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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

内部留保なぜ増える 賃金引き下げ分 積み上げ

2020-11-22 07:32:14 | 経済・産業・中小企業対策など
内部留保なぜ増える 賃金引き下げ分 積み上げ
コロナ禍のもとでも、大企業にはばく大な内部留保が積みあがっています。資本金10億円以上の大企業(金融保険業を除く)が2019年度末(20年3月)に持っている利益剰余金(内部留保の主要な部分)は、237兆円。国家予算の倍以上の巨額です。
(吉川方人)

内部留保とはどのようなものでしょうか。それは、企業の税引き後の利益から株式の配当などで社外に出ていく部分を除き、会社のものとして蓄えられた積立額です。借入金などの他の調達資金と合わせて、現金や土地、機械などの「資産」のかたちで存在しています。利益剰余金は、企業の純利益(売り上げから経費と税金などを引いたもの)から配当などを差し引いたものが積みあがったものです。純利益から配当などを引いたものがプラスならば増加し、赤字ならば内部留保を取り崩すことになります。借金を増やすことで内部留保はマイナスとなることもありますが、マイナス額が資本金よりも大きくなると債務超過です。

バブル期の4倍
内部留保は、なぜ巨額になっているのでしょうか。それは、賃金の引き下げで企業の利益が大きくなり、内部留保も積みあがっていったからです。
日本の大企業の純利益の推移を見ると、賃金が低下する1990年代後半から、急激に大きくなっていることがわかります(グラフ)。
バブル経済で、株価が3万8915円という高値をつけた89年度の純利益が8兆6000億円です。それが、コロナ流行の2019年度でも27兆6000億円、18年度は39兆円に達していました。バブル期のおよそ4倍です。
大企業がこれほどのもうけを上げ、内部留保を蓄えているのは、賃金引き下げによるものです。まさに、「資本の蓄積に照応する貧困の蓄積」(『資本論』第一部第24章)です。






何が問題なのか
内部留保は、会社の持つ資産額ですから、それが大きくなっても雇用や賃金が増え、生産力を上げる機械などの設備投資がされていれば経済はすすみます。
ところが、今は「日本企業が有する現預金は、2012年度から2018年度に50兆円(26・5%)増加」「未来への投資に回さなかった」(10月23日の経済財政諮問会議、新浪剛史サントリー社長)という状況です。生産力を上げる設備投資がされず、現預金ばかりが手元に余っているのです。
財務省の法人企業統計調査で見ても、資本金10億円以上の大企業のもつ工場などの有形固定資産は09年度の197兆円から19年度に212兆円となっています。利益剰余金が09年度の136兆円から19年度に238兆円と100兆円も増えていることに比べ、ほとんど増えていません。
これに対し、現預金は09年度の40兆9000億円から19年度の68兆5000億円に急増しています。
このような富の偏った経済になったのは、株価を高くするために資本家が当面の利益ばかりを追求し、労働者の非正規化と賃下げをすすめる一方、設備投資をしなかったためです。
内部留保は、利益が積みあがった額ですから、異常な積み上げを是正するには、賃上げと下請けなどへの単価の引き上げ、非正規の労働者の正規化、まともな法人税課税などで、利益を適正な水準にすることが必要です。
経団連は、9日に発表した「。新成長戦略」で、株主至上主義と新自由主義が引き起こす問題を指摘し、「企業は株主だけではなく、すべてのステークホルダーに報いるべき」とする世界経済フォーラムの「ダボス・マニフェスト2020」を引用しました。
大企業は、コロナ禍での雇用維持はもとより、関連業界、業者などへの社会的責任を果たすべきです。そのための現預金も十分にあります。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年11月21日付掲載


「経済成長しているんだから内部留保も増えて当然じゃない」って言うかもしれませんが…。
残念ながら、日本はここ10年あまりGDPがほとんど増えていません。それにも関わらず、内部留保だけが増えているのは、賃金の抑え込みによるもの。

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