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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

メタバース 特徴と課題② 大企業が仮想空間支配

2022-11-22 07:09:10 | 経済・産業・中小企業対策など
メタバース 特徴と課題② 大企業が仮想空間支配
メタバース市場への参入をめぐって、世界でも日本でも、企業間の激しい開発競争が起こっています。
今年の『情報通信白書』はメタバース市場の長期見通しについて、次のように述べています。

市場規模急拡大
「メタバースの世界市場は2021年に4兆2640億円だったものが2030年には78兆8705億円(6788億ドル)まで拡大すると予想されている(図)。メディアやエンターテインメントだけではなく、教育、小売りなどさまざまな領域での活用が期待されている」




岸田文雄首相は、10月の所信表明演説の中で、初めてメタバースを取り上げ、官民一体で振興すると強調しました。
米国のIT(情報通信)大企業であるフェイスブック社は、21年10月に社名をメタ(Meta)(正式名称メタ・プラットフォームズ)に変更しました。同社のザッカーバーグCEO(最高経営経営者)は、社名変更の理由を「今後の成長が見込まれるメタバースの開発を事業の核に据えるため」などと説明していました。
今年10月に開かれたシーテック(CEATEC=日本で最大規模のIT展示会)では、会場の中央近くにメタバース関連のスペース「メタバース・エクスポ・ジャパン2022(METAVERSE EXPO JAPAN 2022)」を設け、メタ、ソフトバンク、ドコモ、大日本印刷、テレビ東京などなど、さまざまな企業がメタバースを競い合っていました。体験コーナーもあり、長蛇の列になっていました。
ソニーグループは、開発中の気候変動シミュレーションを体感できるアプリを出展していました。ソフトバンクは、福岡のドーム球場のメタバースをつくり、3Dアバターを操作して来場体験ができる装置を出展していました。
メタバースの技術を開発しているのは、IT関連の巨大企業にとどまらず、さまざまな業種が参入しています。その技術開発には、多数の小規模なベンチャー企業も参加しています。しかし、メタバースのプラットフォーム(仮想現実世界)をサービスとして消費者に提供できるのは、巨大な資本力をもつ大企業(あるいは研究機関)です。
そうした仮想空間は、大企業が開発・提供するメタバースそれぞれが独立したプラットフォームであるため、他の企業のメタバースと行き来することはできません。
現在のメタバースは、ゴーグルやヘッドセットを装備して参入する仮想空間ですから、一定の装置やアプリも必要です。米国企業メタが、今年10月に発表した最新のメタバース用のゴーグル(MetaQuestPro)は、価格が22万6800円だといいますから、まだまだ個人で購入できる人は限られています。



シーテックのメタバース関連スペースに開設された共通ブース

教育界から関心
メタバースには、企業の市場獲得の開発競争だけでなく、教育界からも、大きな関心が寄せられています。
東大が新設した「メタバース工学部」は、仮想空間(メタバース)も活用して最先端の工学教育を提供するプラットフォームのことです。東大生以外の一般の希望者(中高生、大学生、社会人)を広く募って、工学教育を振興しようという試みです。応募者は東京にいなくても、全国どこからでも無料で参加できるのが特徴です。
最近のNHKのニュース報道では、不登校の児童がメタバース上の教室にアバターとして“登校”する経験が紹介されていました。
しかし、こうした教育界で活用されはじめたメタバースは、ゴーグルを使った本格的なVR(仮想現実)ではなく、パソコンやスマホなどのオンラインの画面に、特殊なアプリを使って自分の分身ロボットを作成して参加するものが多いようです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年11月18日付掲載


岸田文雄首相は、10月の所信表明演説の中で、初めてメタバースを取り上げ、官民一体で振興すると強調。
米国のIT(情報通信)大企業であるフェイスブック社は、21年10月に社名をメタ(Meta)(正式名称メタ・プラットフォームズ)に変更。
メタバースの技術を開発しているのは、IT関連の巨大企業にとどまらず、さまざまな業種が参入しています。その技術開発には、多数の小規模なベンチャー企業も参加。しかし、メタバースのプラットフォーム(仮想現実世界)をサービスとして消費者に提供できるのは、巨大な資本力をもつ大企業(あるいは研究機関)。
開発は、ベンチャー企業の独自性が期待されますが、実際の運用となると大企業が独占というのが実態のようです。


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