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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

国際課税の展望① 10兆円税収増の試算

2020-04-26 13:59:15 | 予算・税金・消費税・社会保障など
国際課税の展望① 10兆円税収増の試算
多国籍大企業の税逃れを防ぐ新たなルールについて、国際的な話し合いが進められています。20力国・地域(G20)、経済協力開発機構(OECD=注)がリードし、130以上の国々が参加する世界的プロジェクトです。OECDは今年2月、新たな課税ルールを導入した場合の税収試算を公表しました。この間の国会論戦とともに紹介します。
(日本共産党国会議員団事務局 丸井龍平)

プロジェクトの始まりは「リーマン危機」(2008年)への対応で各国の財政が悪化したこと。現在深刻化する「コロナ対策」でも各国で巨額の予算が組まれ、財政悪化が懸念されています。その中で、公正な国際課税のルールをつくって税収を増やすことをめざす、重要なプロジェクトとなっています。

OECD 日米欧36カ国が参加する経済協力のための国際機関。
高所得国、中所得国、低所得国 世界銀行の基準に基づく分類。



税逃れで有名なアマゾンの物流センター=埼玉県川越市

ルールの見直し
このプロジェクトの主要テーマの一つが、グーグル、フェイスブックなどの巨大IT(情報通信)企業の税逃れに対するルールの見直しです。
巨大IT企業は、インターネットを活用して消費者のいる国(市場国)でビジネスをします。ネットで取引が完結するため、事務所など物理的拠点が必要ありません。一方、現在の国際ルールでは、物理的拠点のない外国企業に対して市場国の政府は法人税をかけられません。そのため、主にアメリカIT企業の税逃れが野放しになってきました。
時代に合わないルールの是正に対し、当初日米両国政府や経団連など日米の財界は反対でしたが、最終的に見直しをすることで合意がかちとられました。
残った問題が、巨大IT企業が全世界で稼いだ利益を各国にどう配分するかです。各国は配分された利益に自国の法人税を課すので、配分される利益が大きいほど税収が増えます。検討されている案は①売上高の一定比率(10%など)を超える利益を「超過利益」と定める②超過利益を一定の割合で2分割し企業の所在地国と市場国に配分する③複数ある市場国の全体に配分された利益を売上高などに応じて各市場国に配分する―というものです。(図)




税収試算を公表
OECDは今年2月、新たなルールが導入された場合の税収試算を公表しました。前提条件は、売上高の10%超を超過利益とし、その「超過利益」の20%を市場国分とするというもの。200以上の国々、2万7千社以上の多国籍企業のデータから分析しました。「法人税に各国共通の最低税率を設定する」というもう一つの新ルールも試算に含めました。




その結果、法人税収は全世界で最大1000億ドル(10兆円超)、4%増えることが判明しました。
しかも、高所得国、中所得国、低所得国(注)に分類すると、どの国でも増収です(グラフ)。特に巨大IT企業への課税ルールの見直しは、低所得国への増収効果が大きいことがデータに基づく試算によって裏付けられたのです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年4月24日付掲載


新型コロナ対策で、世界各国の財政出動が多くなっていく中、その税収を補うことが求められます。
その一つが、巨大IT企業への課税ルールの見直し。全世界で10兆円規模の税収を確保できるという。

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