国交省インフラ長寿命化計画 「予防保全」で経費半減へ
国土交通省が発表した「インフラ長寿命化計画(行動計画)」の第2次計画は、「予防保全」のメンテナンスを行うことで、維持管理・更新費をおよそ半分に削減するなどを特徴としています。その内容を見てみると…(嘉藤敬佑)
今回の第2次計画は、2014年5月に策定した第1次計画の「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)」に続くものです。今回の最大の特徴は、インフラに不具合が生じる前に対策を行い、機能を健全な状態に維持する「予防保全」への本格転換を図るとしたことです。
早期の機能回復
従来は、不具合が生じてから対策を行う「事後保全」が主に行われてきましたが、予防保全に転換することで、早期の機能回復と維持管理・更新費の抑制を図ります。
今回の計画は、今年度から25年度までのインフラメンテナンスのあり方を示したものです。14年の第1次計画では、主にインフラの点検を行い、修繕計画のサイクルをつくることを目的としていました。この6年間で点検が一巡し、状態の把握が進んだことから、今後、新たな計画のもとで、予防保全型のメンテナンスを進めます。
特に、予防保全の管理水準を下回る状態となっているインフラに対しては、計画的・集中的な修繕などを行い、機能の早期回復を図ります。
国交省は維持管理・更新等のコストの見通しを試算。30年後の48年度で、事後保全型では12・3兆円となるところ、予防保全型では6・5兆円に削減できるとしました。今後30年間の合計費用でみると、事後保全では約250兆~280兆円かかりますが、予防保全では約180兆~190兆円へ、3割程度減少する結果となりました。
ただ、地方公共団体管理のインフラを中心に、修繕などの措置に遅れが生じるなど、早期の対策が必要なインフラも多数存在したままになっていることも指摘。国交省では小規模な地方自治体への支援を強化するとしています。
しかし、今回の計画では、維持管理・更新費の抑制のため、将来の人口減少や社会情勢の変化などで「必要性のなくなったインフラの集約・撤去」を行うことも明記。インフラの再編・複合化・機能転換についても言及しています。
公営住宅再編も
下水道、都市公園、公営住宅などの集約・再編も必要だとしており、これまでにも交付金などの財政的支援も行われています。国交省は、公営住宅について「総戸数を減らすものではない」と説明していますが、すでに17年度に57団地、18年度に749団地、19年度に806団地が廃止・再編されるなどしています。
また、今後増大が見込まれる更新需要に対応するための財源確保策として、受益と負担の見直しを進めることも明記。利用者負担の増加の程度や経済社会への影響等に配慮しつつ、個別施設ごとに慎重に判断するとしていますが、公営住宅家賃や公共施設利用料が引き上げられる可能性があります。
加えて、予防保全型の維持管理にあたる技術者の確保も課題になっています。特に小規模な自治体では確保に困難が生じています。国交省では、少ない人数でも点検や維持管理が行えるよう、ドローンの活用など、新しい技術を活用していく方針です。
今回、既存のインフラについては予防保全型に転換するとしたものの、大型開発を含めた新規建設も引き続き行われます。予防保全型の維持管理でも予算を必要とする中、新規建設から、維持・管理へ予算を振り向ける必要性が高まっています。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年7月29日付掲載
不具合が起こってから修理するでなくって、あらかじめ機能を健全な状態に維持する「予防保全」への本格転換するといいます。
我が職場のある神戸市兵庫区新開地でも水道管をより強度のあるものに交換作業をやっています。
しかし良い事ばかりではありません。将来の人口減少や社会情勢の変化などで「必要性のなくなったインフラの集約・撤去」を行うことも明記。
国交省は、公営住宅について「総戸数を減らすものではない」と説明していますが、すでに17年度に57団地、18年度に749団地、19年度に806団地が廃止・再編。
神戸市が計画する、エレベーターのない5階以下の低層市営住宅の廃止もこの一環。許されるものではありません。
