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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

半導体バブル 熊本に見る③ 地域環境の変化に拍車

2022-10-18 07:10:30 | 経済・産業・中小企業対策など
半導体バブル 熊本に見る③ 地域環境の変化に拍車

半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の熊本への進出は、子育ての環境や地域の景観にも影響を与えています。進出先の菊陽町の住民らに聞きました。

子の安全不安
TSMC新工場の建設現場につながる県道は、毎朝・毎夕、大幅な渋滞に見舞われます。「今までも、付近の工業団地に通勤する車が多かった。TSMCの新工場が完成したら(さらに混雑が増すのではないか」。菊陽町内の小学校に子どもが通うAさん(49)はこう述べて顔を曇らせます。渋滞を避けようと、多くの車が住宅街の細い道を抜け道に使っています。Aさんは「子どもの通学や帰宅が不安」と言います。菊陽町に隣接する大津町と合志市でも同様の問題が発生しています。



TSMC新工場の建築現場沿いで渋滞する県道=10月5日、熊本県菊陽町

菊陽町には土地全体の8割以上での開発が制限される「市街化調整区域」があり、その大半が農地です。この農地に関連企業が工場や事務所を建てたいという相談が町に相次いでいるといいます。
同町はこれまでも、「光の森」ニュータウンなどの土地区画整理事業によって多くの農地が住宅地や商業集積地「ゆめタウン」となり、住民からは「数年で景色が一変した」との声が出ていました。
TSMCの進出で、こうした再開発と人口増加に拍車がかかる可能性があります。
子育て環境も変化しています。町北部の菊陽北小学校では校舎を増改築するなどしました。子どもが同校の卒業生というBさん(40代)は、「数年前は1クラスだったのに、今は4クラスに4倍化した」として、「先生が一人ひとりの子どもに手厚く関わってくれていたのが魅力だった。先生の多忙さも想像できる」と言います。
Bさんは「豊かな自然の中で子育てをしたくて」と菊陽町に移住。TSMCの進出による人口増やさらなる開発の影響に不安が募ります。「欲しいのは子育てがしやすい環境です。行政には子どもの立場に立って街づくりを考えてほしい」

正規雇用こそ
県担当者は、TSMCや関連企業の雇用増で「県外に転出した若者にも戻ってほしい」と期待を述べます。TSMCとソニー、デンソーの合弁会社JASMは2024年の出荷開始に向け「1700人の雇用」を掲げます。しかしその内訳は台湾からの技術者やソニーからの出向者などが多くを占め、地元採用は新卒・中途を合わせ700人。25年度以降は未定だといいます。
日本共産党の小林久美子町議は、TSMC新工場に隣接するソニーや東京エレクトロンでの雇用は多くが派遣など不安定雇用だとして、「安定した正規雇用こそ必要」だと指摘します。
前出のAさんは、少人数学級の拡充を求めて議員要請に取り組む中で小林町議と知り合いました。小林町議の議会での追及を知り「声を届けてくれてうれしかった。信頼しています」と話します。「急激な変化にみんな我慢している部分もある。『誰に声を届けたらいいの』という友人もいる。こんなときこそ、住民の声に応えて政治や行政に一緒に働きかけてくれる議員が必要だと思う」
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年10月15日付掲載


TSMC新工場の建設現場につながる県道は、毎朝・毎夕、大幅な渋滞に見舞われます。「今までも、付近の工業団地に通勤する車が多かった。TSMCの新工場が完成したら(さらに混雑が増すのではないか」。菊陽町内の小学校に子どもが通うAさん(49)はこう述べて顔を曇らせます。
Bさんは、「豊かな自然の中で子育てをしたくて」と菊陽町に移住。TSMCの進出による人口増やさらなる開発の影響に不安が募ります。「欲しいのは子育てがしやすい環境です。行政には子どもの立場に立って街づくりを考えてほしい」
日本共産党の小林久美子町議は、TSMC新工場に隣接するソニーや東京エレクトロンでの雇用は多くが派遣など不安定雇用だとして、「安定した正規雇用こそ必要」だと指摘。
「市街化調整区域」の農地への開発許可は慎重に。その雇用の内訳も問題です。

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