生きた世界遺産 富山・南砺 五箇山 合掌造り 住民が暮らし、子どもが遊ぶ
「ワオッ!」と感嘆の声をもらす外国人観光客…。その幻想的な光景から受ける感動は万国共通のようです。
展望スポットの眼下に広がるのはかやぶき屋根が特徴の、相倉(あいのくら)合掌造り集落(富山県南砺〈なんと〉市)。春先の訪問時は背後に雪をかぶった雄大な人形山がそびえ立ち、満開の桜の色がアクセントになっていました。夏には田畑と山々の濃い緑に彩られ、異なる景色を見せてくれることでしょう。
いくえもの山々に囲まれた五箇山(ごかやま)にある相倉合掌造り集落は1995年、同エリアの菅沼合掌造り集落とともに世界遺産に登録。日本の原風景ともいえるスポットで、山間の伝統的な暮らしに触れられます。
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相倉合掌造りの集落の全景。奥は人形山
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集落内を歩くと、想像以上に大きく立派なかやぶき屋根の家々に圧倒されます。手を合わせたときの腕の形のような急勾配の合掌造りは、雪を落としやすくするため。まるで昔話の世界に迷い込んだような感覚になりますが、今も住民が暮らしを営んでいて、集落の子どもたちが元気に遊びまわっていました。現在進行形の“生きた世界遺産”であるのが魅力です。
集落の飲食店では、地元の特産・五箇山豆腐をいただきました。縄で縛っても崩れないほど堅い五箇山豆腐は、水分が少ないため歯ごたえがあり、大豆の風味が濃厚に感じられます。ぜひ味わってもらいたい逸品です。
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相倉民俗館では集落の暮らしや歴史を学べる
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地元名物の五箇山豆腐と、とち餅のぜんざい
次に車で向かったのは、国の重要文化財に指定されている岩瀬家。300年前に建てられた準5階建てのかやぶきの合掌造りで、火薬の原料となる塩硝(えんしょう)を代々生産し、加賀藩に納めていました。
3~5階は養蚕(ようさん)の作業場で、最上階の窓から外を見ると足がすくむほどの高さです。そんな建物がくぎを1本も使わず、縄などで結び上げられているというから、びっくり。合掌造りに不可欠ないろりから出る煙のすすが、縄や木材を堅くし、防腐や防虫の役割を果たしています。
案内してくれたご主人によると、「建物裏の滝から引いた池には明かり取りの意味もある」とのこと。豪雪地帯の五箇山では、屋根から落ちた雪で窓が埋まらないよう解池をしつらえ、雪を溶かすこともあるのだとか。厳しい自然環境ならではの生活の知恵の数々に興味が尽きませんでした。
旅の最後は日帰り入浴施設「くろば温泉」へ。ダム湖に面した露天風呂は絶景です。湖面と山々を望む湯船は静寂に包まれ、聞こえてくるのは湯が落ちる音のみ。深山幽谷の地で入る温泉は格別で、思わず「わおっ!」とつぶやきました。
高橋一昌
【交通】相倉合掌造り集落までは、JR城端(じょうはな)線城端駅からバスで約20分。車では、東海北陸自動車道五箇山ICから約15分
【問い合わせ】南砺市観光協会・五箇山総合案内所 電話0763(66)2468
「しんぶん赤旗」日曜版 2023年6月18日付掲載
いくえもの山々に囲まれた五箇山(ごかやま)にある相倉合掌造り集落は1995年、同エリアの菅沼合掌造り集落とともに世界遺産に登録。日本の原風景ともいえるスポットで、山間の伝統的な暮らしに触れられます。
手を合わせたときの腕の形のような急勾配の合掌造りは、雪を落としやすくするため。まるで昔話の世界に迷い込んだような感覚に。
国の重要文化財に指定されている岩瀬家。300年前に建てられた準5階建てのかやぶきの合掌造り。
3~5階は養蚕(ようさん)の作業場で、最上階の窓から外を見ると足がすくむほどの高さ。
40年ぐらい前、その五箇山のユースホステルに泊まったことがあります。上の階では確かに養蚕をしていました。
