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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

デジタル化の行方 第3部 溶ける公教育① “もうプールはつくらない”

2022-10-19 07:11:18 | 予算・税金・消費税・社会保障など
デジタル化の行方 第3部 溶ける公教育① “もうプールはつくらない”
東京都の葛飾区立西小菅小学校に8月、新しい屋外プールが完成しました。利用を待つばかりのはずのこのプールに、子どもの声が響く見通しはありません。
区が昨年、全小中学校の水泳授業を徐々に企業や区立の屋内プールに移す方針を決めたからです。
区は今後、学校のプールの新設や大規模改修はせず、授業は企業のインストラクターが担うので、プール管理や授業などの教師の負担が軽くなるといいます。今年度は校舎が改築中だった西小菅小を含む12の小中学校が民間8施設、区立2施設を使用。来年度は20校程度に拡大する計画です。



漏水点検を終えた西小菅小の新築プールの利用は宙に浮いたまま=東京都葛飾区(中村伸吾区議撮影)

店舗閉鎖
民間プールを使った授業は企業が撤退すれば教育が止まる危険と隣り合わせです。業界大手のコナミは新型コロナによる減収で2021年2月~22年3月に同社のスポーツクラブの2割にあたる26店舗を閉鎖しています。
区の教育委員会に9月半ばに電話すると、担当者は「撤退する場合は早めに言ってもらいたいと伝えている」と答えました。ところがその10日後、西小菅小など2校が利用していた民間プールが年末での閉店を発表。懸念が現実になりました。
区教委は隣の足立区の民間プールを使う方向で調整しているとし、「西小菅小の子どもは民間プールを喜んでいた。もったいないから学校のプールに戻れとは言えない」といいます。
プールが消えた小学校では、夏休みに学校が実施していた水泳教室もなくなりました。異常な長時間労働に追われる教師からは歓迎の声も聞こえます。
一方、小学校に子どもが通う30代の母親は、教員の負担軽減は必要としつつ「水泳は命を守る大事な授業。学校で泳げるようにしてほしい」と願います。
「コロナの影響でこの2年間水泳授業がなかったので今年は期待していたけど、学校にプールがないせいか授業回数が少なく、長男も次男も泳げないまま。夏休みの水泳教室は少人数で教師が丁寧に教えてくれ、私はそこで泳げるようになった。民間の水泳教室はお金が高く負担できない家庭もある」
川や海に触れる機会が多い日本は、溺れて亡くなる人の割合が世界的に高い国の一つです。過去の多くの水難事故の教訓から、水泳は小中学校の学習指導要領で必修になっています。

進む委託
水泳授業の民間委託は全国で進みます。同時に、公教育の民間委託は水泳にとどまりません。インターネットを社会課題の解決策と位置づける「ソサイエティ5・0」の実現に向け、政府が6月にまとめた「教育・人材育成に関する政策パッケージ」は、授業をはじめ学校機能の相当部分を企業などが担う未来像を示します。
第3部では、政府が描く教育の未来像の現実を追います。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年10月16日付掲載


民間プールを使った授業は企業が撤退すれば教育が止まる危険と隣り合わせ。業界大手のコナミは新型コロナによる減収で2021年2月~22年3月に同社のスポーツクラブの2割にあたる26店舗を閉鎖。
プールが消えた小学校では、夏休みに学校が実施していた水泳教室もなくなりました。異常な長時間労働に追われる教師からは歓迎の声も聞こえます。
一方、小学校に子どもが通う30代の母親は、教員の負担軽減は必要としつつ「水泳は命を守る大事な授業。学校で泳げるようにしてほしい」と願います。
効率化で、学校のプールを無くし、民間委託すれば良いってもんじゃない。

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