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安保3文書危険な大転換⑤ 海保も空港・港も軍事下 新たな国家総動員宣言(下)

2022-12-23 07:08:26 | 平和・憲法・歴史問題について
安保3文書危険な大転換⑤ 海保も空港・港も軍事下 新たな国家総動員宣言(下)
「有事の際の防衛大臣による海上保安庁(海保)に対する統制を含め、海保と自衛隊の連携・協力を不断に強化する」。安保3文書の一つ「国家安全保障戦略」は、海保の軍事動員を示しています。自衛隊法80条では武力攻撃事態の際、「海上保安庁の全部、又は一部を防衛大臣の統制下に入れることができる」と規定。一方、海上保安庁法25条は「海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない」とし、海保の軍隊化を禁じています。「海保の憲法9条」と呼ばれ、海保と自衛隊の一線を画してきた同条と自衛隊法は相いれません。
このため、これまで海保を統制下に置く「統制要領」はつくられてきませんでした。しかし政府は16日、海上保安庁の体制強化に関する閣僚会議で、「統制要領」の策定を決定。安保3文書改定に合わせ、人命救助や海上交通の安全確保を主任務とする海保の軍隊化を次々と押し進めています。



共同訓練を行う海上保安庁巡視船「しきね」(手前)と海上自衛隊護衛艦「てるづき」=12月19日、伊豆大島東方(海上自衛隊提供)

本土の部隊展開 南西諸島戦場化
さらに、国家安全保障戦略では、有事の際の対応能力の強化として、「自衛隊・海保のニーズ(必要)に基づいた、空港・港湾等の公共インフラの整備や機能強化」の仕組み創設に言及。空港・港湾の軍事利用を拡大する考えを示しました。その対象として狙っているのが南西諸島です。
「国家防衛戦略」は「南西地域における空港・港湾等を整備・強化し、既存の空港・港湾等を運用基盤とし、平素から訓練を含めた使用」に言及。その狙いは、本土の自衛隊部隊を機動展開するためです。まさに南西諸島の戦場化を見据えた体制づくりです。またこれらの計画を「地方公共団体・住民等の協力を得つつ、推進する」と明記。港湾・空港の多くを管理する各地方自治体に「有事」の名を借りた公共設備提供の圧力がかかるのは必至です。
日本共産党の赤嶺政賢議員の8日の衆院安全保障委員会での追及に浜田靖一防衛相は、空港の軍事利用の対象に下地島空港(沖縄県宮古島市)を初めて挙げました。赤嶺氏は、同空港の開港時に琉球政府(当時)と日本政府が自衛隊や米軍等が軍事目的で使用しないと確認した1971年の「屋良覚書」に違反すると強調。さらに離島住民の避難に不可欠な空港・港湾が自衛隊などの軍事利用で攻撃対象にされる危険を指摘しました。

民間も戦時動員 標的になる危険
安保3文書はさらに自衛隊の機動展開のための「民間船舶・民間航空機」の利用拡大にも言及。国際民間航空条約(シカゴ条約)は、民間機の保護をうたっていますが、自衛隊の部隊や装備を起動すれば、こうした保護から外れ、軍事攻撃の対象となります。また、戦時の負傷者を想定し、「南西地域から本州等の後送先病院の医療・後送態勢確立」まで盛り込むなど、医療機関を軍事利用に取り込む計画まで示しています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月22日付掲載


自衛隊法80条では武力攻撃事態の際、「海上保安庁の全部、又は一部を防衛大臣の統制下に入れることができる」と規定。一方、海上保安庁法25条は「海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない」とし、海保の軍隊化を禁じる。「海保の憲法9条」と呼ばれ、海保と自衛隊の一線を画してきた同条と自衛隊法は相いれません。
国家安全保障戦略では、有事の際の対応能力の強化として、「自衛隊・海保のニーズ(必要)に基づいた、空港・港湾等の公共インフラの整備や機能強化」の仕組み創設に言及。空港・港湾の軍事利用を拡大する考えを示しました。その対象として狙っているのが南西諸島。
あらゆるものを軍事動員するなんて許されない。

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