「ワオッ!」と感嘆の声をもらす外国人観光客…。その幻想的な光景から受ける感動は万国共通のようです。
展望スポットの眼下に広がるのはかやぶき屋根が特徴の、相倉(あいのくら)合掌造り集落(富山県南砺〈なんと〉市)。春先の訪問時は背後に雪をかぶった雄大な人形山がそびえ立ち、満開の桜の色がアクセントになっていました。夏には田畑と山々の濃い緑に彩られ、異なる景色を見せてくれることでしょう。
いくえもの山々に囲まれた五箇山(ごかやま)にある相倉合掌造り集落は1995年、同エリアの菅沼合掌造り集落とともに世界遺産に登録。日本の原風景ともいえるスポットで、山間の伝統的な暮らしに触れられます。
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相倉合掌造りの集落の全景。奥は人形山
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集落内を歩くと、想像以上に大きく立派なかやぶき屋根の家々に圧倒されます。手を合わせたときの腕の形のような急勾配の合掌造りは、雪を落としやすくするため。まるで昔話の世界に迷い込んだような感覚になりますが、今も住民が暮らしを営んでいて、集落の子どもたちが元気に遊びまわっていました。現在進行形の“生きた世界遺産”であるのが魅力です。
集落の飲食店では、地元の特産・五箇山豆腐をいただきました。縄で縛っても崩れないほど堅い五箇山豆腐は、水分が少ないため歯ごたえがあり、大豆の風味が濃厚に感じられます。ぜひ味わってもらいたい逸品です。
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相倉民俗館では集落の暮らしや歴史を学べる
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地元名物の五箇山豆腐と、とち餅のぜんざい
次に車で向かったのは、国の重要文化財に指定されている岩瀬家。300年前に建てられた準5階建てのかやぶきの合掌造りで、火薬の原料となる塩硝(えんしょう)を代々生産し、加賀藩に納めていました。
3~5階は養蚕(ようさん)の作業場で、最上階の窓から外を見ると足がすくむほどの高さです。そんな建物がくぎを1本も使わず、縄などで結び上げられているというから、びっくり。合掌造りに不可欠ないろりから出る煙のすすが、縄や木材を堅くし、防腐や防虫の役割を果たしています。
案内してくれたご主人によると、「建物裏の滝から引いた池には明かり取りの意味もある」とのこと。豪雪地帯の五箇山では、屋根から落ちた雪で窓が埋まらないよう解池をしつらえ、雪を溶かすこともあるのだとか。厳しい自然環境ならではの生活の知恵の数々に興味が尽きませんでした。
旅の最後は日帰り入浴施設「くろば温泉」へ。ダム湖に面した露天風呂は絶景です。湖面と山々を望む湯船は静寂に包まれ、聞こえてくるのは湯が落ちる音のみ。深山幽谷の地で入る温泉は格別で、思わず「わおっ!」とつぶやきました。
高橋一昌
【交通】相倉合掌造り集落までは、JR城端(じょうはな)線城端駅からバスで約20分。車では、東海北陸自動車道五箇山ICから約15分
【問い合わせ】南砺市観光協会・五箇山総合案内所 電話0763(66)2468
「しんぶん赤旗」日曜版 2023年6月18日付掲載
いくえもの山々に囲まれた五箇山(ごかやま)にある相倉合掌造り集落は1995年、同エリアの菅沼合掌造り集落とともに世界遺産に登録。日本の原風景ともいえるスポットで、山間の伝統的な暮らしに触れられます。
手を合わせたときの腕の形のような急勾配の合掌造りは、雪を落としやすくするため。まるで昔話の世界に迷い込んだような感覚に。
国の重要文化財に指定されている岩瀬家。300年前に建てられた準5階建てのかやぶきの合掌造り。
3~5階は養蚕(ようさん)の作業場で、最上階の窓から外を見ると足がすくむほどの高さ。
40年ぐらい前、その五箇山のユースホステルに泊まったことがあります。上の階では確かに養蚕をしていました。
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