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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

どうみるデジタル関連法案② 自己決定権の確立こそ

2021-03-21 07:26:01 | 経済・産業・中小企業対策など
どうみるデジタル関連法案② 自己決定権の確立こそ
龍谷大学 本多滝夫教授に聞く

自治への介入

―デジタル関連法案によって住民の個人情報を守る自治体独自の条例を国が後退させるのは自治への介入ではありませんか。
関連法案の一つである、整備法案の中にある個人情報保護法改正案108条では「…この節の規定に反しない限り、条例で必要な規定を定めることを妨げるものではない」とあり、これだけでは自治体独自の条例制定を妨げないように見えます。
しかしここで許されている追加規定は、個人情報の開示・訂正・利用停止の手続き、審査請求の手続きに関する事項に限定され、個人情報の「目的外利用」とか「オンライン結合」を規制するために法律より厳しい内容の条例制定はできないと国が主張する可能性があります。注意が必要です。
同改定案の112条はさらに、企業が自治体に個人情報を匿名化して提供するよう提案する権利を認めています。
提案が基準に適合する場合には、提案企業には匿名加工情報を利用する契約を締結する権利があると定めているため、自治体が条例で「企業への匿名加工情報の提案の募集はしません」と書くと違法になる恐れがあります。
また、自治体の長は個人情報保護に関する条例を定めたとき、国の個人情報保護委員会に届け出なければなりません(同改正案167条)。同委員会が、各自治体の条例が「法の円滑な運用を妨げると判断した場合」に「指導・助言・勧告」ができます。今後出されるガイドラインにそった運用でなければ自治体に対し「直せ」と言うのです。これは非常におかしな話です。
個人情報保護が不十分だから第三者機関である個人情報保護委員会が「きちんとしなさい」というなら分かりますが、「オンライン結合の制限はけしからん」と指導・助言や勧告が入る可能性もあります。
同委員会の「指導・助言・勧告」には法的拘束力はありません。
関連法案の基になった個人情報保護制度の見直しに関するタスクフォースの報告書では、「国は、地方自治法等に基づき…是正の要求を行うこと等ができる」と付言していますが、これは許されないと解すべきでしょう。

法案は廃案に
―法案にどう対抗したらよいでしょうか。
拙速に社会のデジタル化を進める法案を廃案にすることが一番です。
個人情報の利活用とプライバシーの侵害とが裏腹にあることを理解することが重要です。
また、デジタル庁の新設にともない民間企業からIT人材を非常勤の公務員として雇うといいます。「天上がり」による新たな官民癒着を生む危険性があります。
デジタル化そのものは否定するものではありませんが、したくもないデジタル機器の使用を事実上強いられたり、自分たちの個人情報が勝手に利用され一握りの企業が利益を得たりする仕組みに対しては、批判意識を持たなければなりません。憲法13条にもとついて、自己決定権やプライバシー権・自己情報コントロール権こそ確立しなければなりません。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年3月19日付掲載


自治体が営利企業に個人情報を提供。非常に危険な方向です。
デジタル化そのものは否定するものではありませんが、したくもないデジタル機器の使用を事実上強いられたり、自分たちの個人情報が勝手に利用され一握りの企業が利益を得たりする仕組みに対しては、批判意識を持たなければならない。
ネット上にアップされた個人情報を削除させる「忘れられる権利」が必要です。

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