国土交通省が発表した「インフラ長寿命化計画(行動計画)」の第2次計画は、「予防保全」のメンテナンスを行うことで、維持管理・更新費をおよそ半分に削減するなどを特徴としています。その内容を見てみると…(嘉藤敬佑)
今回の第2次計画は、2014年5月に策定した第1次計画の「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)」に続くものです。今回の最大の特徴は、インフラに不具合が生じる前に対策を行い、機能を健全な状態に維持する「予防保全」への本格転換を図るとしたことです。
早期の機能回復
従来は、不具合が生じてから対策を行う「事後保全」が主に行われてきましたが、予防保全に転換することで、早期の機能回復と維持管理・更新費の抑制を図ります。
今回の計画は、今年度から25年度までのインフラメンテナンスのあり方を示したものです。14年の第1次計画では、主にインフラの点検を行い、修繕計画のサイクルをつくることを目的としていました。この6年間で点検が一巡し、状態の把握が進んだことから、今後、新たな計画のもとで、予防保全型のメンテナンスを進めます。
特に、予防保全の管理水準を下回る状態となっているインフラに対しては、計画的・集中的な修繕などを行い、機能の早期回復を図ります。
国交省は維持管理・更新等のコストの見通しを試算。30年後の48年度で、事後保全型では12・3兆円となるところ、予防保全型では6・5兆円に削減できるとしました。今後30年間の合計費用でみると、事後保全では約250兆~280兆円かかりますが、予防保全では約180兆~190兆円へ、3割程度減少する結果となりました。
ただ、地方公共団体管理のインフラを中心に、修繕などの措置に遅れが生じるなど、早期の対策が必要なインフラも多数存在したままになっていることも指摘。国交省では小規模な地方自治体への支援を強化するとしています。
しかし、今回の計画では、維持管理・更新費の抑制のため、将来の人口減少や社会情勢の変化などで「必要性のなくなったインフラの集約・撤去」を行うことも明記。インフラの再編・複合化・機能転換についても言及しています。
公営住宅再編も
下水道、都市公園、公営住宅などの集約・再編も必要だとしており、これまでにも交付金などの財政的支援も行われています。国交省は、公営住宅について「総戸数を減らすものではない」と説明していますが、すでに17年度に57団地、18年度に749団地、19年度に806団地が廃止・再編されるなどしています。
また、今後増大が見込まれる更新需要に対応するための財源確保策として、受益と負担の見直しを進めることも明記。利用者負担の増加の程度や経済社会への影響等に配慮しつつ、個別施設ごとに慎重に判断するとしていますが、公営住宅家賃や公共施設利用料が引き上げられる可能性があります。
加えて、予防保全型の維持管理にあたる技術者の確保も課題になっています。特に小規模な自治体では確保に困難が生じています。国交省では、少ない人数でも点検や維持管理が行えるよう、ドローンの活用など、新しい技術を活用していく方針です。
今回、既存のインフラについては予防保全型に転換するとしたものの、大型開発を含めた新規建設も引き続き行われます。予防保全型の維持管理でも予算を必要とする中、新規建設から、維持・管理へ予算を振り向ける必要性が高まっています。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年7月29日付掲載
不具合が起こってから修理するでなくって、あらかじめ機能を健全な状態に維持する「予防保全」への本格転換するといいます。
我が職場のある神戸市兵庫区新開地でも水道管をより強度のあるものに交換作業をやっています。
しかし良い事ばかりではありません。将来の人口減少や社会情勢の変化などで「必要性のなくなったインフラの集約・撤去」を行うことも明記。
国交省は、公営住宅について「総戸数を減らすものではない」と説明していますが、すでに17年度に57団地、18年度に749団地、19年度に806団地が廃止・再編。
神戸市が計画する、エレベーターのない5階以下の低層市営住宅の廃止もこの一環。許されるものではありません。
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