付金の支給にあたって、政府はマイナンバー制度の利用を自治体に押しつけ、マイナンバーカードを利用したオンライン申請を推奨しました。自治体窓口は大混乱に陥り、システムが連日ダウンするなどトラブルが多発。かえって支給が大幅に遅れた例が各地で生まれ、オンライン申請を途中でやめる自治体も続出しました。
1月19日には平井卓也デジタル改革担当相がワクチン接種でのマイナンバーの活用を突然ぶち上げました。これを受けて、ワクチン担当になったばかりの河野太郎規制改革担当相も、マイナンバーを用いて個人の接種記録をリアルタイムで管理するシステムを開発する考えをしめしました。両大臣の発言は地方自治体や関係者に大きな混乱を巻き起こしています。ワクチン接種で、特別定額給付金と同じ轍(てつ)を踏むことは許されません。
厚労省はワクチン接種の実施に関する「手引き」(1月15日発表)の中で「各自治体においても個人情報保護条例等に基づき、適切に個人情報を管理する必要がある」と指摘し、個人情報の「厳重な管理や目的外使用の禁止」を強調しました。個人情報追跡への懸念があるマイナンバーと接種記録をひもづけることは、厚労省のこの規定に反します。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年2月19日付掲載
政府が、マイナンバーカードやマイナポイントの普及を図っても、国民はそれほどメリットを感じない。
1年に1回の確定申告の際に、マイナンバーカードがあればオンラインでできるってことぐらいかな。
厚生労働省は2020年6月から新型コロナウイルス対策として接触確認アプリ「COCOA」を提供しています。スマートフォンの機能を利用して、1メートル以内での15分以上の対人接触を記録。PCR検査で陽性となった人がその情報をアプリに登録すると、発症日や検査日の2日前までの期間で接触があった人に通知される仕組みです。
しかし、ダウンロード数は2444万件(1月29日現在)にとどまり、効果を発揮するとされる国民の6割という目安には到底及びません。
総務省が作成したマイナポイントの新聞広告
相次ぐ不具合
COCOAが国民に受けいれられない理由のひとつが、相次ぐ不具合です。厚労省は2月3日、感染者との接触があっても通知されない状態が昨年9月から4カ月にわたって続いていたと発表しました。アプリが突然、初期化して、利用日数が0日に戻ってしまう現象も一部で起きています。
厚労省は「早期に改善を図る」としていますが、第3波で感染が大幅に増加していた中でアプリが機能していなかったことにあまりにも無反省です。国会で追及された菅首相も「お粗末なことだった」と認めました。これが菅政権の「デジタル改革」の実態です。
マイナンバーカードの普及をはかるため、菅政権が注力しているのが5000円分のポイントがつくマイナポイントです。タレントにマスコットの着ぐるみを着せたCMを流し、大キャンペーンを展開。マイナポイントの利用者枠を1000万人増やして5000万人に拡大すると宣伝し、菅首相自ら半年間の期間延長(9月末まで)を発表しました。しかし1月21日時点の申込者は1190万人にとどまり、すっかり世間から忘れ去られてしまいました。
昨年、集客サイトの「クレジットカード比較ガイド」が実施した「マイナポイント申し込み状況に関するアンケート」によると、「マイナポイントを信用していないので今後も申し込まない」と回答した人が25・5%と最多でした。「政府なんて一番信用できない。文書破棄、捏造(ねつぞう)、隠蔽(いんぺい)、なんでもやる」など、マイナンバー制度を推しすすめる政府への不安の声が多く見られました。
全国のマイナンバーカードの取得枚数は3153万枚で24・8%の普及にとどまっています(1月21日現在)。マイナンバーカードの取得が遅々として進まないのも、政府が個人の情報を掌握・管理することについて、国民が強い不信を抱いているからです。
自治体は混乱
マイナンバーカードが市民や地方自治体の足をひっぱる事態も招いています。
ひとり10万円の特別定額給付金の支給にあたって、政府はマイナンバー制度の利用を自治体に押しつけ、マイナンバーカードを利用したオンライン申請を推奨しました。自治体窓口は大混乱に陥り、システムが連日ダウンするなどトラブルが多発。かえって支給が大幅に遅れた例が各地で生まれ、オンライン申請を途中でやめる自治体も続出しました。
1月19日には平井卓也デジタル改革担当相がワクチン接種でのマイナンバーの活用を突然ぶち上げました。これを受けて、ワクチン担当になったばかりの河野太郎規制改革担当相も、マイナンバーを用いて個人の接種記録をリアルタイムで管理するシステムを開発する考えをしめしました。両大臣の発言は地方自治体や関係者に大きな混乱を巻き起こしています。ワクチン接種で、特別定額給付金と同じ轍(てつ)を踏むことは許されません。
厚労省はワクチン接種の実施に関する「手引き」(1月15日発表)の中で「各自治体においても個人情報保護条例等に基づき、適切に個人情報を管理する必要がある」と指摘し、個人情報の「厳重な管理や目的外使用の禁止」を強調しました。個人情報追跡への懸念があるマイナンバーと接種記録をひもづけることは、厚労省のこの規定に反します。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年2月19日付掲載
政府が、マイナンバーカードやマイナポイントの普及を図っても、国民はそれほどメリットを感じない。
1年に1回の確定申告の際に、マイナンバーカードがあればオンラインでできるってことぐらいかな。
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