きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

国際課税の展望② 税逃れ大企業に打撃

2020-04-27 09:20:56 | 予算・税金・消費税・社会保障など
国際課税の展望② 税逃れ大企業に打撃
経済協力開発機構(OECD)は、新たな課税ルールの具体的な論議に役立てようと、複数のケースで詳しく試算をしています。


税逃れで有名なアップルの店舗=東京都内

途上国で税収増
グラフは、巨大IT企業に適用される新たなルールについて、二つのケースで試算したものです。上の網が掛かった帯グラフは、市場国に配分する部分を含む「超過利益」を、巨大IT企業の世界売上高の「10%超」とするケース。下の白い帯グラフは「20%超」とするケースです。
「10%超」の方が超過利益の額が増えるため、市場国に配分される利益も大きくなります。この二つの数字を前提としたのは、これらの比率が国際的な話し合いのなかで選択肢として挙げられているからです。
帯グラフは、新ルール適用による各国の増減収を、現在の法人税収で割った比率を並べたものです。例えば高所得国の「10%超」の場合を見るとマイナス0・1%から1・1%となっています。
これは日本を含む高所得の国々が0・1%減収から、1・1%増収の間のいずれかに位置していることを示しています。
OECDは粗い推計であることも考慮し、各国の個別の試算結果を公表していません。
一見して明らかなのは、大幅な減収はタックスヘイブン(租税回避地)の国々だけで、それ以外はほぼ増収です。特に低所得国すなわち途上国の増収効果が大きいことがわかります。
また、「10%超」の場合の方が、全体的により増収効果が大きく、タックスヘイブンの減収がマイナス5%近くと大きいことがわかります。タックスヘイブンを活用した多国籍大企業の税逃れが大きな打撃を受けるのです。




公正なルールへ
日本共産党の大門実紀史参議院議員は3月19日の財政金融委員会で「10%か20%かでいえば、10%の方が税配分の是正が一気に進む」として、日本政府の対応をただしました。それに対し、財務省は国際的な交渉であることを理由に、どちらの立場か態度を明らかにしませんでした。麻生太郎財務相は「最初からガバッと取れない」との答弁にとどまりました。
経団連は超過利益の範囲について、売上高の「10%を十分に上回る水準(例えば、15%や20%といった水準)とすべきである」(2019年11月「経済の電子化に伴う課税上の課題に対する第1の柱における統合的アプローチに関する公開諮問文書に対する意見」)としています。また、巨大IT企業もロビー活動などを通じて課税強化の流れに対する圧力を強めると思われます。
一方、途上国や公正な税を求める市民団体から、税配分の大幅な是正を求める声が強まっています。話し合いは年内の合意をめざして進められています。「コロナ危機」で国際協調のあり方が問われる今、この間題でも各国政府の対応が注目されます。公正な課税ルールを求めるいっそうの世論と運動が求められています。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年4月25日付掲載


コロナ危機で、医療分野や経済分野、文化芸術での連帯・協力が求められているとき。
税収でも公正な課税ルールづくりが求められています。

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