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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

資産運用立国の終着点⑤ 国民の望みは「生活立国」

2024-02-29 07:14:10 | 経済・産業・中小企業対策など
資産運用立国の終着点⑤ 国民の望みは「生活立国」
群馬大学名誉教授 山田博文さん

「貯蓄から投資」を掲げた2013年度以来のアベノミクスのもと、大資本・内外の投資家・富裕層は富を積み上げ、資産所得を膨張させ、金融資産は歴史的な水準に達しています。
他方で、給与所得に依存する多数の国民は、超低金利と賃金の抑制で資産と所得を低水準に抑え込まれてきました。日本の貧困率は世界のトップクラスにあります。そのうえ、最近では食料品や公共料金などの物価高に直撃され、生活が困窮してきています。
このような現状を踏まえたとき、政府の「骨太方針」に求められるのは、資産所得を増やすための「資産運用立国」なのでしょうか。

欧州が取り組む
国民の多数が望んでいるのは、時々刻々変動する株式や円ドル相場に追い回される投資家の慌ただしい生活ではないはずです。北欧諸国に見られるような充実した社会保障制度に支えられた安定したライフスタイルのはずです。時間に追い立てられず、個人の多様な才能や能力が開花し、個人の成長が社会の豊かさにつながるような「生活立国」です。
政府の「骨太方針」に求められるのは、喫緊の課題としては▽物価高の抑制▽可処分所得の引き上げ▽社会保障の拡充▽労働時間の短縮と自由時間の拡大▽個人の能力を開花させるための授業料の無料化▽世界トップクラスのジェンダーギヤップの解消―などです。さらに、エネルギーや食料の自給率を高め、原発から再生エネルギーに転換し、地球環境に寄り添った持続可能な経済社会を確立することです。北欧をはじめヨーロッパ諸国で取り組まれている事柄ですので、日本にできないはずはありません。



「若者も高齢者も安心できる年金を」とパレードする人たち=2023年10月27日、東京都中央区

アジアでの共栄
アジア経済圏はヨーロッパやアメリカ経済圏を追い抜き、世界最大の経済圏になりました。世界支配の既得権を維持しようとするアメリカは、中国を抑え込み、アジアの経済成長の成果を取り込むことに躍起になっています。「惨事便乗型資本主義」よろしく「台湾有事」をあおって、軍事費を倍増させ、アメリカ製兵器を大量に売りつけ、日本や韓国を巻き込む中国封じ込め戦略を展開しています。
でも、日本がアメリカの覇権維持に協力すれば、構造転換した世界経済において日本の国益=企業と国民生活の利益を損なうことになります。アメリカに代わって日本の最大の貿易相手国になった中国を仮想敵国にするなど、常識的には理解不能で、日本自滅の道を選択することです。
というのも、中国との貿易がたった2カ月停止した場合でも、日本経済は国内総生産(GDP)の1割に馬当たる53兆円を消失します。食料が途絶え、国民は極度の食料危機に陥ります。食料自給率の低さからも、「世界で最初に飢えるのは日本」(鈴木宣弘東京大学教授)のようです。こんな事態をもたらす日中対立は、企業も、国民も、誰一人として望んでいないはずです。
政府の「骨太方針」に求められるのは、中国をはじめ、世界経済をリードするようになったアジア諸国との共存共栄の方針です。アジア諸国とのウィンウィンの関係こそ、弱体化する日本経済にとっても、アジアの平和にとっても、21世紀の明るい展望を切り開くに違いありません。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年2月24日付掲載


政府の「骨太方針」に求められるのは、喫緊の課題としては▽物価高の抑制▽可処分所得の引き上げ▽社会保障の拡充▽労働時間の短縮と自由時間の拡大▽個人の能力を開花させるための授業料の無料化▽世界トップクラスのジェンダーギヤップの解消―など。
さらに、エネルギーや食料の自給率を高め、原発から再生エネルギーに転換し、地球環境に寄り添った持続可能な経済社会を確立すること。北欧をはじめヨーロッパ諸国で取り組まれている事柄ですので、日本にできないはずはありません。

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