2024年度予算案の焦点② 文教 教員わずか65人増
2024年度の文部科学省の予算案(一般会計)は5兆3384億円、そのうち文教関係予算案は4兆563億円です。ともに23年度当初予算比で約400億円の増額です。
不登校対応削る
公立小中学校の教職員の給与に充てられる義務教育費国庫負担金は1兆5627億円です。23年度と比べ411億円増えているものの、ほぼ全額が物価上昇を受け人事院勧告がプラス改定となったことに伴うもので、教職員の異常な長時間労働や教員不足が社会問題となるなかで教職員定数はほとんど増えていません。
小学校高学年での教科担任制の推進や小学校5年生の35人学級化などに5660人の定数増を計上。このうち不登校対応や教員の長時間労働是正に概算要求で400人増を求めていましたが、予算案では150人増に圧縮されました。
ほかに公務員の定年引き上げに伴う特例定員による増員が4331人あり、定数改善は合計9991人になります。
一方、子どもの減少に伴う「自然減」や学校統廃合による「合理化減」などで合計9926人の定数減を見込んでいます。定数増と定数減の差し引きでは65人増となりますが、定年延長という特殊要因を除くと4266人の大幅減です。
中学、高校で部活動が教員の長時間労働の原因の一つになるなか、部活動の「地域クラブ活動への移行に向けた実証事業」は1億円増の12億円、「中学校における部活動指導員の配置支援」も4億円増の18億円にとどまります。
◆2024年度の教職員定数の増減
文科省への聞き取りと文科・財務両省の予算資料から作成
国立大学の基幹的経費である国立大学法人運営費交付金は23年度と同額の1兆784億円です。23年の消費者物価が22年比プラス3・1%と41年ぶりの伸びとなるなかでの予算案据え置きは、実質的には大幅な減額です。04年の法人化時と比べると1631億円減です。
同交付金は本来、大学の規模や学部の種類に応じて機械的に配分される資金です。しかし、自公政権は交付金の一部を、企業からの外部資金獲得実績などに応じて傾斜配分する予算枠や、文科省が位置付ける政策課題を実現する予算枠とし、大学間の競争をあおっています。国立大学の安定的な運営を困難にし、研究者の非正規化を招くなど、日本の研究力低下の一因となっています。
私立大学等経常費補助も2978億円(2億円増)とほぼ横ばいです。物価高騰を受けた学費値上げの動きが加速する恐れもあります。
私大の経常経費に占める私学助成の割合を50%にするとの国会決議に反し、助成割合は近年1割程度に落ち込んでいます。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年1月31日付掲載
不登校対応や教員の長時間労働是正に概算要求で400人増を求めていましたが、予算案では150人増に圧縮。
定数増と定数減の差し引きでは65人増となりますが、定年延長という特殊要因を除くと4266人の大幅減。
私立大学等経常費補助も2978億円(2億円増)とほぼ横ばい。物価高騰を受けた学費値上げの動きが加速する恐れも。
2024年度の文部科学省の予算案(一般会計)は5兆3384億円、そのうち文教関係予算案は4兆563億円です。ともに23年度当初予算比で約400億円の増額です。
不登校対応削る
公立小中学校の教職員の給与に充てられる義務教育費国庫負担金は1兆5627億円です。23年度と比べ411億円増えているものの、ほぼ全額が物価上昇を受け人事院勧告がプラス改定となったことに伴うもので、教職員の異常な長時間労働や教員不足が社会問題となるなかで教職員定数はほとんど増えていません。
小学校高学年での教科担任制の推進や小学校5年生の35人学級化などに5660人の定数増を計上。このうち不登校対応や教員の長時間労働是正に概算要求で400人増を求めていましたが、予算案では150人増に圧縮されました。
ほかに公務員の定年引き上げに伴う特例定員による増員が4331人あり、定数改善は合計9991人になります。
一方、子どもの減少に伴う「自然減」や学校統廃合による「合理化減」などで合計9926人の定数減を見込んでいます。定数増と定数減の差し引きでは65人増となりますが、定年延長という特殊要因を除くと4266人の大幅減です。
中学、高校で部活動が教員の長時間労働の原因の一つになるなか、部活動の「地域クラブ活動への移行に向けた実証事業」は1億円増の12億円、「中学校における部活動指導員の配置支援」も4億円増の18億円にとどまります。
◆2024年度の教職員定数の増減
定数増計 | 9991人 | |
教職員定数の改善 | 5660人 | |
小学校高学年の教科担任制 | 1900人 | |
小学5年生の35人学級化 | 3171人 | |
教育課題対応の基礎定数化 | 439人 | |
さまざまな教育課題への対応 | 150人 | |
定年引き上げに伴う特例定員 | 4331人 | |
定数減計 | 9926人 | |
教職員定数の自然減 | 6571人 | |
子どもの減少に伴う自然減 | 4811人 | |
学校統廃合に伴う定数減 | 1760人 | 35人学級化に伴う加配定数振り替え | 1205人 |
教職員の配置見直し | 550人 | |
国庫負担金の算定方法の見直し | 1600人相当 |
国立大学の基幹的経費である国立大学法人運営費交付金は23年度と同額の1兆784億円です。23年の消費者物価が22年比プラス3・1%と41年ぶりの伸びとなるなかでの予算案据え置きは、実質的には大幅な減額です。04年の法人化時と比べると1631億円減です。
同交付金は本来、大学の規模や学部の種類に応じて機械的に配分される資金です。しかし、自公政権は交付金の一部を、企業からの外部資金獲得実績などに応じて傾斜配分する予算枠や、文科省が位置付ける政策課題を実現する予算枠とし、大学間の競争をあおっています。国立大学の安定的な運営を困難にし、研究者の非正規化を招くなど、日本の研究力低下の一因となっています。
私立大学等経常費補助も2978億円(2億円増)とほぼ横ばいです。物価高騰を受けた学費値上げの動きが加速する恐れもあります。
私大の経常経費に占める私学助成の割合を50%にするとの国会決議に反し、助成割合は近年1割程度に落ち込んでいます。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年1月31日付掲載
不登校対応や教員の長時間労働是正に概算要求で400人増を求めていましたが、予算案では150人増に圧縮。
定数増と定数減の差し引きでは65人増となりますが、定年延長という特殊要因を除くと4266人の大幅減。
私立大学等経常費補助も2978億円(2億円増)とほぼ横ばい。物価高騰を受けた学費値上げの動きが加速する恐れも。
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