けいざい四季報2023Ⅱ ② 国内経済 物価高騰 生活を破壊
ポイント
①カルテルや顧客情報不正閲覧など大手に問題山積のまま政府は電力値上げ認可
②22年度の貿易収支は過去最大の赤字。空洞化など日本経済のゆがみが浮き彫り
③民間技術の軍事化と労働の自己責任強化を盛り込んだ「骨太方針」を閣議決定
物価高騰が国民生活を苦しめるなか、政府は反国民的な政策を打ち出しています。
値上げを認可
5月の消費者物価指数は3・2%上昇し、21カ月連続で前年同月を上回りました。こうしたなか、岸田文雄政権は電力大手7社が提出していた値上げ申請を認可しました。
値上げの理由は燃料価格の上昇です。しかし燃料価格上昇が電気料金に直結するのは政府が化石燃料に固執しているからです。動いていない原発の維持費も電気料金を高止まりさせています。
関西、中部、中国、九州の4電力がカルテルを結び、電気料金を高水準で維持させていたとして公正取引委員会から処分を受けました。大手電力が新電力の顧客情報を不正閲覧していたことも明るみに出ました。値上げの正当性が問われます。
店頭で品定めする買い物客=東京都内
赤字過去最大
2022年度の貿易収支は21・7兆円の赤字を記録し過去最大でした。輸入額が過去最大だったからです。エネルギーや食料品などが輸入額の増加をもたらしました。ロシアのウクライナ侵略などでエネルギー価格や穀物価格が上昇したためです。円安の進展も輸入価格を引き上げました。
一方で輸出額も過去最大でした。輸入額が輸出額を上回ったので収支は赤字となりました。輸出額が増える一方で輸出量は増えていません。主力の自動車は輸出額は07年度に続く過去2番目ですが輸出量は07年度の6割程度。円安のためドル建てで同じ価格で販売しても、円換算では金額が大きくなるからです。日本からの輸出量が増えないのは生産拠点を海外移転したためです。国内では産業空洞化で雇用と所得が失われました。
国内経済の主な出来事(4月~6月)
不十分で危険
岸田政権が骨太の方針、こども未来戦略、改定版の新しい資本主義実行計画(成長戦略)を閣議決定しました。骨太の方針は「時代の転換点」との認識で「日米同盟の抑止力と対処力を強化する」としました。その上で、軍事力を「抜本的に強化」するとして、民間企業の技術などを軍事に取り込む危険な方針です。
こども未来戦略は「次元の異なる少子化対策」を押し出しますが、具体策は児童手当の拡充が盛り込まれた程度。
大学の授業料引き下げや高校教育無償化の所得制限撤廃には手を付けず、きわめて不十分です。
成長戦略は「構造的賃上げ」実現のために、リスキリング(職業能力の再学習)、職務給導入、労働移動円滑化という「労働市場改革」に取り組むとしました。労働者保護法制を形骸化し、企業に雇用や労働時間の管理責任を間わない、自己責任による働き方を広げる危険な方向です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年6月29日付掲載
電気料金の値上げの理由は燃料価格の上昇。しかし燃料価格上昇が電気料金に直結するのは政府が化石燃料に固執しているから。
日本からの輸出量が増えないのは生産拠点を海外移転したため。国内では産業空洞化で雇用と所得が失われた。
こども未来戦略は「次元の異なる少子化対策」を押し出しますが、具体策は児童手当の拡充が盛り込まれた程度。
「軍事栄えて民滅ぶ」状態です。
ポイント
①カルテルや顧客情報不正閲覧など大手に問題山積のまま政府は電力値上げ認可
②22年度の貿易収支は過去最大の赤字。空洞化など日本経済のゆがみが浮き彫り
③民間技術の軍事化と労働の自己責任強化を盛り込んだ「骨太方針」を閣議決定
物価高騰が国民生活を苦しめるなか、政府は反国民的な政策を打ち出しています。
値上げを認可
5月の消費者物価指数は3・2%上昇し、21カ月連続で前年同月を上回りました。こうしたなか、岸田文雄政権は電力大手7社が提出していた値上げ申請を認可しました。
