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EUに学ぶ IT企業規制② 巨額罰金で違反を抑止

2022-04-16 07:08:25 | 経済・産業・中小企業対策など
EUに学ぶ IT企業規制② 巨額罰金で違反を抑止
情報産業研究者 高野嘉史さん

欧州連合(EU)は巨大IT(情報技術)企業のどのような行為を規制しようとしているのでしょうか。

優遇行為禁止
まず、以下の5項目が禁止されます。
①自社サービスの優遇。米アマゾンのネット通販サイトでは、自社の直販に加えて、他社の出品した商品の販売を仲介する場(マーケットプレイス)を提供しています。こうした場合に、ランキングで直販サービスを優遇して表示するようなことは禁止されます。
②収集したデータの他のサービスでの再利用。米メタ(旧フェイスブック)は交流サイト「フェイスブック」とメッセージアプリ「ワッツアップ」のデータを結合して効果的な広告表示に活用しています。また、アマゾンはマーケットプレイスへの出店企業から営業情報を取得して、自社の直販に活用するなどの問題行為が指摘されてきました。これらの行為は明確に禁止されることになります。
③不公平な契約条件の設定。日本の楽天は自社が運営するネット通販の楽天市場で「39ショップ」として3980円以上の商品の送料を無料にするよう出店業者に一方的に要求しました。このような行為も、EUでゲートキーパー(門番)と認定されれば禁止されることになります。ただし今回、楽天は規制対象になっていません。
④自社アプリの事前インストールの義務づけ。スマートフォン用基本ソフト「アンドロイド」を提供する米グーグルはスマホメーカーに対して、アンドロイド端末にグーグルの検索サービスやアプリ販売サイトグーグルプレイ」などの事前インストールを強制してきました。これも禁止されることになります。
⑤自社の決済・認証サービス利用の義務づけ。iPhoneを開発・販売する米アップルは、アプリ販売サイト「アップストア」も展開します。ここでは、アプリの提供事業者が原則としてアップルの決済サービスを利用することが求められ、手数料が15%から30%と高率に設定されています。これは禁止されることになります。



アマゾンの物流センター=埼玉県川越市

解約も容易に
また、これら5項目の禁止事項に加えて以下の3項目が義務づけられます。
①欧州委員会(EC)への企業買収・合併の報告。これは、フェイスブックが競合サービスであるワッツアップやインスタグラムなどを買収して将来における競争を避けようとしたことなどに対応しようとするものです。
②継続課金型サービスの解約を容易に。アマゾンの有料会員制度「プライムサービス」などは、一旦申し込むと一定期間の利用が義務づけられ、利用者の申し出がない限り契約が更新されます。これを簡単に解約できるようにすることが求められます。
③スマホのカード読み取り機能などのアプリ開発者への開放。スマートフォンにはクレジットカードやプリペイドカードなどの読み取り機能が備えられています。これを他のアプリ開発者に開放することが求められます。
規定違反に対しては、最大で前年の全世界売上高の10%の罰金が科されます。さらに違反を繰り返すと、上限は20%に引き上げられます。グーグルの場合、2021年の売上高は2576億ドル(約32兆円)です。制裁金は10%だと257・6億ドル(約3兆2000億円)、20%だと515・2億ドル(約6兆4000億円)になります。同時期のグーグルの最終利益は760億ドル(約9兆5000億円)ですから、10%だと最終利益の約34%、20%だと約68%にも相当します。
アマゾンの場合、21年の全世界売上高は4698億ドル(約58兆5000億円)です。その10%は469・8億ドル(約5兆8000億円)、20%は939・6億ドル(約11兆7000億円)となります。最終利益の333・6億ドル(約4兆2000億円)は軽く吹き飛んでしまいます。
このように巨額の制裁金はデジタル市場法(DMA)違反に対して大きな抑止力になるでしょう。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年4月15日付掲載


まず、以下の5項目が禁止されます。
①自社サービスの優遇。②収集したデータの他のサービスでの再利用。③不公平な契約条件の設定。④自社アプリの事前インストールの義務づけ。⑤自社の決済・認証サービス利用の義務づけ。
日本の楽天は自社が運営するネット通販の楽天市場で「39ショップ」として3980円以上の商品の送料を無料にするよう出店業者に一方的に要求。このような行為も、EUでゲートキーパー(門番)と認定されれば禁止に。
規定違反に対しては、最大で前年の全世界売上高の10%の罰金。
違反して利益を上げることが割に合わないこと。規制に向かいます。


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