値上げの理由は燃料価格の上昇です。しかし燃料価格上昇が電気料金に直結するのは政府が化石燃料に固執しているからです。動いていない原発の維持費も電気料金を高止まりさせています。
関西、中部、中国、九州の4電力がカルテルを結び、電気料金を高水準で維持させていたとして公正取引委員会から処分を受けました。大手電力が新電力の顧客情報を不正閲覧していたことも明るみに出ました。値上げの正当性が問われます。
店頭で品定めする買い物客=東京都内
赤字過去最大
2022年度の貿易収支は21・7兆円の赤字を記録し過去最大でした。輸入額が過去最大だったからです。エネルギーや食料品などが輸入額の増加をもたらしました。ロシアのウクライナ侵略などでエネルギー価格や穀物価格が上昇したためです。円安の進展も輸入価格を引き上げました。
一方で輸出額も過去最大でした。輸入額が輸出額を上回ったので収支は赤字となりました。輸出額が増える一方で輸出量は増えていません。主力の自動車は輸出額は07年度に続く過去2番目ですが輸出量は07年度の6割程度。円安のためドル建てで同じ価格で販売しても、円換算では金額が大きくなるからです。日本からの輸出量が増えないのは生産拠点を海外移転したためです。国内では産業空洞化で雇用と所得が失われました。
国内経済の主な出来事(4月~6月)
4/3 | 日銀が22年度国債購入を過去最の135兆円と発表 |
4/12 | 日銀「生活意識アンケート」で、94.5%が物価上昇実感 |
4/20 | 22年度の貿易赤字が過去最大に |
4/25 | 経産省がラピダスへの追加補助金を発表 |
4/26 | 経団連が少子化対策の財源は消費税を選択肢にと提言 |
5/19 | G7広島サミットが開幕 |
5/19 | 経産省が大手7社の電力値上げ認可 |
5/31 | 帝国データバンクが6月食品値げ3600品目と発表 |
6/1 | 企業内部留保513兆円、過去最大 |
6/6 | 実質賃金13カ月連続減 |
6/13 | こども未来戦略を閣議決定 |
6/16 | 骨太の方針、成長戦略を閣議決定 |
6/16 | 経産省がトヨタの蓄電池開発なに1276億円の補助決定 |
6/23 | 消費者物価21カ月連続増 |
不十分で危険
岸田政権が骨太の方針、こども未来戦略、改定版の新しい資本主義実行計画(成長戦略)を閣議決定しました。骨太の方針は「時代の転換点」との認識で「日米同盟の抑止力と対処力を強化する」としました。その上で、軍事力を「抜本的に強化」するとして、民間企業の技術などを軍事に取り込む危険な方針です。
こども未来戦略は「次元の異なる少子化対策」を押し出しますが、具体策は児童手当の拡充が盛り込まれた程度。
大学の授業料引き下げや高校教育無償化の所得制限撤廃には手を付けず、きわめて不十分です。
成長戦略は「構造的賃上げ」実現のために、リスキリング(職業能力の再学習)、職務給導入、労働移動円滑化という「労働市場改革」に取り組むとしました。労働者保護法制を形骸化し、企業に雇用や労働時間の管理責任を間わない、自己責任による働き方を広げる危険な方向です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年6月29日付掲載
電気料金の値上げの理由は燃料価格の上昇。しかし燃料価格上昇が電気料金に直結するのは政府が化石燃料に固執しているから。
日本からの輸出量が増えないのは生産拠点を海外移転したため。国内では産業空洞化で雇用と所得が失われた。
こども未来戦略は「次元の異なる少子化対策」を押し出しますが、具体策は児童手当の拡充が盛り込まれた程度。
「軍事栄えて民滅ぶ」状態です。
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